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腹ぺこエルフの美食道~リルとルラの大冒険~  作者: さいとう みさき
第七章:夢の中で
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7-1リル落ちる

エルフのマズ飯は鉄板!

ひょんなことからそんなエルフに転生した二人はひょんなことから知らない場所へと転移で飛ばされます。

そして美味しいものを探しながら故郷のエルフの村へと旅を始めるのですが……

エルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。


こ、これで私の胸も!(リル談)


 アンダリヤさんの誘いで豊胸のお店の宣伝を手伝う事となった。



「取りあえずこちらへどうぞ。今から栄養剤を持ってきますね。ああ、そうだルラさんでしたよね、ルラさんも是非どうでしょうか? 双子のエルフの姉妹が同じく豊胸に成功したともなればお店の信頼もぐっと上がると言うモノです」


 アンダリヤさんはそう言ってルラににっこりと笑うけどルラは首を振って言う。


「あたしは今のままでいいや。別におっぱい大きく無くても困らないし」


「ルラ、本当に良いの?」


「うん、邪魔なだけだもん!」


 はっきりと良い笑顔でそう言われると何と言って良いのやら。

 まあ、この辺は個人の考えの問題だから強要は出来ない。



「そうですか、残念ですね。でも栄養剤は余分に準備しますので是非にも試してみてください」


 そう言いながら通された部屋には施術台のベッドがあった。

 私たちはそこへ通され、私は施術台に座るように言われる。


 そして持ってきた栄養剤を手渡される。



「どうぞ、栄養素を豊富に含んだ栄養剤です。まずはぐぐっとどうぞ」


 アンダリヤさんにそう言われ手渡されたコップに入った液体を飲む。

 それは何と言ったらいいのかやたらと甘く美味しいものだった。



「ふわっ! なにこれ美味しい!!」


「ほ、ほんとだ。初めて飲む味だけどなんて飲みやすくて甘いの」



「ふふふふっ、女性の体に必要な栄養素を豊富に含んだ飲み物ですよ。とても吸収されやすく優秀な栄養剤なんですよ」


 アンダリヤさんにそう言われ私は服を脱ぐ。

 上半身裸になり施術台に寝そべるよう言われる。



「いいですか、リルさん。これより施術を始めますよ? 魔力が胸に集中しますが驚かずに身を任せてくださいね?」


「ええぇと、分かりました……」



 何だろう、横になっているせいかな? 

 やたらとアンダリヤさんの声が遠くに聞こえる。

 いや、なんか見えている風景もグラグラしている?


 ええぇとぉ……



「ふふふふふ、大丈夫、何も考えなくて良いんですよぉ~。リルさん、あなたは私の声だけを聞けばいい。そう、体の力を抜いて私の声だけを聴くのです。そう、ゆっくりとゆっくりと……」



 アンダリヤさんの声が更に私の中に染み込んできてそれ以外の認識がおかしくなってくる。


 心の奥底で警告の鐘が鳴っているけど、もうそれもよく聞こえない。

 ちらっとルラを見ると座ったまま寝ている様だ。



 ええぇとぉ……



 まとまらない考えの中私の意識はどんどん遠くへを落ちてゆくのだった。

 


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 えーと、私は何していたんだっけ?

 ふと気が付いて手を見ると歯ブラシを持っていた。


 この世界で歯ブラシなんてものは無く、木の枝の様なもので歯を擦るだけのはずだったのに。


 そう思い目の前を見ると鏡があった。

 そしてそこに映し出されているのは榛名愛結葉だった。



「え? 私……」



 いつもの制服姿。

 そう言えば歯を磨いていたんだっけ。

 早く磨いて顔洗って前髪を整えて……


 毎日同じことをやって急がないと学校に遅れてしまう。


 それにいつも私が顔を洗っているとお兄ちゃんがパンツ一丁でやって来る。

 まったくうら若き乙女がいると言うのに。



「ん、やっぱり前髪が上手く整わないなぁ……」



 そう、これのせいであの日出かけるのが遅れ慌てて走って行ったんだっけ……



 慌てて?


 あれ? 

 そう言えばまだお兄ちゃんが来ない??  



 私がそう思った瞬間場面が変わっていた。

 そう、あの小学生が道を無理矢理渡ろうとしていたあの場面に!



「あっ!」


 そう思った瞬間身体が動いていたけど赤城拓人君に全然手が届かない。

 このままじゃトラックに!!



「駄目っ!!」



 私がそう叫んでいるのに声も出ないし体も動かない。

 

 一体どう言う事よ!?

 このままじゃ拓人君が、ルラが!!



 ルラ?


 え?

 ルラってエルフの双子の妹で女の子だよ?

 

 私の可愛い妹。

 そして同じ秘密を持つ私の仲間……




『それがあなたの秘密なの?』


「秘密って言うか、私が私になる前の私……」



 何処からか聞こえてきた声に私は答えていた。

 なんでこんな事に答えているのだろうか?



『それじゃぁ、あなたの秘密の力ってどうやって手に入れたの?』


「それはあの駄女神が私の願いを勝手に勘違いして……」



 エルハイミさんそっくりの「あのお方」。

 いや、私たちと接触する為にこの世界の端末であるエルハイミさんの姿を借りて私たちと会話していたんだっけ?

 エルハイミさんの駄目な所までしっかりと再現して……



『それじゃぁ、その女神様からその力はもらったの?』


「ちょっと違う。あの駄女神は女神様じゃなくもっとすごいモノ。『あのお方』って言う神様…… ちがう、神様以上の存在……」



 私がそう答えた瞬間その声は歓喜に包まれた。



『そう、じゃあその力は女神様以上なの?』


「うん、多分そう…… この力は『あのお方』の力とつながっている。だからエルハイミさんと同じ力……」



『じゃあ、もう一人の子も同じなの?』


「うん、ルラも同じ。『あのお方』の力を持っているの。『最強』の力を……」



 私は言われたことに対して何の疑問も持たずに答える。

 私の意思とは関係なく。



『そう、そうなのね! 素晴らしいわ!!』





 そう言ってその女性の声は高々と笑うのだった。 



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