10-2乙女のたしなみ
エルフのマズ飯は鉄板!
ひょんなことからそんなエルフに転生した二人はひょんなことから知らない場所へと転移で飛ばされます。
そして美味しいものを探しながら故郷のエルフの村へと旅を始めるのですが……
エルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。
私は臭く無いったら臭く無いのぉっ!!!!(リル談)
「よっしぃ、これで準備は出来た!」
ただいま私ことリルは精霊魔法で作り上げた湯船に生活魔法で作った水を溜め終わったところだった。
流石に連続で【水生成魔法】を使ったので疲れたけど、それでも乙女として譲れないものが有る。
妹のルラに気遣いされた!
く、臭くなんて無いもん!
ちょっと汗かいたからお風呂で体を洗えば大丈夫だもん!!
「お姉ちゃん、あたしなら大丈夫だよ、まだ」
「まだっ!? そんなに私って臭うの!?」
妹のルラにとどめを刺される。
こうなったら何が何でも奇麗にしてやるんだから!!
既に周りが薄暗く成る頃、街道から少し離れた岩の近くに精霊魔法で穴を掘って洞窟の様にした。
出入り口にはもう焚火が準備されていて、苦労した湯船は洞窟の中に設置されている。
まあ、覗く人もいないから大丈夫なんだけど、一応魔物とかの襲撃も考えて洞窟でお風呂に入る事にした。
「炎の精霊よ、この水を温めるのを手伝って!」
エルフ語で炎の精霊にお願いをして魔力を代価に炎の玉を作ってもらう。
それを溜めた湯船の水に入れると途端に、じゅぅっ! って音がして湯気が出る。
手を入れてみるとちょっと熱めだけどちゃんとお湯になっている。
「ありがとう、さあこれでしっかりと体を洗うわよ!!」
言いながら私は服を脱ぎ始める。
そうそう、着替えは魔法のポーチから出しているので汗の染み込んだこの服は後でしっかりと洗おう。
これでもう臭う事は無い。
無いったら無いの!!
「お姉ちゃん、そんなに気合入れなくても……」
「いいえ、汗臭いのなんか乙女として許せる事じゃないわ! ここはしっかりとドドスで手に入れたシャンプーとかボディーソープも使って奇麗にするわよ!!」
私がそう言いながらポーチからドドスの街で買っておいたシャンプーとかを取り出しているとルラもいそいそと服を脱ぎだす。
「あ、あたしもお風呂入る! シャンプーとかボディーソープ使うならあたしも!!」
うーん、流石に此処まで奇麗にしようとするとルラも一緒にお風呂に入りたがるか。
まあ、こっちの世界に来てもう十六年くらい女の子やっているから流石にこう言った事にも気を使うようになったのね。
湯船も大きめに作ったし、ここは二人してお風呂入って奇麗になるか。
「うん、じゃあ一緒に入ろう。そうだ、洗いっこしようか?」
「うん、やろうやろう。温かいお風呂入るの久しぶり~」
ドドスの街の銭湯には毎日行っていたけど流石に旅ではお風呂とはいかない。
せいぜい体を拭く位しか出来ないので冒険者や旅人の女性陣は香水とかを付ける場合が多い。
でも今はお風呂よ、お風呂!
温かいお湯につかり、香りのいいシャンプーやボディーソープで奇麗にして良い香りを巻き散らかすのよ!!
「さてと、かけ湯してから」
そう言いながらお湯をかけて体の汚れを流す。
もうこれだけで皮膚のべたつきとか無くなるからやっぱりお湯で体を流すのはやめられない。
ルラも軽く体を流してから二人して湯船に入る。
ちゃぽん
ざぁ~ぁ~
「ふぅ~、ちょっと熱いけど気持ちいいぃ~」
「そうだね、でも熱めのお風呂の方が体の汚れは良く落ちるからね」
二人して肩まで浸かってしばし。
冷えた手先や足先がピリピリと温まって来て気持ちいい。
湯船を結構大きめに頑張って作ったから二人で入っても余裕がある。
「温まるぅ~」
「うん、お湯につかるのは久しぶりだもんね」
そう言いながらルラは私にもたれかかって来る。
まあ広いとは言え手足を伸ばすまではいかないものね。
と、有る事に気が付く。
「ルラ…… あんたもしかしてまた大きく成った?」
「ん~? なにがぁ~?」
「何って、胸よ胸!!」
もたれかかってきたルラをよくよく見ると胸がまた大きく成ったように見える。
おかしい。
ドドス以来この子は何もしていないのに胸が大きく成っているだとぉ!?
