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腹ぺこエルフの美食道~リルとルラの大冒険~  作者: さいとう みさき
第九章:道に迷う
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9-7石板

エルフのマズ飯は鉄板!

ひょんなことからそんなエルフに転生した二人はひょんなことから知らない場所へと転移で飛ばされます。

そして美味しいものを探しながら故郷のエルフの村へと旅を始めるのですが……

エルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。


て、てへぺろ☆彡(イリカ談)


「われ……ま……おう……わざわい……ふうじる……このち…… ん~」



 イリカさんが取り出したその石板は古代文字やエルフ文字が使われていた様で所々エルフ文字の場所を読めた。

 しかしもの凄く古い言い回しだったり、今はエルフの村でも使われていない言葉なのでよく訳せない。



「なんかよく分からないね、お姉ちゃん?」


「いえ、でもエルフ文字まで混じっていた事が分かっただけでも助かりました。これでこの古代文字の読解をする手掛かりがつかめるかもしれない」


 何とか読み取れるところだけ声に出して読んでみたけどやはりよくわからない。

 石板にはまだいろいろ書かれている様だけど私はそこまでで読むのをあきらめた。



「流石にこれではこれ以上読み取るのは難しいですね」


「そう、ですか…… でもこれで足がかりが見つかった、これって長老の話だと結構重要なモノらしいのにあまりに古くて口伝が途切れてしまって困っていたそうなの。でもこれで何とかこの内容が読み取れるかもしれない」



 イリカさんはそう言ってその石板を撫でる。

 まあ、古すぎて何だったか忘れる事ってあるよね?



「でもさ、その魔王って人なんでこの村では良い人なの?」



 石板の文字をそれからあれやこれやといろいろな種族の言葉と照らし合わせ始めたイリカさんを見ながらルラは不思議そうにそう言う。



「一説では魔王は転生するごとに種族を変えてきたと言う話もあります。だから残された古文書もこの石板みたいに複数の言語で書かれているのかもしれませんね」


 イリカさんは石板の私が読み上がた部分を書き出しその上に「エルフ語」と書いている。

 もしその話が本当なら魔王ってエルフにも転生していたって事?


「もし魔王がエルフに転生していたとしたら、ファイナス長老、いや、メル長老様なんかも知っているのかな?」


 エルフの村の長老たちを思い出しながらそうつぶやいてみる。

 確かメル長老なんかは神代から生きているって聞いた事があるのよね、それって神話の時代って事よね?



「魔王がエルフに転生ですか…… ここに書かれている古代文字にエルフ語が混じっているとしたら可能性はあると言う事ね…… うーん」



 イリカさんはそう言って更に石板に指を這わせながら私に聞く。



「ここって読めますか?」



「えっと、ん~、お……に……、鬼? オーガ??」


 そのエルフ語の意味は鬼を指し示す物だった。

 こっちの世界では主にオーガと呼ばれている体の大きな魔物らしい。

 ちゃんと角もあるって聞いたな。


 私がそう言うとイリカさんは少し首をかしげて言う。



「こんな森の奥深くでオーガ? しかしエルフ語でそう書かれているのなら間違いない? うーん」



 そう言っていろいろな本を取り出し始める。

 気になったら調べるは魔術師の基本なのかもうすでにそっちに集中し始めて忙しそうだった。



「うーん、お姉ちゃんとりあえず戻る?」


「うん、そうだねイリカさん忙しそうだし。それじゃぁイリカさん私たちおいとましますね」



 私がそう言ってもイリカさんは完全に自分の世界に没頭してうーんうーん唸りながら石板と本をにらめっこしている。

 仕方ないので私たちはイリカさんをそのままにこの家を出るのだった。



 * * *



「さてと、当てが外れたし街道に戻って港町を目指したいよね?」


「うん、でもサイクロプスとか言うのが出るって言ってたよね? あたしがやっつけちゃってもいいよね?」



 とりあえず街道への道には行けそうだった。

 ただ、今の所長老さんの家に御厄介になっているので何も言わずにいなくなるわけにもいかないし、かといって街道にまだサイクロプスとかがうろついているのに港町に向かうとかも心配されそうだし……



「どうしたもんかねぇ~」


「内緒であたしたちで行ってやっつけて帰ってきたらダメ?」



 ルラと長老さんの家に向かいながらそんな話をしているけど、そのサイクロプスってのがすぐに見つかるかってのもある。

 何か理由をつけてここを離れるか何かしないと。



「ん? 何だろこれ??」



 悩みながら歩いているとルラが何かに気付く。

 ルラはそっちへ歩いて行ってそれを見ると、何となくトーテムポールみたいな石で作られた柱があった。

 そしてそこへは先ほどの石板同様に古代文字がびっしり書かれていた。



「これって、もしかして村の結界?」


「ん~、そうなのかな? エルフの村の結界とは違うんだね~」



 エルフの村の結界はツタで出来た柵の様なものだった。

 それは村とエルフの森の一部を囲っていて、村の北側に蔓のアーチがあってそこに扉がある。

 時間で勝手に開いたり閉じたりするけど私たちはその門を通る事を許されていない。


 そこは外界へとつながる道だと言っていた。



 でもそうするとこれが村を守る結界か何かなのかな??



「ああ、いたいた! えーとリルさんにルラさん、ちょっと石板のエルフ語で聞きたい事が…… うわぁっ!」


 私とルラでその結界らしき石のトーテムポールを見ているとイリカさんが石板を抱えたままこちらに走ってきた。

 そしてドジっ子の如く目の前でこける。



 ひゅるるるるる~るぅ~……



 がんっ!


 ぼろっ!



「へっ?」


 こけた拍子に石板が飛んで行きトーテムポールにぶつかる。

 そして見事にトーテムポールが割れて崩れてしまった。



「いたたたたたぁ、あっ、石板石板!!」


「イリカさん大丈夫ですか? それとこの石のやつ壊れちゃったみたいですけど……」



 イリカさんを助け起こしながらルラが石板を拾ってきてイリカさんに渡す。

 石板の方は何とも無かったけど柱が粉々だ。


 イリカさんはその壊れた柱を見て徐々に青ざめて行く。



「あ”ーっ!! 村の結界がぁッ!!!!」



 やっぱり結界だったか。

 しかしこうなるともうどうしようもない。



 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴぉ……




 私がそう思っていたらいきなり地鳴りが始まるのだった。

 


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― 新着の感想 ―
[一言] >長老の話だと結構重要なモノらしいのにあまりに古くて口伝が途切れてしまって困っていたそうなの。  ここにエルハイミは来てたっぽい?  もう読んだのはだいぶ前だから、記憶から抜け落ちちまって…
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