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腹ぺこエルフの美食道~リルとルラの大冒険~  作者: さいとう みさき
第八章:ドドスでのエルフ料理?
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8-13狙われるエルフの姉妹

エルフのマズ飯は鉄板!

ひょんなことからそんなエルフに転生した二人はひょんなことから知らない場所へと転移で飛ばされます。

そして美味しいものを探しながら故郷のエルフの村へと旅を始めるのですが……

エルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。


バーグ、あの神官って……(リル談)



 私とルラは広場の向こうにそびえたつ女神信教の神殿へと向かっていた。



「お姉ちゃん、神殿に行ってどうするの?」


「あのバーグって神官のメモ、エルフの姉妹って私たちの事よ? 神殿で詳しく話をしてくれるって言うのなら早めに行った方が良いじゃない」


 ご丁寧にジュメルの名前まで出しているのだ、いろいろと知っているのだろう。

 たぶん、あの豊胸のお店を壊滅させたのが私たちだって言う事も知っているだろう。


 まったく、どうしてこうもいろいろと面倒事があちらからやって来るのだろうか。


「ジュメルが私たちを探しているって言うのは気になるわね?」


「悪の組織がとうとうあたしを正義の味方と認め排除に出たんだよ!」


 うん、確かにルラ相手に暴力沙汰では敵わないだろう。

 何せルラのチートスキル「最強」は多分黒龍事コクさんでも敵わないだろう。


 それだけの力を持つ私たちを探しているってのは一体どう言う事だか。

 そんな事を思いながら広場を過ぎ、神殿に入ってゆく。



 ここドドスの女神神殿はこの街の領主のお城より大きい。

 まるで神殿ではなくお城みたいな門をくぐり中に入ってゆくと礼拝堂になっていた。


 礼拝堂は天上がもの凄く高く、上の方がかすんで見えるほどだ。

 様々な装飾品は品があり、何処か神聖な感じもする。

 所々椅子に座って信者らしき人がお祈りを捧げている。

 祭壇の奥にはこめかみの横にトゲのような三つづつの癖っ気があるエルハイミさんの大人バージョンっぽい神像が祀られ、背中に羽が生えて後輪があり、愁いを持った表情で両の手を開き私たちを迎えている。



「お姉ちゃん、エルハイミさんって言うよりコクさんそっくりだね?」


「うん、まあ女神様としてみんなの前に出る時は大人の姿になっているって言ってたもんね。しかしうらやましいわねあのスタイル……」


 エルフの村で会った時は同じくらいの年頃に見えたけど、やたらと可愛いうえに胸だって同世代では大きい方だった。

 あれでエルフで無く人間族って言うのだから反則だと思う。

  

 とは言え、女神様だって言われれば納得するしかないけど。



「珍しいですね、エルフの方がお見えになるとは」


 礼拝堂の中に圧倒されながら神像を見ていたら神官さんに声をかけられた。


「あ、ども」


「こんにちは。あのこちらにバーグさんと言う神官さんいますか?」


 声をかけられたので挨拶しながら目的の人物について聞いてみる。

 するとその神官さんは頷き言う。


「バーグさんに御用ですか。呼びますのでどうぞこちらへ」


 そう言って私とルラを礼拝堂の横の扉へと呼び込む。

 私とルラは大人しくそれについて行き応接間のような場所へ通される。



「今呼んでまいりますのでこちらでしばしお待ちください」


 そう言ってその神官さんは出て行ってしまった。

 残された私とルラはとりあえず備え付けのソファーに腰を下ろす。



「さてと、一応シェルさんの知り合いって言ってるから変な事にはならないと思うけど注意はしなきゃな」


「そうなの、お姉ちゃん?」



 きょとんと首をかしげるルラだけど、バーグと言う神官はジュメルの存在を知っていてあの身のこなし。

 ただの神官じゃないだろう。

 流石にこの一年色々あったから私にだってその位は分かるようにはなって来た。



「早速の訪問、感謝するぞ」



 私がそんな事を考えていたら扉の開ける音すらさせずいきなりその声は後ろからかかって来た。

 内心驚いてはいるけどなるべく顔に出さないように振り返るとあの疲れた顔をしたバーグと名乗った神官が立っていた。



「いきなり声をかけて来るとは、女性に嫌われますよ?」


「なに、もともと女性には人気が無いからな。それに俺なんかよりあんたらのシェル様の方がよっぽどたちが悪い。いきなり目の前に現れるんだからな」



 そう言って苦笑を浮かべる。

 そして私たちの前にまで来てソファーに腰掛ける。



「さてと、単刀直入に言う。あんたら姉妹が普通のエルフじゃないってのは調べがついている。そしてあんたらのその特殊な力についてもだ。で、秘密結社ジュメルだがあんたらを探している。そしてあんたらを自分たちに取り込んで洗脳でも何でもしてでも女神様に対抗する戦力にするつもりだ」



 懐から煙草を引っ張り出し火を付けながら一気にそう言う。

 そして上を向いてふぅ~っと煙を吐く。



「そこまで分かっているんですか。で、バーグさんはそれだけを伝えるつもりだったんですか?」


「勿論それだけじゃないさ。ジッタと言うエルフは知っているか?」


「ジッタさん? 狩りが上手だったあのジッタさん?」



 出てきたその名は懐かしい名前だった。

 エルフの村でよく話しかけて来てくれたエルフの狩人。

 特にルラなんかはジッタさんが狩りで狩って来た動物たちがあると大喜びでお父さんに配給のお肉をもらいに行こうとか言っていた。



「ジッタさんがどうしたって言うの?」


 ルラはやはり聞き慣れた名前があったのでジッタさんについて聞いてみる。


「彼は死んだよ。ここドドスでジュメルに殺された」



「「!?」」



 あまりにも唐突でそして衝撃的な言葉だった。

 

 ジッタさんが殺された?

 しかもジュメルに??



「い、一体どう言う事ですか!?」



 思わず声を荒げてしまう。


「彼はエルフの村からあんたらを迎えに来ていたんだ。そしてシーナ商会とうちの神殿に顔を出してあんたらの事について情報収集していたんだ。そんな折、ジュメルに目をつけられたって事さ」




 そう言いながら目の前の神官は三本目の煙草に火を付けるのだった。

 

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