「そう言えば最近服の胸の辺が少しきつくなってきたかも~。お腹とかは逆にゆるくなったんだよね~」
「なっ!?」
まさか!
同じ双子で姉妹なのになんでルラだけ大きく成る!?
しかもウエストが細くなっただとぉ!?
私だってあれだけマッサージを受けたり、毎日牛乳飲んだりとしていたと言うのに!!
「そんな馬鹿なぁっ! ちょっとルラ確認させなさいよ!!」
「え? お、お姉ちゃん??」
むにゅっ!
「んぁ!」
寄りかかるルラの後ろから両手を回して胸を触る。
こうして後ろから触ると自分のと比較するのが分かりやすい。
「こ、これはっ!」
むにむに
「あははははは、お、お姉ちゃんくすぐったいよぉ~」
確かに大きく成っている。
前はここまで膨らみが丸みを帯びていなかった。
先端を中心に尖っているような感じで膨らんでいたから、確かに私よりは大きいけどやっぱりお饅頭サイズだった。
しかし今のこれはしっかりとした丸みと重さがあるだとぉ!?
「んっ、お、お姉ちゃんそんなにおっぱい揉まないでよぉ~ なんか変だよぉ~」
「くそぉ~っ! なんで!? なんでルラばっかぁっ!!」
むにょむにょむにょ!
これはもう肉まん一歩手前だ。
これで重量がもっと増してゆけば立派なコンビニクラスの肉まんになる!
生前の私だってそれ以上はあるけど、今の私はそれこそ温泉饅頭より小さいわよ!!
何故だ?
同じようなもの食べていて、そして同じような生活をしているはずなのに!!
むにょもにょふにょ……
「お、お姉ちぁゃん、ほ、ほんとにダメぇ、なんか変だよぉ」
「こんな、こんなぁ!!」
もにょくにょほにょっ!!
「だ、だめぇっ! あ、あたし、なんか、なんかぁぁぁぁっ」
「ん? 何か硬い物が……」
くにょ!
「ひんっ!」
その瞬間ルラがのけぞって後ろにいる私に頭からぶつかって来る。
ごっち~ん!
「がはっ!」
「ふわぁぁぁぁん、お、お姉ちゃん、あたしもうらめぇ~」
ルラのヘッドバットをもろに喰らってしまい私は目の前に火花が飛ぶ。
目の前がちかちかするので思わずルラから手を離し、自分の鼻の頭を押さえる。
「いったぁ~、もう、ルラったら。 ん?」
「はひぃ~お、お姉ちぁゃ~ん、あらし、もうらめぇらよぉ~」
どうやらお湯に浸かり過ぎた様だ。
のぼせ始めているルラを引き起こし、湯船の淵に座らせる。
真っ赤な顔してはぁはぁ言ってるルラもだんだんと落ち着いてきたようだ。
「危ない危ない、危うくのぼせる所だった。さてと、ルラ。洗ってあげるからこっち来なさい」
両の手にボディーソープを取ってぬるぬるとさせながらルラを見ると、ルラはびくっとなって後ずさる。
「あ、あたし、やっぱ自分で洗う、お、お姉ちゃんは自分で洗ってよっ!!」
何故か胸を両手で押さえてそう言うルラ。
まあ、そう言うなら自分で洗ってもらってもかまわないんだけど……
私は首をかしげながらそのぬるぬるさせた手で自分を洗い始めるのだった。
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