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腹ぺこエルフの美食道~リルとルラの大冒険~  作者: さいとう みさき
第六章:ドドス共和国
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6-23今日も銭湯へ

エルフのマズ飯は鉄板!

ひょんなことからそんなエルフに転生した二人はひょんなことから知らない場所へと転移で飛ばされます。

そして美味しいものを探しながら故郷のエルフの村へと旅を始めるのですが……

エルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。


ひんっ♡(リル談)


 当分ここドドスの街に滞在する事に決めた私たちはまたここ女神神殿の銭湯に来ていた。



「お姉ちゃん大丈夫?」


「はぁはぁ、やるわね『育乳の女神様式マッサージ』、危うく今日は二回も……」


「ん~? なにが二回かなぁ??」



 真っ赤な顔してマッサージルームからメリーサさんと一緒に出て来る。

 ルラはマッサージが嫌だから外で待っていたけど、私が出てくるとすぐに寄って来ていた。



「な、なんでもありません! そ、それより効いている効いている」



 自分でも胸がじんじんしていて張っているのが分かる。

 まあマッサージで血流が良くなって感度が上がってその結果胸が張って大きく成っているのだろうけど、こうして確実に効果が出ていると大いに期待が持てる。



「ふう、今日も良かったね~。さてと、体を流してから出ましょうか?」


「はい、そうですね」


「わーい、お姉ちゃんフルーツ牛乳ね!!」



 そう言いながら私たちは体を流してから良く拭いて脱衣所へと向かうのだった。



 * * *



「ん? なんか今日は空いてますか?」


「ほんとだ、この時間でこれしか人がいない?」


「お姉ちゃん、新作のフルーツ牛乳があるって! あたしそれ試したい!!」



 脱衣所で貴重品と札を交換してフルーツ牛乳を買っていると何となくお客さんがまばらなのに気付く。

 そう言えばマッサージも待つことなくすぐに出来たし、こういう日もあるのかな?


「珍しいね、何時も混んでいるのに。この時間だって結構お客さん来ているいる時間だったのに」


 メリーサさんもフルーツ牛乳を飲みながらそんな事言っている。


「っぷっはぁーっ!! ふう、そうなんですか??」


 話は聞いていたけど銭湯でのフルーツ牛乳一気飲みの儀式はしっかりとする私。

 やっぱお風呂上りはこれしないと気が済まないよね~?



「お姉ちゃん、もう一本良い?」


「いいけど、お腹壊さないでよね?」


 そう言いながら私も代金を払いながらもう一本買って今度はゆっくりとそれを飲みながらもう一度周りを見る。


「まあ、こう言った日もあるのかな? 空いてて楽でいいけどね」


 メリーサさんもそう言いながらもう一本フルーツ牛乳を購入するのだった。



 * * * * *



「何あれ??」



 銭湯を出てメリーサさんが香辛料を買いに行くと言うので一緒にお城の向こう側の市場近くに来ていた。

 すると市場の入り口付近で女性たちが集まっている場所がある。


 気になってそっちに行ってみると……



「さぁさぁ、世に悩みを持つ女性たちよ、もうあなたの悩みはすぐに消え去ります! 安心安全、後遺症も何も無い最新技術による夢の豊胸、あなたも憧れの胸に今すぐなれますよ!!」



 そう言って何やら宣伝をしている女性はやたらとグラマラスな服装で豊かな胸をお持ちの人だった。



「最新技術による豊胸、ちまちまマッサージを受ける必要もリバウンドで元に戻ることも全くありません! たった五回の施術で安定した夢の胸があなたの手に! 今なら会員登録料が無料! しかも初回施術が無料のキャンペーン中! 先着二百名様と言う大盤振る舞い! 二の足踏んでいる時ですか? やるなら何時ですか? そう、今でしょ!?」



 女性たちの輪に入ってその宣伝をする女性の話を聞く。

 後ろには「最新技術による豊胸」と書かれた看板がかかっている。



「なんですかあれ?」


「なんだろうね? 昨日までは無かったのに。でも手術で胸を大きくするのってなんか怖いよね?」


 思わずメリーサさんに聞いてみると、メリーサさんもよく知らない様だった。

 昨日までは無かったって、もしかしてこれのせいで今日は銭湯が空いていた?


 そう、私が思っていると話を聞いていた女性陣の誰かが声をあげる。



「その施術って本当に安全なの?」


「手術よね? 大丈夫なの?」


「登録無料とか、初回無料とか言ってるけど、二回目からやたらと高く成るんじゃないの?」


「効果あるのかしら?」



 まあ、皆さん思う所は同じだろう。

 実際手術となればどう考えてもお金も時間もかかりそうだし、安全面で不安が残る。

 しかしその宣伝をしている女性はいきなり自分の胸を持ち上げて言い出す。



「ご安心ください! 我が社の豊胸技術は女性本来の持つ力を活性化させそして豊胸を実現する技術です! ご覧くださいこの映像を!!」



 そう言ってその女性は手を振ると他のスタッフが何やら詠唱をして水晶から虚空にまるで映画のスクリーンのように画像を映し出す。

 そしてそこには宣伝で胸を持ち上げている女性が映っているのだけど……



「か、壊滅的なペタンコ!?」



 思わず親近感がわくほどの見事なペタンコ。

 いや、私だって多少は膨らみがあると言うのに先端のピンク色の突起がある以外何も無いだとぉ!?


