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抜き打ちテスト

7月19日 (金) 快晴


明日はいよいよ終業式だ。

これから長い夏休みが始まる。

宿題はさっさと終わらせて遊んで過ごしたい。

前世では勉強漬けの一生だったからなぁ。

今年もきっと和樹や香澄たちと遊んで遊んで遊び尽くす楽しい夏休みになるだろう。

そんな中で英人の意識が出てこないのは罪悪感はあるがきっと君もこの光景を見ていると信じている。

もし見ていなくても君が表に出てきた時、ちゃんと思い出せるよう明日からの日記はより一層力を込めて書こうと思う。

なに、気にするな。

きっと記憶は共有されるだろうから英人ならきっと忘れても思い出せる。

例年のごとく夏休みの予定は既にぎっしり埋まっているから今年も楽しむぞ!!

まぁ夜も遅いからこの辺にしておこうと思う。

明日からはきっとこの倍は書くからな。

おやすみ。



これは5歳の誕生日からいつか英人の意識が出てきてもいいように毎日書いている日記だ。

この5年間は全く英人が出てくる気配はなかったが……本当に出てくるのだろうかと疑い始めた自分もいる。


明後日になれば父さんも兄さんも帰ってくるし夏の予定は文字通りぎっしりと詰まっている。

能力に関してはこの夏で完成させる予定だ。

できるかどうかは知らないが。


ちなみに兄さんが今どこへ行っているかというと。

父さんのところである。

魔術協会が圧倒的な人員不足らしく学生も駆り出されたのだ。

ただ侵略者(レイダーと言うらしい)達が異界から攻めてくるだけなら問題は無いのだがどうにも数が多いらしく膠着状態が続いていたらしい。

それをたかが学生の力でどうにかしようなんて考えがどうにかしてると思っていたがどうやらそうでも無いらしい。

状況は好転して既に防衛成功の目処は立っているそうだ。

父さんも兄さんも能力的に後方にいるから安全だとは思うが安全第一で頑張って欲しい。


さて、明日も早いし寝るとしよう。

母さんと2人だけだとこの家は広すぎる。

早く賑やかになって欲しいものだ。



---------------------




翌朝


俺は幼馴染2人と学校に行くために現在待ち合わせ場所にいる。

今日は午前で終わるし長めに遊べると思っていたが家を出る前に


「今日は用事があるから遊びには行けないわよ。その分夏休みは沢山遊べるから、我慢してちょうだい。」


と母さんから告げられたため少し不機嫌だ。


多分英人の意識が出てるとすればこういうところか。

最近は考え方が年齢に引っ張られている気がする。

俺個人としてはただ前世で仲の良い友達がいなかったから昔に戻れたみたいで嬉しいと思ってるだけだと考えている。

そんなことを思っていると後ろから声がかけられた。


「英人、お待たせ。お前はいつも早いな。」


「ごめんね英人。和樹が寝坊するからちょっと遅れちゃった。」


幼馴染の和樹と香澄だ。


「いや、全然大丈夫。まだ学校までは時間あるし。今日くらいゆっくりでいいだろ。」


「だよなだよな。さすが英人、分かってるなー。今日くらいはゆっくりでいいよな。」


「あんたは今日だけじゃなくてしょっちゅう寝坊するでしょ。」


ここまでがいつもの会話。

ここまでがテンプレ。

ここからがてんぷr……なんでもない。


この2人も能力を継承している家系だったりする。

2人の親と俺の父さんが幼馴染らしい。

家も近いし仲もいい。

そして親同士の職場も同じらしい。

そう、魔術協会だ。

2人の親もめちゃくちゃ強いらしい。

なんでも日本で1番強いのが和樹のお父さんで2番目がうちの父親、3番目が香澄のお父さんだそうだ。

全くそんな実感はないが。

2人の能力についてはまぁおいおい話していこうと思う。


「英人は今日どうする?遊ぶか?」


「いや、今日は母さんが用事あるらしいから悪いけどパス。また明日から遊ぼうぜ。」


「まじかー。いい遊び思いついたんだけどまた今度だな。」


「だな。また明日やろうぜ。」


そんな他愛もない会話をしているとなんだかんだで学校に着く。


学校の校門をくぐり、教室へ着くと左目の視界に今いるはずのない先生が映った。

先生の後ろの黒板には『抜き打ち魔術テスト』の文字。

見えたのはほんの一瞬だったため曖昧だがどうやら抜き打ちテストがあるらしい。

ちなみに和樹は同じクラスだが香澄は隣のクラスだ。


「ん?英人今度は何が視えたんだ?」


「なんで俺が視たって分かるんだよ。」


「だってお前今左目が青かったし。」


「あー、なるほどな。」


どうやら俺は能力を使う時魔力が目に集まって目の色が変わるらしい。


「なんか抜き打ちテストあるらしいぞ。」


「マジで!?やべーなんも勉強してねぇよ。」


「魔術のテストだし大丈夫じゃないか?」


「あぁそれならいいや。でもお前どーするんだよ。魔力無くなったろ。」


「まぁ何とかするよ。」


知識聞かれるだけならいいんだけどな。

実践となると魔力がないからどうしようもない。

ちなみに俺は普通の魔術なら割と得意分野だったりする。

得意な魔術は風系統の魔術だ。

俺は特化型と呼ばれる魔術師で風以外は苦手とまではいかないが得意ではない。

それでも魔力が多いから他の生徒よりはできたりする。


香澄も特化型なのだが和樹は万能型と呼ばれる苦手な系統が無いタイプだ。

それでいて魔力量も多いし将来はイケメンになりそうだし。

きっとああいうやつが人生勝ち組の主人公と呼ばれる人種なんだろう。

羨ましいヤツめ。


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