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腹ぺこエルフの美食道~リルとルラの大冒険~  作者: さいとう みさき
第九章:道に迷う
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9-10会議中

エルフのマズ飯は鉄板!

ひょんなことからそんなエルフに転生した二人はひょんなことから知らない場所へと転移で飛ばされます。

そして美味しいものを探しながら故郷のエルフの村へと旅を始めるのですが……

エルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。


はいそこ、静かに!!(イリカ談)


「えー、それでは第一回『巨人族しばきに行くぞ』会議を始めようと思います」



 イリカさんはそう言って何処からともなく黒板を持ち出しそこへ石灰の石でカリカリと議題を書いて行く。

 あ、勿論いまみんなが使っているコモン語でね。



『なあ、イリカさ。とりあえず村の外いん巨人さしばけば良いんでねか?』


「はいそこ、さっきも説明しました封印前に約七万もの巨人族がいたと記されてます。そんな大量の巨人族をデルバの村の戦力だけで倒せますか? 封印はまだ完全に解けていないと思われます。だから街道に出てきているサイクロプスもそれほどいないと思われます」



 ぴしっ!



 黒板に教鞭をびしっと差し当てイリカさんはそう言う。


 黒板には今までの事を取りまとめた事が書かれているけど、聞いたオーガは申し訳なさそうに言う。



『おらぁ、文字ほとんど読めねえだがに、もっかい説明してくんろ』


『んだ、んだ。文字読めんさうちさ村少ないけんの』


『イリカ文字教えんの下手だっぺ』



 一斉に文字が読めないとか教え方が悪いとか言い出している。

 しかしイリカさんは教鞭を黒板にたたきつけて言う。



 びしっ!



「教えようとしたら逃げ出したの誰です!?」



 びくっ!



 文句を言っていたオーガたちはしゅんとして下を向いて黙ってしまった。

 なんかイリカさんの倍以上ある屈強な身体のオーガたちが正座させられてしゅんとしている光景は異様だった。



『まぁまぁ、イリカさそん位にしてけろ。それより巨人族っつーのはそんなん多いだがや?』


 そんな様子を見かねてか、長老だったオーガが口をはさむ。

 イリカさんは流石に長老にそう言われると軽くため息をついてから話始める。



「石板や碑石に書かれていたのは古代文字でした。多分デルバの村の人たちが書き残したものでしょう。その時代にはまだ魔王様の命令がしっかりと伝えられていたようでその内容も分かりました。相手となる巨人族は約七万の大軍です。当時魔王様は配下の者たちだけでそれを殲滅する事が出来ず、異空間への封印をしたそうです」



 そこまで言って一旦みんなを見渡す。

 流石にみんなも大人しくイリカさんの話を聞く。



「魔王様を崇拝するのはこの近隣ではいくつかの村があります。ここデルバに一番近いのは山を越えた所にあるガリーの村があります。その昔それらの村は魔王様の配下にあったそうですね。そこへ巨人族が攻めて来た。だからこのデルバの村のオーガたち精鋭二千の軍隊で対応をしていたらしいのです。しかし封印が成功し、時代と共にデルバの村も普通の人間族として生活をしていて当初の目的を忘れてしまったと言う事です」



 うーん、この村の今の人口を見るとわずか数十人。

 だいぶ数が減ってしまっている。



「ですので村の外に出て一体や二体巨人族を倒しても本体である約七万の巨人族たちは全くと言って良いほど影響がないわけです。そして巨人族が一度に七万もの数が封印から解き放たれればここだけの問題ではなく世界をも巻き込む大問題となるでしょう!」



 巨人族が七万もいたら普通の軍隊では歯が立たないらしい。

 例え魔術師の援護があっても、「鋼鉄の鎧騎士」が出て来ても数で圧倒されてしまうらしい。

 


『んだばどうすっけ? 儂らだけでは歯が立たんと言うなんらば魔王様の言いつけまもれねってことでね?』



 オーガの一人がそう言ってイリカさんに聞く。


「ですから早急に封印場所を探し出してその封印をどうにかするしかありません」


 うーん、封印が何処に有るか探す所からか。

 しかも封印をどうにかするとかって言われても何か方法があるのだろうか?



『んでイリカさ、封印どうにかなんのけ?』



 長老さんのオーガに聞かれてイリカさんは一枚の石板を取り出す。


「ここに封印が破られそうになった時の対処方法があります、読み上げますね」


 そう言ってイリカさんはその石板の内容を読み始める。



「我がオーガ一族の末裔たちよ、よく聞くが良い。魔王様のご命令による巨人族の封印が解かれそうになった時、村にしまいし宝物庫より『封印のひょうたん』を使い封印を解きし巨人たちを再びその『封印のひょうたん』へ封印せよ。そしていずれ復活する魔王様にそのひょうたんを渡し未来永劫巨人族共を封じるのだ」



 イリカさんがそう言うとオーガたちは声を上げて喜ぶ。



『おおぉ、流石魔王様とご先祖様だがや! ちゃんと対策方法あっただがや!!』


『ありがたやぁ~ありがたやぁ~』


『これで儂たちの役目もやれっちゅうこっちゃ、えがったえがった』



 喜ぶオーガたち。

 しかしルラは首をかしげて聞く。



「そのひょうたんってどう使うの?」



 びしっ!



 喜んでいるオーガたちが固まる。



「まーかせてください! ちゃんとその使用方法が書いてある石版も見つけてあります!」



『流石はイリカだがや!!』


『んだば宝物庫さ早速いくだ!』


『んだ、んだ!』



 そう言ってオーガたちは立ち上がり村の宝物庫とやらに向かうのだった。



 * * *



「ええとぉ……」



 連れられて行ったそ場所は塚だった。

 こんもりと盛られた土に石の扉が付いている。

 なんか古墳のようにも見える。



『村の宝物庫さ開けんのは先々代の長老以来じゃけん、鍵が錆ついちょる』


『長老、壊すしかねっぺ?』


『んだども壊したら鍵作れんのおらんよ?』

 

「取りあえず開けて後で新しい鍵つけましょう」



 イリカさんがそう言って錆びた鍵は壊して開ける事となった。

 いよいよ巨人族を更に封印する為のひょうたんとのご対面となる。

 正直ちょっと興味がある。

 どんなのだろうか?




 私がそう思っているといよいよ鍵は壊され宝物庫の扉が開けられるのだった。 

  


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― 新着の感想 ―
[一言] >そして巨人族が一度に七万もの数が封印から解き放たれればここだけの問題ではなく世界をも巻き込む大問題となるでしょう!」 >巨人族が七万もいたら普通の軍隊では歯が立たないらしい。  地ならし…
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