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腹ぺこエルフの美食道~リルとルラの大冒険~  作者: さいとう みさき
第九章:道に迷う
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9-6森の魔女

エルフのマズ飯は鉄板!

ひょんなことからそんなエルフに転生した二人はひょんなことから知らない場所へと転移で飛ばされます。

そして美味しいものを探しながら故郷のエルフの村へと旅を始めるのですが……

エルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。


エルフ、エルっフ~♪

これでいろいろ調べられる♪(イリカ談)


 風のメッセンジャーがあるかもしれないからデルバの魔術師であるイリカさんの家に来ていたのだが……



「それでそれで、『時の指輪』というアイテムがあるらしいのだけどどう言った物なの?」


「え、ええとぉ、お話はしますのでもう少し離れてもらえませんか……」



 もうね、魔術師ってのは自分の興味のある事になると我を忘れるのか話を聞こうとしてイリカさんは私と鼻と鼻がくっつきそうな位近づいていた。


「ああ、ごめんごめん。つい興奮してしまって」


 いや、興奮しすぎでしょうに。

 私はため息を軽くついてから知っている事を話し始める。



「『時の指輪』はエルフの女性しか生みだす事は出来ません。私もまだ産めないので詳しくは分かりませんが、もし伴侶となる者が同じエルフ族で無い場合『生命の木』を共有してその人と指輪がはめられている限り、『生命の木』が存在する限り一緒に居られると言うモノらしいです」



 そう言いながら一瞬トランさんの笑顔がよぎる。



 ちくっと胸の痛みを感じながらそう言うとイリカさんは目を輝かせて聞いてくる。




「つまりそれって人族でも永遠に近い命を持つって事ね? 凄い! 永遠に近い生命を得る方法としてやはりエルフの研究は我が生涯の課題になるのよ!!」




 なんか勝手に盛り上がっていらっしゃる。

 本にガリガリといろいろな事を書き連ねるイリカさん。


 そしてまたまたいろいろな事を聞いてくる。

 私は仕方なくあれやこれやと答えていたのだが、なかなかキリが着かない。



「ねえ、お姉ちゃんイリカさんに風のメッセンジャー貸してもらうんじゃなかったの?」


 ナイス、ルラ!

 

 なかなかキリが着かない所へルラの援護射撃が大変助かる。

 私はすぐに話題を変えてイリカさんに聞く。



「すみません、お話の途中でしたがここへ来た目的を先にお話させてください」


「ここへ来た目的?」



 そう言って何か色々とかき込んでいた本から顔を上げるイリカさん。

 不思議そうに私の顔を見る。



「えっと、魔法使いの方なら風のメッセンジャー持っているんじゃないかと思いまして。私たちのエルフの長老に報告をと思いまして」


「風のメッセンジャーかぁ…… ごめんなさい、私みたいな一介の魔術師ではあんな高価なマジックアイテムを手に入れる事は勿論、相互設定をしてくれる相手なんかも少なくてねぇ……」



 ん?

 高価?

 相互設定??



「あの、もしかしてお持ちでない? それに相互設定とかって……」


「ああ、もしかして知らないのかな? 風のメッセンジャーってもの凄く便利なマジックアイテムなんだけど、風の精霊力が封じ込まれた魔石で設定をした間だけ連絡が取れるってアイテムなのよ。通常は国家間とか、ギルドや神殿みたいな大きな組織なんかでないと持つ事も難しいわね。なので私の所には無いです、はい」


 そう言ってちょっとショボーンとなる。

 高価なマジックアイテムと言うのは知らなかった。

 そして設定した間でだけしか連絡の取りようがないと言うのも。


「へぇ~、あれってそう言うモノだったんだぁ~。じゃあさ、シャルさんってお金持ち?」


「ああ、そう言えばシャルさんってジルの村とかと言う場所と連絡の取り合いしてたっけ?」


 ルラがそう言って初めてシャルさんの使っていた「風のメッセンジャー」がジルの村としか更新が出来ないと言う事を知った。

 意外と便利そうで不便なモノなんだなぁ。



「だから私のような魔術師は使い魔とかを使って連絡の取り合いをするの」


 そう言ってイリカさんは手をかざすと何処からかフクロウが飛んで来て手に止る。

 こう言うのを見ると確かに魔法使いっぽい。


「そうですか、そうするとファイナス長老には連絡とれないかぁ……」


「ごめんなさい、お役に立てなくて…… で、その風のメッセンジャーなんだけど元々はエルフのネットワークにヒントを得て作ったって言われているんだけどエルフのネットワークって何!? 教えて!!」


 連絡が取れないと分かって落胆するのもつかの間、イリカさんはまた目を輝かせて私に詰め寄る。



「分かりました、話しますから! 近い、近いですってばっ!!」


 

 またも興奮し始めるイリカさんを押し退ける私だったのだ。



 * * * * *


 

「え? イリカさんってここの出身じゃなかったんですか?」


「まあねぇ~。もともとはイザンカ王国の出だったんだけど、魔法学園に留学してからエルフ族について研究を始めるようになったの。ただうちって元々は貧乏貴族だったんで余裕がなくドドスの街近くの森に珍しい薬草やキノコがあるって聞いて財源確保で来たんだけどね」



 とりあえず落ち着きお茶を出してもらいながら今度はイリカさんの身の上話が始まった。

 きっかけはルラの「イリカさんの喋り方って村の人と違って分かりやすいよね~」からだった。

 確かにイリカさんは訛りとか全くないコモン語を話しているので私たちも聞き取りやすい。

 なので何処の出身か聞いているうちにこんな話になって行った。



「でも財源確保ならドドスの街あたりの方が良かったのでは?」


「うーんそれがね、この村って『魔王』が作った村って言われてて、今の技術よりずっと上の古文書とかがあったのよ! それで毒から薬を生成する方法とかマンドラゴを加工して体にもいいお茶の作り方とかも知ったの。エルフ族の事も知りたいけどここの知識もとても興味深くって既にここに住み始めて何年も経つわ」



 そう言いながらどこからともなく石板も取り出す。

 そこには古代文字らしきものがびっしりと書かれていた。



「あれ? これって村の結界の近くにある石碑の文字とそっくりだね?」


 ルラはそれに気付きそう言う。

 言われて私もその石板の文字を見ると確かに村の出入り口近くにある石碑の文字とそっくりだった。



「もしかしてエルフ族が関わっているの? これって解読できていないのだけど読める?」


「ちょっと待ってくださいね、えーと……」



 その古代文字は所々知らない文字だったけど、部分的にエルフ語に似ている。


 


 私はその分かる部分だけど読み上げ始めるのだった。

 


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