第4幕ー7 制空の残俠
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バグミュダットの航空基地には多数の爆撃機及び偵察機や飛行艇が滞在している。デュール王国で採れた沢山の金属類を駆使して、優れた強度の航空機を製造するのであるが、その製造には魔術工程を必要とする事もあった。このバグミュダット航空基地では政府の軍用機も製造していた為に、政府の役人であったバヒュリガルト少佐は、ジョナサン・ヴェードの腕を見こんでいたのであった。
「君の腕には、特殊な力があってな。その能力は血清魔術と言って、自身の能力で敵の血液をコントールできるという能力なのだ。その能力を生かし、バグミュダット旧政府を暗殺するのだよ。最終の標的は、ゲオルグ・ハルトだ。そいつの周りには、政府の役人や教皇など大勢の人間が存在する。そして、全ては、エマニュエル・ハルト様の野望の為にな。」
バヒュリガルトは、薄笑いを浮かべたのであった。ギラは、いきなり唐突に人斬りになれと呼ばれた命令を受けた事で困惑したのであった。この能力を殺人に使いたくは無かった。万が一、使ったとして国家に指名手配されたら一貫の終わりだ。そんな中、バヒュリガルトは、ギラへと命令した。
「ギラ、、ジョナサン・ヴェードを殺せ。そうすればお前は、人を殺す事になんの躊躇もなくなる。良いか、人間の命はいつか消える。そして死ねば燃やされ魂は無くなるんだ。ジョナサンはもう生きる希望を失っている愚かな奴だ。鳥人族との戦闘の際にも、、奴は歯が立たなかったな。もう奴は用済みだ。」
今回のイミーグレムとシェニキーシュの抹殺しきれなかった故に全身に大火傷を負ったジョナサンは、死の瀬戸際を彷徨っていた。そう判断したのはバグミュダット旧帝国軍であった。数年前まで帝国軍であったバグミュダットは市民革命によりゲオルグ・ハルトが政権を握ると、帝国政府は国から追われたのであった。
「良いか、、バグミュダットは元々帝国であったんだ。奴は帝国軍の隊員として優れた奴であったが、突然軍隊を止め、、剣術の道場を立ち上げるなどの馬鹿な真似をした。その上で命を救うなど馬鹿な真似をしやがって。全く、馬鹿な奴だ。お前にとって一番大事な師匠を殺す。これをする事でお前は、一流の剣客になるんだ。」
迷いがあったが、ギラの中で何かの考えが変わったのであった。自身にとって大事な師匠を殺すなどできなかった。その時、ギラとバヒュリガルトがいる部屋に1人の男が入ってきた。
「少佐、、ジョナサン・ヴェードが息を引き取ったようです。火傷に伴う呼吸困難でした。」
「そんな、馬鹿な、、、」
バヒュリガルトは、頭に手を抱えると机を叩き鳴らした。自身が殺す事で手柄を立てたかったであった。机に置かれた死亡診断書を取ると、悔しさを押し殺すように、ギラの方へと近づいた。
「私の元について来い!!」
「俺は、、一体どうするつもりですか??」
バヒュリガルトはそう言うとギラを連れて歩くと管制室から、外部の基地へと移動した。外部の基地には、4隻にもなる巨大軍用機が停留していたのであった。そしてその場に集められたのはギラ、そして両親を失ったサミュエル、更に長髪の剣を持った男と、金髪の男の4人が居た。長髪の男は、ギラを睨み付けると唾を吐き散らして言うのであった。
「おいおい、、助っ人が来るっていったらただのガキじゃねえか。ったくよぉ、、どうすんだよ。おいバヒュリガルト、、てめえ、、ジョナサンはどうした???まさか、、死んだんじゃねえだろうな??」
その長髪の男の名はアラードと言った。彼は、帝国軍を追われた魔剣士である。現在ガルドという1人の息子を育てながら、バヒュリガルトに命を拾われ暗殺部隊に率いられた。
「ジョナサンは死んだ。お前たちにとって希望の星だったのにな。アラード、、お前は、本来殺される筈の人間だ。そこを私が助けてくれた事をありがたいと思え。今回の任務は、簡単だ。ヘルヒュート大陸に行き、デュール王国の王妃、マリアの首飾りを手に入れるのだ。現在デュール革命の真っ最中だ。その革命のチャンスを利用して、首飾りを入手しろ。その首飾りには、死の神デュークが封印された碑石があるのだ。暗殺するターゲットは2人。バグミュダット教皇レジナルド。ファンセンドルフ・ローシィート卿だ。奴らを殺してデュール王国を植民地にするのだ。」
こうしてギラ、サミュエル、アラード率いる暗殺部隊に最初の命令が降ったのであった。バヒュリガルトからの命令が言われる中、フェムシンムの長であるデュオシュアとレミシェル、ゲェジュオの幹部達が、続々と姿を現したのであった。ギラはフェムシンムの長であるデュオシュアと目が合った。
(なんなんだ。こいつは狼、いや違う。神なのか、とてつもないオーラを感じる。只者ではねえな。)
