第2幕ー9 爆撃されるルズゥトゥンベルト
爆発する後宮から何とか逃れてきたゲオルグ・ハルトの元に国防大臣と、帝国議会に参加していた獣人達が集まった。エルフで国防大臣であるベルデオ・ヴォーゲェ国防大臣は、緊急の調査会議を執り行なった。帝国議会でのヴォージスの反撃は、アルデバラン恒星連合会が締結した平和協定のミスではないかという原因が示唆された。
「ヴォージスは、、奴は裏切り者だ。銀河を手に入れる。鳥人族は自らの国や土地だけでなく惑星侵略をすることで銀河帝国を征服するという最終計画まで進めていたのですぞ。。アルデバラン恒星連合会は一体何をしていたのだ。アルデバラン銀河条約第11条、これを守らなければ連合会を脱退するという協定でしょうが。」
ベルデオ・ヴォーゲェはアルデバラン恒星連合会から来た連合会理事で、アルデバラン第4惑星のコゼファン星の白鳥のような姿をした鳥人族のゴーディオ卿に責め立てた。ゴーディオ卿はアルデバラン連合会の理事として35年以上在籍していたベテランであった。ゴーディオ卿には4人の娘がおりその長女もアルデバラン連合会の一員であった。ゴーディオ卿の長女の
オーグレン・スヴェンソンは、代弁した。
「私共の惑星コゼファン星を含めてアルデバランの超新星爆発が近い状態なのです。恒星の影響で超高気温に対応できない種族は次々と死に絶えました。
アルデバラン第2惑星であるノーポジフェザードは、同等の事が起きたのです。しかし鳥人族は、他の種族に比べて平均寿命が100年いや200年以上高いのです。ですので鳥人族は生き残るために他の種族を殺しその肉を食べる事で生きながらえようとした。メシアの菩提樹はそんな鳥人族の最後の希望なのです。」
「オーグレン連合会員、、、言葉を慎みなさい。貴殿は、ノーポジフェザードの味方をするおつもりですか、貴殿は、、惑星に対しても種族に対しても暴虐ですぞ。アルデバランは確かに赤色巨星でありながら超新星爆発も近い。だがそれは言い訳に過ぎぬと言っておるのですぞ。種族の争いを理由にするというのはいかがなるものですかな。」
ベルデオは激怒した。エスポルアースに住み着くエルフの考えそのものに対する叛逆であった。帝国議会の空気はより一層悪化した。獣人族のゴダール卿は言い渡した。
「戦争だ。星間戦争が開始されるのだ。種族での争いが、耐えぬというのならば、、惑星同士が、ぶつかっていく、、そんな理由が許されるはずがない。種族の分離主義が存在しているというのか。」
分離主義者は各惑星に組織を築き、内戦や戦争を起こしていたのだ。そのような種族間の争いが激化することになってしまった以上、星間戦争の存在を示唆する事しかなかったのだ。そして既にバグミュダットの中心地郊外で凄まじい破壊音が聞こえた。メシアの菩提樹から放たれた鳥人族の数百機近くの戦闘機が一気に中心地へと離れて爆撃して行く。20000発近くの焼夷弾、そしてクラスター爆弾は、バグミュダットの都市ルズゥトゥンベルトを爆撃した。
鳥人族の将軍のアグデージュは、第2981ノーポジフェザード航空軍爆撃隊の準中尉であった。第3爆撃機のエステエウンフェース51機に搭乗していた。見渡す限りの上空から這い上がる煙を見つめながら、アグテージュは煙草を吸っていた。
「さあいよいよ、本格的な爆撃を開始するぞ。
これでエスポルアースの街は火の海となるのだぞ。第2981爆撃隊全隊員に告ぐ。フォルテ87作戦開始だ。」
そして遂にクラスター爆弾は上空から放たれた。ルズトゥンベルト郊外の中心街の家屋を焼き付くしていく。その凄まじい勢いで屋根は焼き尽くされ空襲警報が鳴り響いていく。
街の人々は一斉に、避難していく中、木造家屋はどんどん焼き尽くされて、倒壊していく。
ガラスは、割れていく中、、後にバクミュダットの煉獄の七眷属に加入すると事になる当時10歳の少女サミュエルは、母と二人暮らしで暮らしていた。
「サミュエル!!起きて!!!
空襲よ!!、爆撃警報が鳴っているのよ。」
ルズトゥンベルトの中心街に住んでいたサミュエルは、公然と鳴る凄まじい爆発音で目が覚めた。
「にょにょにょにょ、、、にょ、、、」
サミュエルは失語症を患っており、言葉を喋る事ができなかった。全てをにょで話すしかできなかった。それは彼女が幼少期に起きた出来事が関係しているのだった。彼女は、生まれてすぐに脳に腫瘍を負った。それにより言語中枢がやられてしまい、言葉を発する神経系が麻痺してしまったのだ。
「サミュエル、、支度をして!!すぐに、、行くわよ。」
サミュエルの母親はサミュエルに防災頭巾を被せると外へ出て防空壕へと向かった。焼け爛れるように街は燃え広がっていた。その勢いで、煙が撒き上がると、サミュエルらの方へと寄ってきた。サミュエルは煙を吸わないように手を当てた。
隣の家屋には爆撃されていくと、投下された焼夷弾は、家屋の屋根には焼夷弾の破片が突き刺さっていた。竹薮に燃え広がると燃え初めて火の海になっていった。
「ついに私達の街も燃やされて行くのね。もう全て残らないのだわ。これが戦争なのよ。」
メシアの菩提樹は、バグミュダットの中心街を
空襲した。ルズゥトゥンベルトが焼け落ちると、帝国軍の崩落をメシアの菩提樹は察した。
アグテージュは、機内のコックピットのモニターディスプレイを見つめた。そしてスイッチを押すと、焼き尽くされている街をさらに焼くように雨のようにクラスター爆弾を降らしていくのであった。雨のように振り注ぐ焼夷弾は建物を焼き尽くしていく。そして戦闘機から、ヘリコプターが落下した。ヘリコプターには機関銃とサブマシンガンが搭載されていた。そして次々と街の人々を襲っていくのであった。




