5-28帰りましょう
エルフのマズ飯は鉄板!
ひょんなことからそんなエルフに転生した二人はひょんなことから知らない場所へと転移で飛ばされます。
そして美味しいものを探しながら故郷のエルフの村へと旅を始めるのですが……
エルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。
む、胸の先触ると気持ちいいって、ちょっとルラぁ//////(リル談)
「それでは長らくお世話になりました。コクさんが戻られたらよろしくお伝えください」
私はそう言ってお城の方々に挨拶をする。
最後の茶碗蒸しが出来たのでとうとうジマの国での私の役目も終わり、やっとユエバの街に帰れる事となった。
「本当にありがとうございました。これで黒龍様がお戻りになられても十分におもてなしが出来そうです」
リュックスさんはそう言ってまた私と握手をする。
「そなたらには世話になった、おかげで黒龍様のご機嫌を損なう事無く済んだものだ。これは礼だ取っておいてくれ」
非公式の場とは言え、カーソルテ王もいたりする。
私は慌てて摂政のヒュードさんが手渡して来ようとする皮袋を拒む。
「いえいえいえっ! そんな大層な事してませんから、こんなの貰う訳には……」
「はいはい、ありがとうございます! ほら、リルもお礼言って!!」
むぎゅっ!
手渡される皮袋を受け取り拒否しようとしたら横からカリナさんが私の顔に手を当てながら押し退けしっかりとそれを受け取る。
ヒュードさんはそれでも苦笑してその皮袋をカリナさんに手渡す。
「リル殿、あなたのした事はこれでも足らない程重要な事をしてくれたのです。黒龍様から聞きました。この国にずっとくすぶっていたローグの民とジーグの民の問題も黒龍様の問題も終わったのです。我らが守護神、黒龍様の憂いを無くすことは我が国を挙げてお礼するべきほどなのです。どうぞささやかながらでも受け取っておいてください」
「は、はぁ……」
ヒュードさんからそう言われ生半可な返事をしているとカリナさんが私の頭を押さえ頭を下げさせる。
「いえいえ、こんな事でお役に立ててうれしいです。では私たちはそろそろ出発致します」
そう言ってカリナさんたちも頭を下げてこの場を後にするのだった。
* * * * *
「カリナさん酷いですよ、別にそんなつもりでコクさんたちにディメアさんのメッセージを届けたんじゃないのに」
「いいから貰えるものはもらっておきなさい。それにあそこでごねても余計に厄介事がやって来るわ。このお金はユエバに戻ったらあなたたちの旅費に使うんだから。またキャラバンとかに手配しなきゃあんたらだけじゃドドス共和国に行けないでしょ?」
「あっ」
そう言いながら先ほどの皮袋を開けてカリナさんは驚く。
「うっそ、こんなに? ねえ今晩はリルのおごりでいいわよね??」
「私たちにお酒を飲ませないならいいですよ?」
にっこり顔のカリナさんに私はそう言う。
まあ、カリナさんはカリナさんなりに私たちの事を考えてくれてはいるんだ。
やっぱりエルフは同族には優しいな。
「じゃあよぉ、出発は明日か?」
「そうね、今晩はしっかりと英気を養わないといけないからね。飲むわよぉ~!!」
トーイさんの質問にカリナさんは生き生きとして言うのだった。
* * * * *
結局ジマの国を出るのは明日となって今日は英気を養うと言う理由で宿屋を取りその下の食堂で酒盛りが始まった。
「それではジマの国でのお役御免でかんぱ~いぃ!!」
「「「「かんぱーい!」」」」
「何故お役御免で乾杯なの……」
カリナさんの音頭で乾杯が始まるのだけど、お役御免って何なの?