 そのあまりの光景に思わずぐっとこぶしを握ってしまう私。


 初めてだった。

 心底勝ったと思ったのは!!




「これは半年前の私です。人生に絶望をしてそして告白するたびに苦渋の涙を流したいた私。しかしご覧ください!!」



 映像は次の場面に移り変わる。

 胸に何やら注射のような物をしている。

 そして何やらモザイクのかかった飲み物を飲んでいる様子。



「これは女性本来の力を活性化させる魔道薬! 体内の女性の力に作用して女性本来の力が活性化されるのです! おかげで貧相だった私の身体は施術を受けるたびにぐんぐんと肉付きが良く成り、胸だって膨らみ、生理だって順調に予定通り来るようになりました。しかも毎月の痛みが激減!!」



 おおおおぉぉぉぉ……



 それを見た女性たちが驚きの声をあげる。



「ま、毎月の生理痛が激減!? 本当かな!!!?」


「メ、メリーサさん??」



 隣で話を聞いていたメリーサさんがやたらと興奮し始めている。

 メリーサさんはこっちを見て目を輝かせて言う。



「私毎月結構と痛むのよ! それが激減だなんて! リルさんは毎月痛くならないの!?」


「いや、私ってまだ来てないので……」


「ええっ!? その歳でまだ来てないの!?」



 いや、外観上は人間でいう十五、六歳だけど、エルフは子供が生める様な身体になるには二百年くらいかかるらしい。


 丁度果物の木が大きく成ってもすぐに実が結べないのと同じらしく、まずは体が支

障ないくらいに成長をしてから徐々にそう言う身体になっていくそうな。

 しかも植物と同じく繁殖期は年一回くらい。

 まさしく果物の木と同じだ。



「私たちエルフって、二百歳くらいにならないとアレ来ないらしいんですよ。それに月のモノはエルフは年のモノって言われるサイクルなんですよ」


「何それ! うらやましい!! 毎月私なんか痛いときは半日は寝込むってのに!!

 って、リルさんて何歳なの?」


「えーと、生まれてから十六年なので十六歳ですね」


 うち一年近くこっちでふらついてますけど。

 

 それを聞いてメリーサさんは驚くと同時にまじまじと私を見る。



「十六歳? 私と同じ年?? えー、意外。エルフの人だからてっきりもっと大人だと思っていた。じゃあリルちゃんで良いね!? しかしうらやましいなぁ、あと百八十年はアレのわずらわしさ知らなくて済むんだ」



 うん、知ってる。

 生前は私も経験してるから。

 でも寝込むほどとは相当なんだ。

 体育の授業を休んだり、保健室に行って休んだことはあったけど寝込むほどにはなった事無いなぁ……



「お姉ちゃん、『生理』って何?」


「うーん、ルラにはまだ早いわよ。そのうち教えるから」


「なんか仲間外れみたいだなぁ~」



 まあ実際になってみなきゃあのわずらわしさは分からない。

 ましてやルラは元男の子。

 口で説明するよりは体験してもらった方が理解しやすいもんね。



 そんな話をしているとまたまた女性たちが声をあげる。

 なにかと思ってみてみれば画像が変わってあの女性の胸が膨らみ、たわわになり始めていた。


 そしてどう言った原理かは知らないけど画像の右下には記録された時間が表示されている。



「どうでしょうか? この半年、私はこのような立派なものを手に入れました! そしてそれは私だけでは無いのです。我が社のスタッフは安心の全員女性スタッフのみ! そして彼女たちも元は私と同じ不遇な身体だったのです。しかしご覧ください彼女たちを!!」



 ばっ!!



 今まで垂れ幕が下がっていたお店の前のステージの幕が落ちてその後ろにナイスバディ―の女性たちが水着姿で決めポーズをしていた。



「彼女たちは全員我が社のスタッフです! そう、元はこの映像の通りの女性たちだったのです!!」



 そう言うと映し出されている映像が代わり、ポーズを取っている女性たちを同じ順番で同じ人と思われる不遇な胸の持ち主の女性たちが並ぶ映像が流れる!



 どよっ!



 その映像と今目の前に並んでいる女性たちは明らかに同一人物。

 その代わりざまにここに集まった女性たちは動揺の声が上がる。



「む、無料なら少しくらい試してみても良いかしら?」


「あんなに実例が……」


「本当に変な事無いのでしょうね?」


「うっそ、あそこまで大きく成るの?」



 だんだんと女性陣の輪が小さくなってゆく。



「それでは受付を始めましょう! さあ、先着二百名様ですよ、二百名様!!」



 その女性がそ言った途端、女性員の輪が一気に崩れて殺到する。

 そのあまりの様子に思わず私は引きつって隣にいるメリーサさんに話しかける。



「凄いですね、でもエルフの私にも効くのかなぁ? って、あれ? メリーサさん!?」


「お姉ちゃん、メリーサさんあそこだよ~」





 見れば女性陣の輪の中に激闘を繰り広、先着二百名様のチケットを手に入れようとするメリーサさんの姿があったのだった。  



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― 新着の感想 ―
[一言] >「ん? なんか今日は空いてますか?」 >「ほんとだ、この時間でこれしか人がいない?」 >市場の入り口付近で女性たちが集まっている場所がある。 ???「これは……ゴルゴ○(ジュメル)の仕業…
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