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腹ぺこエルフの美食道~リルとルラの大冒険~  作者: さいとう みさき
第六章:ドドス共和国
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6-2ユエバの街帰還

エルフのマズ飯は鉄板!

ひょんなことからそんなエルフに転生した二人はひょんなことから知らない場所へと転移で飛ばされます。

そして美味しいものを探しながら故郷のエルフの村へと旅を始めるのですが……

エルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。


さあ、飲むわよぉ!(カリナ談)


 何だかんだ言って私たちはユエバの街に到着した。



「はぁ~、やっと戻って来られた。本当なら遠の昔に戻って来ていて報酬をもらって一杯やっていたのにねぇ~」


「いや、カリナさんは今までだって散々飲んでたじゃないですか……」



 事有る毎に宴会を開きたがるカリナさんはそれでもホームとなる街に帰って来たので嬉しそうだ。

 カリナさんの話だとなんだかんだ言って千年近くこのユエバの街にいるそうだ。


 

「何とか戻って来られたな」


「ああ、今回の依頼は結構ヤバかったがふたを開ければもっとやばかったな」


「まあそれでも今回も生き残れたのです、私たち『エルフの剣』の名もこれで更に有名になるでしょう」



 トーイさんやザラスさん、ネッドさんも何となくほっとした感じがする。

 まあそれは分からなくはない。

 もう行く事も無いと思うレッドゲイルに半年近くいた私だってあのレッドゲイルはもう懐かしい場所になっているから。



「さてと、それじゃぁ依頼の報酬をもらいにカーネルの所へ行こうかしら?」



「ギルドマスター、嫌な顔するだろうな」


「それでもカリナの情報はユエバの街にとって重要でしたからね」


「ま、そう言う事だ。しっかり働いてしっかりと報酬をもらう、それが俺たち冒険者だからな」



 カリナさんは冒険者ギルドに向かい始めるとトーイさんやネッドさん、ザラスさんはカリナさんの後を追いながらそんな事を言っている。



「お姉ちゃん、あたしたちはどうするの?」


「うーん、とりあえずカリナさんたちについて行って、いろいろ片づけをしたらキャラバンか何かを探してドドスに向かいましょう」


 ルラが私にそう聞いてくるので私は答える。

 どちらにせよこのユエバの街だってそれほど詳しくはないしね。

 私とルラもカリナさんにくっついて冒険者ギルドに向かうのだった。



 * * * * *



「まったく、お前さんってやつは悪運だけは強いな? よく黒龍様の機嫌を損ねずに帰って来たもんだ」


「まあね、黒龍様とは何度か面識もあるしクロエ様にはいろいろと世話になっていたしね」



 冒険者ギルドに着くとカリナさんは相変わらず勝手にずかずかと二階に上がって行きギルドマスターの部屋に入ってゆく。

 そして今までの事を報告し終わるとしっかりと報酬をもらってから出されたお茶を飲んで雑談をしている。


 ユエバの街はジマの国の冒険者ギルドからの連絡で今にも街を捨てて逃げ出そうとしていたのがどうにかそうならずに済んで街の住人達も安堵の息を吐いていたそうだ。

 近隣の魔獣たちも落ち着きを取り戻したらしく今ではあの時ほど魔獣が出ない様になっているらしい。



「しかし、女神様と黒龍様が今はあの大迷宮におられないと言うのか?」


「ええ、でも絶対に関わっちゃだめよ? もし関わったらこのユエバの街が無くなるからね?」



 冗談半分で言っているのかと思いきや、ギルドマスターのカーネルさんはかなり真剣な表情でカリナさんに聞く。



「それ、マジか?」


「マジよ、大マジ」



しばしにらみ合っている二人だったが、カーネルさんはおもむろにギルドの人を呼んで伝令を伝える。



「いいか、もし黒龍様たちを見かけたら全力で逃げろ! これは他のギルドにも伝達しておけ!! 絶対に関わるなよ!? 破滅するからな!!」



 真剣な顔でそう唾を飛び散らかしながら言う。

 まるで大災害でも起こったかのように。

 カリナさんはそれを見て大いに満足した様で立ち上がる。


「さてと、伝える事も何も全部話したから私たちは行くわよ?」


「ああ、分かった。カリナよ、もし黒龍様たちが来たら全力で逃げるからその時は力を貸せよ?」


「逃げ遅れたのまでは面倒見れないからね? 私もまだ死にたくはないからね」


 そう言うカリナさんも本気の表情だった。

 それ程までなのだろうか……



「まあ、この位に気を配っておかないと十五年くらい前のレッドゲイルの二の舞になりますからね」


「あの話、本当だったんだ」


「『鋼鉄の鎧騎士』全滅の話か…… そう言えば『女神の伴侶シェル』もいたんだってな?」



 トーイさんたちも立ち上がりながらそんな話をしている。

 そして私たちを見て言う。



「同じエルフだからって訳じゃないけど、リルとルラがいるからまた厄介事が来るんじゃないだろうな?」


「なんですか、それ?」



 ザラスさんのその一言に思わず私は膨れて言う。

 確かにこっちにはその気が無くても面倒事が毎回あっちから来ているのは事実だけど……


「ははは、悪い悪い。冗談だ」


「ううぅ、酷いですよザラスさん」


 ふくれっ面の私は文句を言うとカリナさんが笑いながら言う。


「まあ流石にそんなに連続で厄介事が来るとは思えないけどね。さあ、宿に行ってお風呂に入ってさっぱりしたら飲むわよ!!」



 結局また飲むのかいっ!


 ええ、分かってはいましたよ、カリナさんだもん。

 でも今回は私たちも飲まされない様に気をつけなきゃいけない。

 特にルラはカリナさんにいけないこと教え込まれないように見張っていなきゃ。




 嬉しそうにしているカリナさんを見ながらそっとため息を吐く私だったのだ。 

 


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[一言] >まあ流石にそんなに連続で厄介事が来るとは思えないけどね フラグ「呼びましたかぁ?」(ニタニタ)
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