幕間 ヘルヒュート大陸
久しぶりの地底旅行記です。読んでいただけたら是非。
バクミュダット公国、リヒュテイン公国、エルリュヘン公国が存在する大陸をユーゼンゲルト大陸と呼び、その向かい側に巨大な海を挟んだ大陸が存在する。
その大陸こそが、獣人やエルフ、など魔族が住みつくヘルヒュート大陸だ。
ヘルヒュート大陸には、様々な国家が存在する。
デュール王国、ソルシア共和国、ベルデューク共和国、ハルダイト共和国、など全部で32の国家に別れているが、その中でも最も大きい国がデュール王国であった。
デュール王国の国王、フリードリヒ・フォン・ヴィッテルスバッハは、ライオン系の獣人であり、先代の国王の独裁政治を変えるべく、王となった。
人口の3割を占めるのは獣人であり、それ以外の7割は、エルフやドワーフである。
そんなデュール王国のカーセル工業地帯では、兵器や戦艦などが開発されている工場が立ち並んでいた。
カーセル工業地帯は、バクミュダット公国と工業製品の輸入や輸出を行う事で、また石油や石炭などの火炎燃料の貿易も行っていた。
そんなカーセル工業地帯の一角に、フェムシンムの長、デュオシュアは、後にエマニュエル・ハルトの戦艦、炎獄に使われている事になる高性能放射砲RG X Rayを開発していた。
デュオシュアと娘のソフュシアは、親子一体で、工場をやっていた。
「お父様、、素晴らしい出来ですね。デュール王国原産の鉄鉱石と、放射線との核融合を使って生み出した放射砲。既に、形が出来上がっています。」
狼系獣人のソフュシアは、工場で、加工されているRG X Rayのプロトタイプを観察するとデュオシュアに声をかけた。
「ソフュシア、、まだだ。いくら物資源があるにしても動力が足りないのだ。この国の資源は素晴らしいが、これでは世界に通用する兵器を開発する事はできないのであろう。」
デュオシュアは、悩んでいた。高性能放射砲は、恐ろしい威力を誇る原子砲だが、核兵器以上の破壊力を生み出す事は、不可能に近かったのだ。それは動力とする核融合が圧倒的に不足していたのだ。
デュオシュアは、特殊な魔術を持っていた。彼は愚族と呼ばれるヘルヒュート大陸全域を治めているフェムシンムの民の末裔である。その能力の一つとして原子エネルギーを作り出す能力が存在する。この世の全ての物質の原子を組み合わせて核融合を生み出す力を彼は持っていた。
「そうですね。いくらこの高性能放射砲が王国の兵器として献上されたとしても、それが資金になるとは限りません。先代のヴィッテルスバッハ家の独裁政治により、事業所得税は値上がりするばかり、それにより市民革命が起きたんですもの。市民革命の時だって、私達の力があったからこそ先代の王の暗殺ににこぎつけたのです。それにこのヘルヒュート大陸は本来、私達フェムシンムの民の大陸なのですよ。それを、、あんな、、ヴィッテルスバッハなどに政権を奪われて、、お父様、、私は断じて許しません。」
「ソフュシア、、私は、いずれ、あの国王ヴィッテルスバッハを、、暗殺する。そして革命を起こして、フェムシンムが、デュール王国を制圧するのだ。デュール革命を起こすのだよ。その為に、極秘に開発していたのだ。地下に私達が作り出していた兵器の数々をな。」
ヴィッテルスバッハ家は、代々デュール王国を治めてきたフェムシンムの民を王権から引き摺り下ろした。先代の国王のウェルネス・フォン・ヴィッテルスバッハを息子であるフリードリヒ・フォン・ヴィッテルスバッハは、暗殺した。そしてデュール王国は莫大な資産を投資して核兵器と艦隊の開発を急いだのであった。
デュオシュアは、王家との契約により、何台もの兵器や戦艦の開発を実施していた。