そりゃぁなんだかんだ言ってコクさんたちに付き合わされてジマの国ではごたごたは多かったけど。
そんな事を考えている私とは裏腹にカリナさんたちは飲めや食えやで盛り上がっている。
「でも、リルの料理には毎回驚かされるわよねぇ~。この後もユエバの街に戻るまでは食事はお願いするわよ?」
「それは良いんですけど、カリナさん飲み過ぎなんじゃやないんですか?」
なんだかんだ言って既に四杯目に突入している。
この国のお酒は果実酒が多いらしく甘くて口当たりが良い。
私やルラも何度か飲まされたけど、果実ジュースからいつの間にか果実酒に変わっていても気付かない程だ。
「しかしジマの国からユエバの街かぁ、ジマの国からドドスにはキャラバン無いのか?」
「ジマの国とドドスは共和国はあまり仲が良くありませんからね。何か有るごとにドドスはジマの国に手を出しその都度黒龍様に制裁を喰らっているわけですから」
ザラスさんがお酒の杯をかかげながらそんな事を言ってるとネッドさんが答える。
そう言えばドドス共和国って小さな町や村が一番大きな街と共和国制を取っていると言ってたけど、ドドス共和国としての認識が低いって言ってたっけ?
なんでもドドスの街の貴族が横柄でたまたまドワーフ族との交易が盛んだから発展したとかなんとか。
なんかあんまり感じのよく無い国なのかな?
「カリナさんってドドス共和国行った事があるんですか?」
「ん? あるわよ~。でもだめね、あそこはドワーフの連中が多すぎで! あんな街に長居したらドワーフ臭くなっちゃうわよ!」
そう言って嫌そうな顔をして四杯目を飲みきる。
でも、なんでそんなにドワーフを嫌うのはなんでだろう?
「ドワーフって、背の低い樽のような体形の髭の人たちですよね? 確か大地の精霊力が強いとか」
「そう、それヨ!! あいつら泥臭くてたまらないのよ!! それに頑固で言うこと聞かないし私たちエルフを『金床』とか馬鹿にするのよ!? なによ、ドワーフ族の女なんて単に太いから胸だって大きいのでしょうに!!」
だんっ!
カリナさんはそう言ってテーブルに空になったジョッキを叩きつける。
一体過去に何が有ったと言うのだろう……
「おかわり!!」
なおも不満げにカリナさんはそう言ってお店の人にお酒のおかわりを要求する。
そしてこちらを見て言う。
「いい事リル、ルラ! 女の価値は胸じゃないんだからね、大きけりゃいいってもんじゃないのだからねっ!!」
目が座っている。
カリナさんは酔いも回ってくどくどと胸についてあーだ、こーだ言っている。
「お姉ちゃん、胸っておっぱいの事?」
「そうだけど、ルラ?」
今まで食事に夢中になっていたルラはふとそんな事を聞いてくる。
珍しくルラが体形について聞いてくるなと思って見るとなんか顔が赤い。
へらへらと楽しそうに自分の胸を触っているルラ。
「お姉ちゃん知ってる~? おっぱい触ってると先端とか気持ちいい時があるんだよぉ~?」
「ぶっ!」
思わず果実ジュースを噴出してしまった。
この子、いつの間にそんないけないこと覚えたぁ!?
「ル、ルラ、そう言う事は皆さんの前で言っちゃ…… ん?」
「ほらこうやるんだよぉ~」
そう言いながらルラは服を脱ぎ始める。
「ちょ、ちょっとルラ!!」
私は慌てて上着を脱ぎ、肌着も脱ごうとするルラを止める。
「あんたこんな所で何やって…… うっ!? お、お酒臭い??」
慌ててルラを抱きかかえて服を脱ぐのをやめさせると近づいた顔からお酒臭い匂いがする。
慌ててルラが飲んでいた杯を取って匂いを嗅ぐとこれって果実酒じゃないの!?
「カ、カリナさん!!!! 飲ませないって約束だったんじゃ!?」
「なぁにぃ~? 私の酒が飲めないとぉ~??」
カリナさんに文句を言うと既に出来上がっていてジョッキを片手に私に詰め寄る。
「リル、あんたも飲みなさい、そして脱ぎなさい!!」
「何故脱ぐんですか!? うわっッぷ!!」
酔っ払い相手にまっとうな話が通じるわけもなくけらけら笑っているルラの横で私はまたまたカリナさんにお酒を飲まされるのだった。
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