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腹ぺこエルフの美食道~リルとルラの大冒険~  作者: さいとう みさき
第七章:夢の中で
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7-4七大使徒魅惑だったアンダリヤ

エルフのマズ飯は鉄板!

ひょんなことからそんなエルフに転生した二人はひょんなことから知らない場所へと転移で飛ばされます。

そして美味しいものを探しながら故郷のエルフの村へと旅を始めるのですが……

エルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。


何なのよこのエルフたちって!!(アンダリヤ談)


「こ、殺してやるぅ! 貴様ら二人ともまとめて我が最大魔法で消し炭にしてやるぅ!!」


 

 まるで般若のような形相で呪文を唱えるアンダリヤ。

 するとルラは状況が分かっていないようで首をかしげる。


「なんでアンダリヤさんがあんなに痩せちゃってるの? それに怒っているみたいだし??」


「ルラ! 彼女は悪の秘密結社ジュメルの幹部よ! 悪いやつよ!!」


 私は服を身に付けながらそう言うとルラは表情を明るくして私に聞いてくる。



「悪の幹部!? じゃあ怪人は!? 戦闘員は!?」


「今まであんたは操られていたの! 怪人も戦闘員ももういないの! 後は悪の幹部よ! やっちゃえルラ!!」



 ルラに合わせて私はそう言うとルラはいきなりやる気になって身構える。


「よぉ~しぃ! あたしは『最強』!! いっくっぞぉ~っ!!」


 

 ばっ!



 ルラはチートスキル「最強」を発動させてアンダリヤに飛び込む。



「馬鹿め! 喰らえ【火球】ファイヤーボール!!」



 しかし飛び込んだ先にアンダリヤが唱えていた魔法が完成して大きな火球が出来あがり飛び込むルラに向けられる。


 「あたしは防御も『最強』!!」


 しかし寸での所でルラは「最強」スキルを防御に極振りしてその【火球】を受ける。

 途端にルラを真っ赤な炎が包み爆発するかのように燃え上がる。



「ふはははははははっ! 馬鹿め! 魔法の【火球】の火はそうそう簡単に消せない、消し炭になれ!!」



 高笑いするアンダリヤだったけど、次の瞬間炎の中から飛び出したルラに驚く。


「うぉおおおおぉぉぉっっ!」


「なっ!? 馬鹿なっ!!」



 ばっ!

  


 炎の中から全くと言って良いほど無傷なルラが飛び出る。

 問題はルラの服が燃えて真っ裸と言う事だけど……



「くっ! 【絶対防壁】!!」



 ガンっ!!



 しかし飛び掛かるルラにアンダリヤは口早に呪文を唱え目の前に見えない壁を展開する。

 ルラの放った拳はその見えない壁に遮られ止められてしまった。


「くそっ! 一体どう言う事よ!? なんでこのエルフは無傷なのよ!?」


「まだまだぁ!」


 

 びきっ!

 びきびきびきっ!!


 パキーンっ!



「馬鹿な!? 【絶対防壁】を突き破るだなんて!? 物理攻撃も魔法も絶対に防御できる最上級魔法が!?」


「あたしは『最強』! こんなモノであたしは止められないの!! 必殺ぱーんち!」



 ばきっ!



「ぐはっ!」


 ルラの放った拳はアンダリヤを見事にとらえ、殴り飛ばして壁にたたきつける。

 哀れアンダリヤは壁にぶつかった衝撃で気を失い白目をむいている。



「ルラ、もしかして殺しちゃったの?」


「手加減はしてるから死んでないと思うよ? それよりお姉ちゃん、これで悪の幹部は倒したんだよね!?」



 びしっ!



 なんか変な決めポーズを取っているけど真っ裸なので様にならない。

 私は慌ててポーチから代えの服を取り出しルラに着させる。


「とにかくここは悪の秘密結社ジュメルの『賢者の石』を作る為の施設だったの。メリーサさんも他の女性もこいつらに魂削られてああなっちゃったんだよ、ここは破壊しなきゃだめだよ!!」


 私はルラにそう言うとルラは頷きすぐに他の部屋に向かうのだった。



 * * *



「このぉっ!」


「ぐはぁっ!」



 ばきっ!



 他の部屋にいた女性スタッフはルラと私の姿を見るとなんと変身して全身黒づくめの戦闘員ぽくなった。

 そしてルラに簡単に倒されるのだけど、倒されるとシュワシュワと泡になって消えて行く。


 なんでこんな所までヒーローもののお約束通りなの……


 しかし、それを見てルラのテンションはさらに上がりどんどんと捕らえられていた女性たちを助け出す。



「皆さん逃げてください! この豊胸は魂を削った一時的なものなのです! 早く逃げてください!!」


 私がそう言うとやはり、ぼう~っとした女性たちはふらふらと立ち上がり私の誘導で店の外へと向かう。


 

「くっ! 貴様ら一体何者だ!? アンダリヤ様はどうなった!?」


「悪の幹部アンダリヤはあたしが倒した! さあ、悪の秘密結社ジュメル覚悟しろ!!」



 びしっ!



 なんか月に変わってお仕置きしそうなポーズを取るルラ。

 この娘、いろんなヒーローもの見てたのね……


 そんなルラに敵いもしないのにお約束で突っ込んでいくジュメルの戦闘員の皆さん。

 これで怪人が出てきたら完全に順序違いなんだけど流石に怪人は用意されてなかったようで、私たちは地下にある秘密っぽい部屋の前まで来ていた。



「どうやらここが『賢者の石』を作っている場所のようね?」


「ここを破壊すればこの悪の組織のアジトは壊滅だね!? よぉ~しぃ!!」



 どがんっ!



