9-22三番目の封印
エルフのマズ飯は鉄板!
ひょんなことからそんなエルフに転生した二人はひょんなことから知らない場所へと転移で飛ばされます。
そして美味しいものを探しながら故郷のエルフの村へと旅を始めるのですが……
エルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。
早く終わりにしてドーナッツ食べたいなぁ~(ルラ談)
ガリーの村の村長ジップロクさんに連れられて私たちは封印のひょうたんがあると言う祠に連れてきてもらっていた。
「しかしが街道のサイクロプスは魔王様が封印したもんだったとはな。そう言えばデルバの村は大丈夫なのかの?」
「え、あ、ああぁ、デルバの村はその~」
祠に向かいながらジップロク村長はそんな事を聞いて来た。
流石にイリカさんも即答するにははばかれるようで、言い淀んでしまう。
まあ実は村の住人がみんなオーガでしたとは言えないもんね。
横でそんな様子を見ている私は何とも複雑な感情を抱く。
コルネル長老がオーガになっても悪い人じゃないんだけどねぇ~。
勿論他の皆さんもそうなんだけど、相手はオーガと言う魔物。
普通の人間がどう思うかは何とも。
そんな事を思っていたら村の奥にあるお社のような場所につく。
だいぶ古いもので石造りのそれはそれでも奇麗に清掃されているようで苔一つ付いていなかった。
「これが多分その封印のひょうたんがある祠じゃ。言い伝えでは魔王様が大切なものを封じておると言われていての、その封印のひょうたんが入っていると思われるんじゃがな」
「なるほど、では早速開けていただいてもよろしいですか?」
ジップロク村長のその説明にイリカさんは頷きながらそう言う。
ジップロク村長も頷いてその祠の鍵らしきものを引っ張り出しそのカギ穴に入れるのだけど……
「ありゃ? 錆び付いておるのかの、全然入らんわ」
「あの、なんなら開錠魔法を使いましょうか?」
どうやらかなりの時間が経っているので鍵穴がさび付いて鍵自体も入らない程になっているらしい。
仕方なくイリカさんもそう申し出るけど、果たして魔法でも開ける事が出来るかどうか?
「うむ、開錠魔法なら儂も使えるがどうかの? 鍵自体が壊れていれば開かんぞ?」
「ではまずは試しに、【開錠魔法】アンロック!」
イリカさんは詠唱をして魔法を発動させるも、やはり長年に放置されたそれは既に風化していて鍵としての機能をしていなかった様だ。
となるとこの後は力づくで開けるしかないのだけど……
「この扉だけで数トンの重さがあるからの、無理やり開けるのも一苦労じゃぞ?」
「困りましたねぇ~」
イリカさんはそう言いながら私の方を見る。
もううすうす気づいているだろうけど、私とルラはチートスキル持ち。
前の巨人との戦いでイリカさんもそれは見ている。
ちらちらと送られるその視線に私はため息をついて前に出る。
「分かりましたよ、やりますって、やりますよ!」
「ありがとうございます。いやぁ、助かりますよ、リルさん」
笑顔でそう言うイリカさんに苦笑をして私は手を前にかかげる。
そして祠の岩の扉を設定して最終確認を了承する。
「扉を『消し去る』!!」
私がそう言って力を使うと途端にそこにあった扉は跡形もなく消え去る。
そして悠久の時を経て久方ぶりにその中身を見せる祠は奥の祭壇のような場所にあの封印のひょうたんんが置かれていた。
「間違いなく封印のひょうたんですね。状態は良いようで風化も進んではいないようです。機能は十分のようなのでこのまま回収すれば大丈夫のようですね」
「ん~、前から思ってたんだけど、大丈夫ならそのままでも良いんじゃないの?」
ルラはその様子を見ながらイリカさんに聞いてみる。
するとイリカさんは軽く微笑んでいう。
「魔王様の封印は素晴らしいと思いますが、流石に何千年も放置されたマジックアイテムは風化が始まりいつその封印が解かれるか分かりません。ここは新しい封印が手元にあるのだから一旦回収した方が、万が一の時はすぐに再封印できるようにした方が良いですよ」
まあ、言っている事は道理だ。
何せデルバの村の住人が自分たちの役目を忘れるくらい古い時代の封印だ。
事実岩の隙間に有った封印のひょうたんは破損していてそこからサイクロプスたちがどんどんと解放され始めていた。
あんな危ないものは全部回収して手元で管理していずれ復活すると言う魔王様あたりに処理してもらう方が賢明だろう。
「うーんそうなんだけどさ、でもイリカさんなんで新しいひょうたんで全部のひょうたんの巨人封印できるの? それにカリナさんってエルフの人が昔言ってたけど魔法のアイテムは風化しないんじゃないの? 確か天候の塔でそんな事言ってたような気がするんだよねぇ~」
ん?
ルラにしてはなんかやたらと気にするなぁ。
それに確かに言われてみれば前にカリナさんから「魔法のアイテムは古くなって壊れる事は無いわ。魔導書なんかも古くても大丈夫なのはそれ自体に魔力が込められているからよ」なんて言っていたっけ?
「あれ? だとすると封印が大丈夫なら確認だけでいいてことじゃ……」
私は不思議に思いイリカさんを見る。
するとイリカさんはうっすらと笑いながらこちらを振り向くのだった。
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