6-18育乳の女神
エルフのマズ飯は鉄板!
ひょんなことからそんなエルフに転生した二人はひょんなことから知らない場所へと転移で飛ばされます。
そして美味しいものを探しながら故郷のエルフの村へと旅を始めるのですが……
エルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。
あれ、これって……(ルラ談)
「槌亭」で食事をしてから教えてもらった育乳の女神様の神殿に行く事にした。
「ふわぁ! このヨーグルトソースって美味しいね! なにこれ、クリームみたいなのにさっぱりしている~」
「もごもごもご、ごくん。うん、確かに美味しい。これってケバブそっくりね。香辛料も似たようなの使ってるみたいだし後で市場ものぞいてみようか? と、これって殻ごと出て来る物なのね……」
ナンの焼き肉挟みヨーグルトソースは正しくケバブのような味だった。
クミンが効いていて獅子牛らしい肉はヨーグルトソースのさわやかな味わいがとても合い美味しかった。
しかしもう一つの名物料理と言うロックキャタピラーは油で揚げているのだろうか?
お腹の気持ち悪い色が奇麗にきつね色に変わっていて何とか見れるくらいにはなっていた。
そして大きさもイセエビくらい。
本来こいつは大きく成ると人より大きい個体もいる。
そして強力な酸の毒を吐くので危ない。
エルフの村でも捕まえるのはこのイセエビくらいのやつ。
大体が捕まえて素焼きにして殻を割って白っぽい身をむき出して塩をかけて食べる。
中身だけならまさしくエビみたいで知らなければ問題無いのだけどね~。
「これってお父さんが好きなやつ? お姉ちゃんがキャーキャー言ってなかなか食べなかったエビみたいな味のやつ?」
「うん、ロックキャタピラーだね。これって洞窟とか岩場にいるよね。まあ、流石に今なら食べられるけど……」
主に見た目が何とかなっているのでお腹と背中の間にナイフを入れてバリっと殻をむく。
こいつは火を通すと皮がむけやすくなるので中の白身がぷりぷりと出て来てホワンと湯気が立つ。
「一応名物料理って言うのだから食べて見ましょ」
「うん、いただきまーす!」
言いながらナイフで身を切りお皿の下に残っているソースを絡めて食べる。
「ん!!」
「はふはふ、おいひぃ!」
少し赤いソースはチリソースっぽくて、白身をつけて食べるとまるでエビチリソースのような味わいだった。
少し甘みのあるぷりぷりとした食感のエビみたいなロックキャタピラー。
ソースもニンニクが強めの甘みもあるピリ辛のチリソース。
これは当たりだった。
「見た目が問題だったけど、こう言う食べ方すればアリね、美味しい!」
「うん、エビチリソースみたい! 昔桃のマークのレストランで食べたの同じ味だぁ」
私とルラは魔物と言う事をすっかり忘れてこのロックキャタピラーに舌鼓するのだった。
* * * * *
「美味しかったねぇ~」
「うん、意外だったね。魔物もちゃんと料理すれば美味しく食べられるもんなんだ」
大通りを歩きながらルラとそんな話をしている。
まあ、食べず嫌いってあるけど認識を変えなければいけないかもしれない。
見た目が悪くても美味しい物ってあるもんね。
生前お寿司屋さんで蝦蛄ってものを食べた事があったけど味はエビよりおいしかった。
気になったので後で調べたらもの凄く気持ち悪い海の生き物だった。
そう言えば生前の家族旅行で行った大洗のアンコウ鍋は美味しかったけど、アンコウ自体はぶにょぶにょして気持ち悪かったなぁ。
「日本人も大概気持ち悪いもの食べてるわね、そう考えると……」
「お姉ちゃん、あれかなその神殿って?」
あれやこれやと考えているとルラが指さしそう言う。
顔を上げその先を見るとやたらとデカい神殿があった。
いや、なんかその隣のお城みたいなやつより大きい?
そして驚くことにその神殿に女の子たちが並んでいた。
もしかしてこれって……
私は並んでいる女の子たちの胸を見ると間違いない。
同志だ!!
「ほぇ~、結構並んでるねぇ~」
「う、うん。でもこれで私も貧乳から解放されるのよ!! すみませ~ん」
私は最後尾に並んでいる女の子に話しかける。
「あの、これってその、育乳の女神様の神殿に並んでる列ですか?」
「はい? ええ、そうですけど…… もしかしてエルフの方!? うわっ、初めて見た。ほんと、噂通り奇麗……」
最後尾に並んでいた女の子に声をかけると間違いなくここが育乳の女神様の神殿で、その為に来た女の子たちらしい。
そしてその目的は並んでいる女の子たちの胸のサイズが物語っている。
「ははははは、ありがとうございます。でも私たちはエルフでは普通ですよ。人間の人でもうらやましいほどかわいい人もいますし……」
私はそう言いながらシェルさんやシャルさん、エルハイミさんなんかを思い出していた。
シェルさんやシャルさんはエルフの中でも飛び切りの美人だ。
特にシェルさんなんて絶対「C」サイズはあるプロポーション。
エルフの中では大きい方だ。
シャルさんだってスタイルはスレンダーだけど、「B」判定はある。
立派な大人の女性で、せめてあのくらいにはなりたい。
そしてエルハイミさん。
あれは卑怯だ。
可愛すぎる。
それに女神様やってる大人バージョンはコクさんとそっくりらしい。
コクさんだってエルハイミさんのお姉さんみたいで凄い美人だ。
しかも胸が大きい。
ああいった美人のエルフやエルハイミさんたちを見ていると自分が奇麗だとか可愛いだとかという自信が無くなって来る。
「そうなんですか? でもいいなぁ、私なんかそばかす全然消えないし、髪の毛も赤茶で濁っていて…… だからせめて胸位はと思うんですけどなかなか育たなくって」
「分かります! エルフ族は胸が小さいのがお約束。でもせめて人並みには欲しいですよね!?」
「そうですよね、人並みには欲しいですよね!!」
何故か意気投合する私たち。
やはり小さい胸のお悩みは女の子誰もが持っている問題。
「私、メリーサって言います。あなたは?」
「私はリルって言います、こっちは双子の妹ルラです」
思わず自己紹介をする私たち。
そこには同じ問題を抱える女の子たちの熱い思いがあった。
「ところで皆さん並んでいるこの行列は何なんですか?」
「あら? リルさんは初めてなの? これはね、育乳の女神様直伝の『育乳の女神様式マッサージ』を受けられる銭湯に並んでいるのよ」
「銭湯? お風呂ですか??」
「そう、お風呂に入って体を清めてからそのマッサージを受けると胸が大きく成るってもっぱらの噂なのよ!」
そう言うメリーサさんの表情は明るい。
と言う事は、これは期待をしても良いのではないだろうか?
「なるほど、現実味がありますね! よっし、私たちも並ぶわよルラ!」
「え~、あたしどうでもいいのにぃ~。胸大きく成ると邪魔なのになぁ~」
あまり興味のなさそうなルラを無視して私はさらに詳しくメリーサさんに話を聞くのだった。
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