 ルラはその扉を蹴り破り中に入る。

 するとそこは無人でガラスの筒がたくさん並べられていた。


 いろいろな化学室に有りそうな道具があって何が何だか分からないけど赤い液体が最後に大きな筒に流れ込んでいた。

 そしてそこには小さな赤い石がいろいろな線に繋がって浮いていた。


「これが『賢者の石』ね? こんなモノがメリーサさんたちの魂を削って作られてたなんて、許せない! そしてあのアンダリヤの胸はこの『賢者の石』のお陰で出来たフェイク…… くっそぉ~、今度こそ本当に胸が大きく成ると思ったのにぃ!!」


 結局はかりそめの豊胸。

 もしこの『賢者の石』が無くなったらあのムチムチのナイスボディーだったアンダリヤも元のがりがりの姿に戻る。

 つまりフェイク!!


 私は、きっ! とそれらの設備を見て手をかざす。



「やっと胸が大きく成ると思ったのにぃ! こんなの全部『消し去る』!! 馬鹿ぁっ!!」



 私のチートスキル「消し去るで」目の前にあった設備一式は奇麗さっぱり消え去った。



「お姉ちゃん、これでこのアジトは壊滅だね! 正義は勝つ!!」



 シャキーン!



 またまたルラは変な決めポーズをして高々と勝利宣言をするのだった。



 * * *



「あ、あれ? 悪の幹部がいない??」


「え? しまった、まさか気が付いて逃げ出したか!? あー、ミスった。先に縄か何かで縛りあげておけばよかった!!」



 ルラが倒した戦闘員はみんな泡になって消えてしまったけど、ジュメル七大使徒の一人、魅惑だったアンダリヤは気を失っていたはずだった。

 そいつを捕まえてこの街の衛兵さんに突き出そうと思ったらすでにいなくなっていた。


 ルラの話だと手加減しているから死んではいないだろうと言う事だったけど、こんなに早く気が付いて逃げ出すとは思っても見なかった。



「仕方ない、とにかく『鉄板亭』に戻ってメリーサさんにこの事実を話さなきゃね。ルラ、戻ろう」


「うん、お姉ちゃん!」



 私たちは壊滅させたジュメルのアジトを後にしたのだった。



 * * * * *



「鉄板亭」に戻って事の顛末をメリーサさんに話そうと思ったら何故か大騒ぎになっていた。



「なにこれ、どう言う事ぉ!?」


「お、落ち着けメリーサ!」



 なにやらメリーサさんの部屋で騒ぎが起こっているらしい。

 私とルラはメリーサさんの部屋に入ってゆく。



「どうしたんですかメリーサさん!?」


「何があったの??」



 私とルラがメリーサさんの部屋に入ると鶏の香味野菜スープを携えたおかみさんと亭主さんがいた。

 そしてベッドの上で取り乱しているメリーサさんも。



「リルちゃん、ルラちゃん!!」



 部屋に入ってきた私たちに気付いたメリーサさんは涙目で私たちを見る。

 そして私は気づいた。


「メ、メリーサさん、その胸は……」


「胸がムズムズして目が覚めたら元のサイズに戻っていたの! あれだけ大きく成り始めていた私の胸が!!」


「あ~、それは悪の秘密結社ジュ…… もごっ!?」


 ルラが真相を言い始めるのを私は慌てて口を手で塞いで止める。



 まさかあの消した「賢者の石」ってメリーサさんたちにも影響を及ぼしていたとは!


 言えない。

 もし私が「賢者の石」を消し去ってその影響力が消えたとか言ったらメリーサさんたちに殺される。



「え、えっとぉ、あの豊胸のお店いきなりお店をたたんでしまったみたいですよ?」


「なっ!? それじゃぁ私の胸は!? 憧れの揺れる胸はぁっ!?」



 メリーサさんと目を合わせない様にして私はルラの口をふさいだまま乾いた笑いをする。

 そしてなんとかいろいろと誤魔化して銭湯に行くと言ってその場を後にするのだった。



 * * * * *



 かぽーん



「お姉ちゃん、なんでメリーサさんに本当の事言わなかったの?」


「あのねルラ、正義のヒーローは内緒で地道に悪の組織と戦うのでしょ? メリーサさんに本当のこと言って今度はメリーサさんが悪の組織に狙われたらどうするのよ?」


「おおっ! なるほど!!」



 湯船に一緒に入りながらルラにそう説明すると簡単に納得してくれた。


 うん、これで「賢者の石」を消し去ったのが私だとばれる事は無くなった。

 そしてここ銭湯にはまたたくさんの胸の控えめな女性客が増えていた。



「さてと、順番札も貰っているしそろそろ体洗ってマッサージを受けに行こうかな?」


「ん~、お姉ちゃんの胸少し大きく成った?」



 ふにょ!



「きゃっ! ル、ルラ、いきなり胸揉まない! あんっ! ちょ、ちょっとぉ!!」


「うーん、お姉ちゃんお胸揉んでるの結構好きかも、おっぱいって小さくてもフニフニしてなんか面白いよね~? あれ、なんか硬くなってくるところがある??」


 お湯の中で胸を揉まれちょっと反応してしまう私。



「もう、やめないさいってば!! ら、らめぇえええええぇぇぇえぇっ♡」



 意外と上手なルラ。

 思わず銭湯の中で変な悲鳴を上げてしまう私だった。  

 


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