第2幕ー3 夢の世界
(え????)
アビトは驚愕した。そこは、現実世界とは、程遠い世界だった。折り重なる死体の数々。よして燃え盛る炎と、限りなく、続く銃弾。
そして剣を奮い続ける、剣士達。
「ここってまさか???」
そうここは、かつて中山龍太郎が、見ていたドリームバーチャル、リヒュテイン戦記の世界である。そしてここは、かつてのリヒュテイン連合軍と、バクミュダット連合軍が、激しく戦争した場所。エマニュエル・ハルトが、多くの市民を殺した場所。そして煉獄の七眷属の全ての始まり。
バクミュダット最大の人斬り、ギラはここで産まれた。
男は無心に人を斬り続けていた。彼は、バクミュダット連合軍の人斬りとして、政府の暗殺部隊として暗躍していた。
「俺は、人を斬らなければ生きていけん。俺は、血が欲しい。人間の生き血が。」
国の為、ひたすら、戦争のため、政府のために男は戦い続けていた。人斬り。それは国の為に、ひたすら人を斬り続けて行く男。これまで殺した政府の用心棒達を殺害してきたギラ。
ローゼンホルン。ロジュノフスキー、リューテンボ、バグミュダットの旧政府軍を壊滅させる為に、ただ人を斬り続けてきた男。
男は剣士たちを斬り付けていた。剣を振り下ろし、背中や腹を、刺しただ剣を振るう。
「やめろー!!!!!」
「喚くな!!!」
ギラは、新政府軍の命令通り、旧政府軍を斬り続けていた。彼は野心家であった。新政府が栄えればそれで良い。新たに新政府の指導者になるものがいれば、それについて行くだけ。
そんなギラの目的はただ1人、旧政府軍最強の人斬りブラック・ジョーカーこと、イーラ・ブレイハである。
「イーラ・ブレイハ!!!!どこだ。一体どこにいやがる!!!出て来やがれ!!!」
ギラは赤い視線を唱えると、ギラの術式にかかり、兵士たちは血を吐き倒れていく。
旧政府軍の、ツィベクは、次々と倒れていく兵士達を見て怒りを表した。
「くそ、なんてこった。旧政府軍が殆どやられちまった。どうすればいい。ちくしょう、一体誰が。」
「ツィベク組長、間違いありません。新政府軍最大の人斬り、ギラの仕業かと。」
デイメクは、後悔した。多くの命が犠牲になったディアオークの戦いでは、新政府軍と旧政府軍の内戦が勃発していく。
「おのれ、エマニュエル・ハルトの差し金か!!!畜生!!!奴は、このヘルヒュート大陸を征服するために!!!」
「だが、ギラは、ハルトとは違います。ハルトの奴の狙いはただ一つ、旧政府の滅亡です。
奴はいずれ、このバグミュダットを征服していく為に市や多くの街を滅ぼそうしております。だがギラは、奴は新時代の為に、人を殺す事に特化された男。元旧政府軍の隊長だった男が。」
「奴は修羅に落ちました。もう私どもの知っている奴ではない。指揮官。奴の暗殺命令を!!!」
デイメクは、ギラの暗殺命令をすぐさま実行するように問いかけた。
そして新政府の暗殺要員は、ギラを探し続けた。激化する戦いの中で新政府軍の兵士達に銃弾が放たれていき、次々と命を落としていく。
「俺は奴を、、ギラを殺す。俺の家族はギラに惨殺されたんだ!!俺はあいつが憎い。」
デイメクは、2年前、家族を暗殺された。新政府軍の人斬りとして、雇われた1人の人斬り。いかにしてギラは修羅に落ちたのか、その過去は壮絶なものだった。
アビトの意識は旧政府軍のデイメクの意識と共有された。デイメクは旧政府軍の新撰組の組長として、旧政府軍を引っ張ってきた。この闘いが起きる1週間前、バグミュダットの旧政府軍の転覆を企む魔道士達は反乱を起こした。
新政府軍の志士達は、旧政府軍の関所の多くを襲撃した。
新政府軍を率いていたのは、若き剣士エマニュエル・ハルト。剣の名手とされるだけでなく、魔道士としても名が高かった。
そう後に、バグミュダットを壊滅的な被害を齎す男である。
「ツィベク隊組。奴です。人斬りのギラが、新政府軍の最大の敵です。奴の強さは、測りきれない。元々、人斬りだった前任を惨殺し、人斬りに帰り咲いた男。しかも奴は旧政府軍で元々軍隊長を務めていた男です。」
「奴は、もう俺たちの知っているギラでは無い。殺すしかないんだ。やつを。」
そう3年前まではあの男は、正義の味方だった。いかにして人斬りになったのか。
3年前、旧政府軍の軍隊長を務めていた、ギラ・ヴェード。
剣の腕も、全てが最強。新政府軍のツィベクと互角に闘えるのはギラしかいなかった。
その日も、彼は1人で剣を握っていた。
道場に置かれた、竹の柱。ギラは、剣を握り、斬り刻んでいく。一度、二度、三度と竹を3等分していく。
「今日も、1人で剣術練習か、ギラ。」
ギラは声に振り向いた。男は、ツィベク。
ギラが所属する旧政府軍の組長を務める男。
「ツィベクか、毎日の特訓こそ、完璧な剣の磨き。俺の刀は美しく、かつ最強でなければならない。また動乱か、馬鹿な志士共が反乱を起こしたのか。」
「ああ、バグミュダットで1人反乱を起こしている奴がいる。その名は、ゴットホルトだ。奴は旧政府軍に恨みを持っている。
なんの理由かは知らんが、奴はレオンハルトを焼き討ちにするつもりだ。」
「なんだと???」
ギラは怒りを顕にした。
「しかも、最強の魔道士を引き連れてな。
並外れた奴らでは無い。戦闘用に特化された傭兵共。政府からの命令だ。お前が奴を斬れってな。」
「何故、俺なのだ。他の奴もいるのであろう??もう他の者でも手に負えぬというのか??
ふざけるな。俺は人を斬る為に、剣を極めた訳では無い。」
「ギラ。命令だ。お前の使命は、ゴットホルトを暗殺すること。もちろん我々も援助はする。だが、既に戦争は始まっているのだ。」
ツィベクはギラに冷酷に命令した。




