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剣鬼と村人  作者: たしま ラー油
1/2

プロローグ 0

「うぉぉぉぉぉらぁぁぁぁっ」


バキッッ。鈍い音がした。


昼下がりののどかな森の中、一人の少年が頭に穴でも空きそうな程の拳骨を食らった。

辛うじて、頭蓋骨は割れていないようだが、それでもかなりのケガにはなるだろう。


「痛ってぇええ!」


少年の声が森中に響き渡った。


あまりの大きさに、木の上にいた鳥たちが一斉に飛び立った。


その声に対して、はいはい慣れてますよー、とでも言うかのような顔をして、少年よりはかなり高い身長の青年が近づいてきた。


「全く。貴方はどうして声だけはそんなにも大きいのですかねぇ」


呆れた顔で、青年が呟いた。


「うるせえ!お前が手加減しないからだろ!」


「手加減..ですか。はて、全力で来い!とのさばりやがったのはどこのクソガキでしょうか」


青年は、より一層呆れた顔でまた呟いた。


「ぐっ。俺だ。でもクソガキは言い過ぎだ!」


少年はそう言いながら立ち上がった。


「わかりましたよ。では次からは、勇者志望の自称最強ショタ君。で行きましょうか」


「自称は余計だ!」


「おや?ショタは訂正されないのですか?」


「訂正しろ!お前がな」


少年は、今にも噛みつきそうな勢いで言い放った。


「では訂正いたしましょう。」


そう一言言った後、青年は口を開いて、


「ああ、私からも一つ訂正の要求を」


「なんだよ」


少年は、頭をさすりながら睨んだ。


「私のことは、ジョセフ、もしくは先生と呼びなさい。手当てしていただいた恩義はありますが、私の方が年上なんですから」


「はぁ。分かったよ。......ジョセフ」(先生なんか死んでも言うか。こっちはずっと、ぼっこぼこなんだよ。)


少年は、嫌々そうに答えた。


「けどよ、ジョセフだって直せよ。俺にだって、アレンっていうちゃんとした名前があるんだからな」


「おっと、これは失礼。すみませんね、アレン」


「失礼なんて思ってないだろ..」


アレンはため息交じりに言った。


そんな言葉には耳も貸さず、ジョセフはアレンに言った。


「さて、アレン。まだまだ未熟なんですから、さっさと稽古して実践に行きたいのですが」


待ってましたとばかりにアレンの顔が喜びに変わった。


「頼むぜジョセフ。俺は最強にな..最強の上に行く男だからな」


一瞬言葉を濁したが、その眼には闘志が宿っている。


「その調子で頼みますよ。まだ先は長いんですから」


ジョセフはそう言うと、森中の動物にも聞こえないような声で、


「貴方は...私たちの..最後の希望なんですから」


と言った。


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