工場の巨大な地下基地には、未だ、公には出ていない戦艦が何隻もあった。その中に一隻の巨大な戦艦が存在した。
デュオシュアは娘のソフュシアを連れて、地下基地へやってきたのであった。
「ソフュシア、、見るのだ。この戦艦は
後に、、世界に通用する戦艦だ。バクミュダット公国の王ゲーリッヒ・ハルトに頼まれたのでな。この戦艦に、私が開発した原子砲を搭載するのだ。完璧だ。この戦艦を使い、、ヴィッテルスバッハ家を叩き落とす。簡単だ。ヴィッテルスバッハ家を叩き落とした後に、バクミュダット公国及び、ユーゼンゲルト大陸全体を征服するのだよ。」
デュオシュアには陰謀があった。その陰謀はユーゼンゲルト大陸の征服であり、神を操る力を持つと言われる碑石を手に入れる事であった。碑石とは、この世界に3つしかないと言われている神が封印された石の事であった。
かなり根深く、根底から、自らを奴隷へと引きずり下ろしたヴィッテルスバッハ家に対する復讐心が根強かった。デュオシュアの陰謀に対してソフュシアは不安な気持ちもあったが、計画の実行の為には父に従うしかなかったのであった。
地下基地から上に上がり工場に戻ると、ソフュシアは己の気持ちをデュオシュアにぶつけるのであった。
「お父様、、私は不安なのです。もしこの計画が成功した暁にまたフェムシンムの国が栄えて平和な世界が訪れるならそれは本望です。だが、、碑石の力で神が蘇り、もしヘルヒュート大陸に被害を及ぼすならば、神の復活は我々の生態系を大いに変えてしまうのではないのですか?」
「ソフュシア、、我々ヘルヒュート大陸に住む獣人族、そして魔族達は、偉大なる神と共に世界と生命を生み出したのだ。その力で碑石を取り戻すのであらば、ヴィッテルスバッハなど、存在価値もなくなる。」
工場に客人のエルフで貴族のファンセドルフ・ロースィート卿が、現れた。ファンセドルフは帽子を脱ぐと、御辞儀をしたのであった。ソフュシアもファンセドルフに気がついたのかお辞儀を返した。
「ソフュシア様、、心配はご無用ですぞ。我々の世界には同盟を結んだ連合国家がいくつも存在するのです。辺境国である、ソルシア共和国、ハルダイト共和国からの革命軍に参加する者もいる現状ですぞ。そして、この世に一体幾つもの神が存在すると思っているのですか?大昔ヘルヒュート大陸には、、恐るべき神、、デドアラ神によって獣人達は創造されたのだと侵攻されています。」
「ファンセドルフ、迷いは確実に捨てなければなりません。碑石はどこに存在するのですか。革命が実行されるのは一週間後の日付であります。確実に実行に移すのです。
ファンセドルフは、ソルシア共和国の使者としてデュオシュアが派遣した4つ目のエルフであった。ファンセドルフらエルフ族には4つの目を持つ族が存在している。貴族の立場である彼らは、ヴィッテルスバッハ家の重要機密であるガイヤール城の概略図を入手していた。
「これがガイヤール城の概略図であります。良いですか。計画では、5日後に、、ガイヤール城に内部に侵入して碑石を盗み出すのです。碑石の3つの内の一つは必ずこの城郭にあるはずですぞ。これは確実な情報ですぞ。これで神が復活するのです。デューク、、ロナーク、、そして、ナハトこの3神が復活すれば、世界の秩序は保たれるとファタール神話にそう記されています。」
ファタール神話は古くからヴィッテルスバッハ家に語られる神話の事である。この神話事態は何千年も昔からこの地底大陸に語られており暴走するであろう神々の存在も、大変危惧されている。その夜、ソフュシアを含めた率いるフェムシンムの面々が一堂に集められたのであった。
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