デュオシュアは、ギラと目が合った瞬間、ギラの血清逆流の能力を見破った。そしてテレパシーでギラに呼びかけるのであった。
(血清逆流、生命の血液を操る恐るべき能力。私が求めていたものだ。帥の能力ならば神々も操る事が可能かもしれん。ファンセンドルフは既に帝国の敵であると判断したのだ。これこそハルト陛下が求めていた選ばれざる者。ギラ、帥の事だ。)
するとテレパシーを感じ取ったギラはデュオシュアの問いかけに反応をするのであった。
「おい、、さっきから何を言っている?選ばれし者ってどういう事だ?俺の力はそんなに凄いのか??」
やがてギラの問いかけに対して、デュオシュアは口を開いたのであった。どうやらエマニュエル・ハルトは、ギラの血清逆流の力を必要としているらしい。
「ナハトを含め、、碑石から復活する神は、人間を憎むあまり凄まじい量の血液を吐く可能性が感じられる。そうなった場合、その血液には、、人類の生命を奪い取る力があるのだ。だが、その影響を受けない選ばれた者こそが、血清逆流の持ち主であるギラ、、帥なのだよ。碑石を使い神を蘇らせれば、、ジュラーセは必ず現れる。」
「ジュラーセっていうのは、、世界を作ったとされる不死鳥の事か。そいつが現れるには、その3匹の神を封印から解く事が必要ならば、俺は人斬りだけで充分だ。俺は人を汚すくらいならば、剣を捨てるし任務には、参加しない!!!!」
ギラが猛反発をした瞬間、アラードは、一気に剣を振り下ろすとギラへと斬りかかったのであった。その剣からはどす黒い閃光が上がった。そのどす黒い閃光は一瞬にして周囲の木々に当たると、木々の葉は枯れ果てたのであった。
ギラは剣を使い、アラードの攻撃を防ごうとしたが目に止まらぬ早さで剣を捌くアラードの足に押さえつけられてしまったのであった。
「さっきから黙って聞いてりゃ見苦しい餓鬼だな。お前。今、仕事もねえ、貧困に苦しんでいるこの時代に、人間だけじゃ生きていけねえ程世界は腐っちまったんだよ。哀れだろうが、、剣を持ち、剣を握れるって事だけが優れた証だ。この野郎。生きていく為なら、人を汚さなきゃならねえ。それが剣を持つって事だ。俺の剣の無残もそう言っているぜ。さあ強力しねえなら俺が今すぐお前の命を奪う。どうする究極の2択だぜ。」
するとギラは剣を取ると、アラードの剣を振り払った後にアラードの身体に剣を刺したのであった。アラードは一瞬にしてギラの能力を感じ取った。明らかに違う、その能力でアラードの血流は乱れた。口からどす黒い血液を吐き出した。
「無意識に、血が流れただと、、やはりこいつの能力は、、俺たちですら恐れなきゃならない物なのか。畜生!!!神をも支配する力だと。」
だが、直ぐにアラードは傷を回復させたのであった。彼は、身体の傷を一気に回復させる事を得意としていた。アラードは、ギラを睨みつけると剣を向けた。
「ふん、、いずれは相手してやるさ。俺はうずうずしてたんだ。強い奴とやり合うって事をな。てめえの目を見りゃ分かる。正義感って言うのに心は支配されてるかもしんねえが、、俺は感じるぜ。お前の心の奥底に眠る闘争心って奴にな。おい、、バヒュリガルト、、俺はごめんだぜ。こいつと同じ飛行機に乗るのはなあ。俺は、先に向かう。」
アラードはそう言い残すと、その場から姿を消した。
「待て!!!」
ギラは追いかけようとしたが既にアラードの姿は無い。アラードも自身と同じように魔道士だ。バヒュリガルトは、アラードを見ると言い放った。
「困ったものだ。ああいう好戦的な奴は、任務に支障を来たす。」
ギラは、剣を取ると航空機に向かった。ギラ、バヒュリガルト、サミュエルらバグミュダット帝国軍暗殺部隊『制空の残俠』は、獣人であるマレク・ナダータルが操縦する第41突撃隊の軍用機であるT-32型航空機に搭乗した。
マレク・ナダータルは、コックピットの操縦桿を握ると、一気に軍用機は滑空した。
同時期に航空基地からは、半国防軍の軍用機も一斉に飛び立った。指揮を取るのは、エスポルアースに星間使節団として訪れていたフェダーク・ナーブラト・ロジュノフスキーである。
「いいか、半国防軍に告げる。狙うは、メシアの菩提樹の航空要塞、フィオクラシアだ。
確実に奴らを撃墜する。いよいよ航空戦の開始だ。機銃及び、爆撃隊!!我が星の為に!!!!」
フェダールはメシアの菩提樹により祖国の星である御者座のカペラの第五惑星を、壊滅させられたのである。フェダールと共に、マードルら、他惑星の獣人族も集まり、半国防軍は、いよいよメシアの菩提樹の航空要塞フィオクラシアに向かうのだ。
その頃鳥人族の最高議長であるヴォージスは一斉にこちらに向かってくる多数の戦闘機の存在と明らかな異変に気がついていた。
「いよいよ、、来たか!!馬鹿な奴らが!!!死に来るものを!!!」
ヴォージスは、笑みを浮かべた。
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