8-16置き土産かな
エルフのマズ飯は鉄板!
ひょんなことからそんなエルフに転生した二人はひょんなことから知らない場所へと転移で飛ばされます。
そして美味しいものを探しながら故郷のエルフの村へと旅を始めるのですが……
エルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。
あー忙しかったぁ~(メリーサ談)
「リルちゃん、ルラちゃんどうだった? 大丈夫だった??」
出店に戻って来ると、お客さんの行列を何とか一人でさばいているメリーサさん。
私とルラは慌てて手伝いに入る。
こんな状況でも私たちの事を心配してくれるメリーサさんに申し訳が無い。
「とにかくお客さんさばいちゃいましょう! お話はその後で、ルラ!!」
「うん、はい次のお客さんご注文は?」
色々話さなきゃならないけどまずは目の前のお客さんだ。
私とルラは急ぎクレープ販売を手伝い始めるのだった。
* * * * *
かぽ~ん
「ふうぅぅぅ~流石に一人はきつかったぁ~、嗚呼お風呂が気持ちいぃ~」
一緒に銭湯に来て湯船につかる。
あの後も結構お客さんは来ていて売り上げも結構いった。
これで「鉄板亭」の修理が終われば出店でクレープの味を知ったお客さんが来てまたお店が賑わう事だろう。
エルフ料理としてスイーツが売れると言うのは少々疑問ではあるけど。
「それでメリーサさん、こんな所で何ですけど……」
湯船につかって気持ちよさそうにしているメリーサさんに伝えなければならない。
「リルちゃん、もしかして女神信教で怒られたの? やっぱあそこでお店開いちゃまずかったの!?」
ざばっ!
「いや、それは問題無いんですけど……」
ドドスの街を出て行こうと言う話をするつもりだったのにメリーサさんは慌てて私に近寄って来て半立ち状態になっていた。
ちょうど目の前にメリーサさんの胸が見える感じ。
思わず私はそれを凝視してしまう。
「……メリーサさん、それって前より大きく成ってませんか??」
「え? 分かる?? そうなの、豊胸のお店に行く前より少し大きく成ったのよ!」
嬉しそうにそう言うメリーサさん。
くぅっ、もしかしてあの豊胸のお陰か?
いや、あの後メリーサさんもこの銭湯の「育乳の女神様式マッサージ」を受けていたからその効果か!?
「って、そうじゃなくて! あの、私たち『鉄板亭』が直ったらドドスの街を出ようと思うんです」
「え? なんで??」
驚くメリーサさんに私は話始める。
「えっと、神殿に行ったら風のメッセンジャーでエルフの長老と連絡が取れる事が分かったんですよ。それで私たちの安否について連絡出来て早く帰って来いと」
そう言うとメリーサさんはゆっくりとまた湯船にしゃがんでから聞いてくる。
「その、何時かはドドスの街を出てっちゃうのは分かったけどちょっと急じゃない?」
「はははは、確かにそうかもしれませんが何時までもここに居る訳にもいかないですからね……」
私がそう言うとちょっと寂しそうな顔をする。
でも仕方のない事。
今はこのドドスにジュメルの影は見えないけどバーグさんの話では私たちの事はジュメルに伝わっているはず。
このままここに居たらまたみんなに迷惑が掛かってしまう。
「うん、無理言っちゃだめだよね。リルちゃんもルラちゃんもエルフの村に帰るのが目的だもんね…… 分かった、でもそれまでは一緒に出店やったり銭湯にも通おうよ?」
「はい、それは勿論」
私がそう言うとメリーサさんはにっこりと笑って言う。
「それじゃそれまではまたお願いね!」
「はい」
メリーサさんのお願いに私も答えにっこりと笑う。
「と、それはさておき、リルちゃんはどうなのよ?」
「はい? なにがですか??」
「胸、少しは大きく成ったの??」
ぐっ!
メリーサさんは湯船で見えにくくなっている私の胸を見る。
確かにわずかに大きく成った。
しかしまだルラに届かない程度。
何故だ?
あれだけ毎日マッサージもやっているし、フルーツ牛乳もしっかりと飲んでいると言うのに!!
「うーん、あたし最近服がきついんだよね、胸周りが」
「え!? ちょ、ちょっとルラ、どう言う事!?」
それまで黙っていたルラが私たちの近くにまで来て半立ちになる。
そして湯船から出た自分の胸を下から支えて言う。
「う~ん、なんか最近胸が大きく成ったみたい。邪魔なだけなんだけどなぁ~」
おいこら、なんてもったいない事言ってのよ!?
ふにっと寄せてあげるルラの胸を見て私も絶句する。
た、確かに以前より大きく成っている?
もしかしてもうすぐ胸当てつけないとダメなくらい!?
「あらら~、ほんとだ。なんかリルちゃんの胸大きく成ってる」
「ぐっ! そ、そんなマッサージも受けてないのになんでルラの胸が大きく成るのよ!?」
「フルーツ牛乳のお陰かな?」
なっ!?
た、確かにこの子はフルーツ牛乳が好きでいつも二本は飲んでいる。
もしかして牛乳が効くと言うのは本当だったか!?
だったら私もこれから毎日日本フルーツ牛乳を飲まなければ!!
「うーん、リルちゃんがルラちゃんを超える事は永遠にないのかもしれないねぇ~」
「メリーサさんっ!!」
思わず銭湯に私の声がこだまするのであった。
* * * * *
「で、お姉ちゃん何を始める気? 厨房だけでも先に直ったからって」
「うん、クレープとかジェラートとか有るけどお店でやるにはちょっと品物が少ないかなって。だからパンケーキを作ろうかなってね」
出店でクレープを作るのは当たりだった。
でもそれはクレープ専門店としてで、ここ「鉄板亭」で出すスイーツとしては品数はまだ少ない。
「鉄板亭」がクレープ専門店であるならそれで問題無いけど、目的は女性客がもっと来易いスイーツのお店。
だったらもう少し女性向けの品物を増やした方が良い。
で、考えたのがパンケーキ。
ドドスにもあるって聞いてメリーサさんに作ってもらったけど、あれってパンケーキと言うよりお好み焼きか何かと言った感じだった。
流石にケバブみたいなものが有るのでドドスでは粉モノの料理も多いらしい。
しかしあのパンケーキはナンセンスだ。
「パンケーキとホットケーキって何が違うの?」
「うーん、実際は同じものなんだけど、私が知っているのはパンケーキと呼ばれるもの方が薄く焼いてるって事かな? メリーサさんが作ったあのパンケーキみたいにね」
多分それで間違い無いような気もするけど私も詳しくは分からない。
でも生前人気のお店なんかは生パンケーキとか謳ってマシュマロみたいにふわふわな分厚いのが出て来た事もあったしなぁ……
「とにかく今までのパンケーキとは確実に違うのを作るわよ!」
私はそう言って材料をボールに入れ始めるのだった。
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