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ガチャ回すんですか?

今日は5歳の誕生日です。

プレゼントに貰った日記を描き始めました。

何を書けばいいのか分からないので突然ですが自己紹介をしたいと思います。

僕の名前は藤堂 英人(とうどう えいと) 5歳です。

家族はお父さんとお母さんと7歳離れたお兄ちゃんの4人です。

今日5歳になったばかりです。

5歳になったから今日は洗礼の日なんです。

つまり、神様から能力を授けられる日です。

お父さんの能力はお兄ちゃんが貰うらしいので僕は自由らしいです。

どんな能力が貰えるのか楽しみです。



「英人、時間よー」


「わかったー」



母親に呼ばれて日記を書く手を止める。

英人はいそいそと準備をして階段を駆け下り、車へと乗り込んだ。


「英人はどんな能力が欲しい?」


「とにかく強いのが欲しい!」


「どうして?」


「だってお兄ちゃんは将来お父さんみたいに悪いやつと戦うんでしょ?だったら僕もお兄ちゃんと一緒に戦って悪いやつを倒すの」


「そうかー。英人が手伝ってくれるなら百人力だな。楽しみにしてるよ」


そんな兄弟の他愛もない話を聞きながら車を走らせて10分もすると教会が見えてくる。

車を降りて教会へはいると優しい顔をした老人が出迎えてくれた。


「藤堂様の御家族ですね。お待ちしておりました。準備は出来ておりますのでどうぞこちらへ」


言われるがままに教会の奥へと進んでいく。

1番奥の壁にある大きなステンドグラスの所まで行くと先程の老人が話しかけてきた。


「いい能力に巡り会えるといいですね。では、神に祈りを」


言われた通りに両手を胸の前で握り、目を瞑る。


神様、お兄ちゃんと一緒に戦えるような、強い能力をください。


そんな祈りを込めながら、英人は静かに祈った。



---------------------



ふと気がつけば周りは真っ白な空間。

その中にぽつんと1人の女性が立っていた。


「いらっしゃい。君が次の順番の子か。……ん?あぁなんだ君か。どこかで見た事あると思ったら君だったのか。」


目の前にいる女神は何か納得したように頷くと妙に馴れ馴れしく話しかけてくる。


「いやぁ懐かしいね。元気だったかい…と言っても君は覚えていないだろうけどね。ひとまず自己紹介しとこうか。ボクは神様さ。君に能力をさずけるためのね。」


はぁ…この声どこかで聞いた事あるような…



……


………


あ゛っ


転生の時の神様だ。


そう自覚した時頭の中に蒲原 徹として生きてきた17年分の記憶が蘇る。


「あー、その顔はどうやら思い出したようだね。じゃあ、改めまして久しぶりだね。こっちの世界では英人君だったかな?」


「あー、えーと、お久しぶりです。記憶戻ったんですけど…これってどーなるんですかね。」


「どうとは?」


「一応今話してるのは徹としての俺なんですけどでも英人としての人格というか自我というかそーゆーのもあるんですよ。これって片方の人格が消えたりするんですか?」


「結論から言うと消えないよ。ただそれぞれの人格が融合するから慣れるまでは色々と大変かもしれないけどね。」


「大変なんですか?」


「うん。今君の頭の中は蒲原 徹の17年分の記憶と藤堂 英人の5年分の記憶がある状態なんだよ。今は徹君の記憶の方が比重が高いからそんな状態になってるけどいずれ英人君の方が重くなる。そうなるまでに完全に人格が融合しなければ徹君の人格は消えるだろうね。記憶は映像として残るだろうけど。」


「人格が融合したらどうなるんですか?」


「それは簡単な話さ。徹君と英人君の人格を足して2で割ったような人格になるよ。」


「なんかあやふやですね。」


「まぁ実際どーなるかは未確定だからね。さ、時間もないしそろそろ能力授与に移ろうか。」


そう神様が言うと目の前に人1人丸々入りそうなほどの大きさのガチャガチャが出現する。


「え…能力授与ってもしかしてこのガチャを回すんですか?」


「そうだよ。運が良ければ2つ出てくることもあるから頑張ってね。」


何を頑張れというのか。


「時間も押してるから早く回しちゃってよ。君がどんな能力に目覚めるのかも気になるしさ。」


そう言われてガチャのレバーをひとひねりすると中から少し小さめのカプセルが1つ出てくる。

どうやら中に紙が入っているようだ。

1つしか出てこなかったことに少し落胆しながらもカプセルを開け、中に入った紙を開いてみるとそこには2つの言葉が書かれていた。


そこに書かれていたのは


【加速】 【未来視】


の2つだった。


…未来視!?


「か、神様?未来視ってどういう…」


「んー?初めて見る能力だけど。やっぱり君は面白いね。」


「いや、そういう感想が欲しいんじゃなくてですね。未来視って神様的に不味くないですか?未来が見えるんですよ?」


「あの中から出てきたから何も問題は無いと思うよ。っとそろそろ時間だね。君とはまた会えそうな気がするよ。じゃあボクはまだ仕事があるから元気でね。」


そう言うと神様は踵を返してどこかへと歩いていってしまった。


「また会えそうってなんですか?ってちょっ神様!?かみさまー!!」


そこで意識は現実へと戻される。


「何かいいものが貰えましたかな?」


老人が人の良い笑みを浮かべながら訊ねてくる。

正直それどころではないんだけどなぁ。

未来視なんて前代未聞すぎる。

これは言っていいものか…


「はい、今日はどうもありがとうございました。」


丁寧にお辞儀をしてその場を去る。

とりあえずここは誤魔化すか。

今表に出てきているのは徹の方の人格だが英人として過ごしてきた5年間の記憶があるのだ。

英人の振りなんて余裕だな。


まぁ…英人の意識の中でも俺個人としても兄の秀人の力になりたいという感情はある。

この力があれば力になることはできるだろうしそれ以外のこともできるだろう。

具体的に何と言われればパッとは出てこないが。

あって困ることはない…かな。


能力は言ってしまった方が隠し続けるよりは楽だろう。


そうして波乱万丈の俺の異世界生活は始まったのだった。

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