第6幕ー2 生贄の儀式
縛られた龍太郎、峯岸、由里子は、生贄として車に載せられた。彼らは目隠しを刺せられ、視界を奪われ両手を縛られてしまった。口には何も喋れないように布を入れられる始末だった。車の運転する音が聞こえると今乗せられているのだなと、走っているのだなと理解した。ドリームパスは、地底防衛軍に回収させられている。3人は車から強制的に降ろされた。彼らの前には巨大なビルがあった。そのビルの巨大エレベーターに乗り、52階まで送られた。エレベーターのモニターの階数が次から次へと上がって行く。そして52階に到着した。ゼトの口から破壊砲が放出されると街一帯を一斉に焼き放ってゆく。焼き放たれた街一体から爆風が響き渡ると凄まじい煙が上がってゆき周囲の建物が木っ端微塵になってゆく。
そして周りから凄まじい爆発音が響きわたり、ゼトが暴れているのが確認出来る。世界の崩壊が目前に迫っていた。
「おい、ここへ来い!!!ここへ乗れ!!!!」
防衛軍の男は、命令すると、龍太郎達は目隠しを外された。
目隠しを外された3人は衝撃の光景を目にした。彼らの眼下には、焼け野原と化したバグミュダットが映っていた。巨大な化け物がいるだけではない。ゼトの分身とも言える怪物が上空を這いずり回っているではないか。人間の死体が折り重なっていた。そして龍太郎の目の前に人間の身体を手で掴んでいるゼトの姿があった。ゼトは巨大な指でその人間の顔を握り潰した。そしてその死体の生首から血が吹き飛ぶと死体を口へと運び喰い尽くしてゆくのだった。
「ちょっと待てよ、こら!!生贄ってまさか、アイツの餌にするつもりかよ??おい、あいつ人喰ってんじゃねえかよ。
あの人食い化け物の餌にでもするつもりかよ!!冗談じゃねえぞ!俺達はまだ死にたくはねえんだよ。俺達は騙されて連れて来られた挙句、あんな化け物の餌になって終わるっていうのかよ。あいつには理性もないんだな??」
「そういう事だ。ゼトは理性もなければ世界を破壊することしか脳がない能無しの化け物だ。お前たちはゼトの生贄だ。さあここでお前達は最後の夜を過ごすのだ。そうキリストが望んだ最後の審判に相応しい。」
「ふざけんなよ、ちょっと待て、死にたくねえよ、助けてくれ!!!。おい、、助けてくれ!!!!!!。」
「峯岸!!!あいつを殺すぞ。」
龍太郎と峯岸は一斉に地底防衛軍を殺そうとする為に走ってゆく。しかし男はショットガンを所持していた。そのショットガンを2人目掛けて放った。そして2人の腕に銃弾が炸裂してゆく。その場に峯岸と龍太郎の2人は倒れ尽くした。峯岸の腕めがけて更に銃を撃ち尽くしてゆく。男はその場にしゃがみこむと龍太郎が所持してドリームパスを奪った。峯岸は薄れてゆく意識の中で思った。あ、もう自分は死ぬんだ。
そして男は峯岸を十字架のような柱に縛りつけられてゆく。
その時に由里子が走って男に飛びかかろうとしてゆく。しかし由里子の頭目掛けて男がショットガンで放った弾丸が貫通してゆくのであった。そして由里子は目を開けたまま死んでいった。峯岸に向かってゼトはものすごい速さで近づいてきた。
「やめろー!!!!!!」
叫んだのも虚しく、ゼトは、峯岸と由里子そして残りの地球人達の首をもぎ取ると、食い尽くした。
2人は首をゼトによってもぎ取られ死亡した。
生き残ったのは龍太郎だけになった。
「峯岸!!!!!!!」
龍太郎は目の前で親友を殺された。もう既に彼の心の中には絶望しかなかった。
「俺は、死ぬのか、ただ旅行へ来たかっただけなのに、なんで、、なんでこんな目に合わなきゃなんねえーんだよ!!!!!!!!あーーー!!!!!!!」
と次の瞬間、龍太郎の心臓の鼓動が早く動き始めた。そして遂に赤い閃光が龍太郎を包み始めた。すると縛られた拘束具を物凄い勢いでもぎ取った。
あまりにも凄まじい勢いで、龍太郎の身体はみるみる巨大化した。
そして遂に凄まじい煙と共に、蘇った。
「おい、なんだあの力は???」
地底防衛軍は、まさかの出来事に言葉を失った。
龍太郎の姿は、かつてエスポルアースを襲ったゼトを倒した、巨神兵、ファルマ聖騎士団その物だったのだ。
「奴こそが予言で言われていた、ファルマ聖騎士団のユーレフェルだったのか??」
地底防衛軍の男は、思い出していた。
それは1週間前、龍太郎にドリームパスを渡したレミュシー・ロズワルドから、聞いた言葉だった。
(あの地球人、中山龍太郎とかいう男の血液を調べた。もしかしたら、ファルマ聖騎士団の遺伝子を持っているかもしれん。奴が眠っている間に遺伝子を調べたのだ。奴ならゼトを滅ぼせる。)
男の名は、マイケル・ボークフォーンといった。地底防衛軍でレミュシー・ロズワルドの直属の部下であった。レミュシーは、ワープゲートから、龍太郎と峯岸がこの地でワープしてきた時に、龍太郎と峯岸の血液を調べていた。
その上で彼がゼトに立ち向かえる最後の審判に相応しいことに気づいたのだ。
「レミュシー様、しかしこの地球人達は既に死んでいるんです。いくらなんでも甦らせるなんて??」
マイケルは、電話越しでレミュシーと会話していた。ちょうどレオンハルトにレミュシーがいた頃だ。
「奴らはまだ死んだ訳では無い。どういう事か死ぬ前にこの世界へ来てしまったようだ。プロジェクトDは、既に実行段階へ入った。地球人の奴らを旅行に行かせるのだ。そしてドリームパスで眠らせ、ドリームポイントを0になったところで殺せ!!全ては、この国の未来のためにな。俺は中山だけは生かしておくつもりだ。奴は、ゼトを倒す唯一の切り札になるかもしれん。」
そう、全ての謎が繋がった。レミュシーは、あの日、龍太郎の血液にゼトを殺せるファルマ聖騎士団の血が眠っていることを発見した。
そして龍太郎を暴走させることで、ゼトを倒せる事を望んでいたのだ。
しかし手違いがあった。ファルマ聖騎士団のドリームパスは峯岸の方へ渡ってしまった。
それに気づいたのは、既に時間が経っていたからだったのだ。
そしてファルマ聖騎士団となった龍太郎は、ゼトの心臓目掛けて、強烈なパンチを放った。そしてゼトの身体から心臓を抉り出した。
ゼトは苦し紛れに咆哮を上げた。
そしてファルマ騎士団と化した龍太郎の腕を掴むと、身体を押し倒した。それに応じて凄まじい爆風が起こり、ビルを吹っ飛ばした。
そしてついにゼトは姿を変化させた。
あまりにも凄まじい勢いで、口から破壊光線を吐き出した。
その破壊光線は一瞬にしてはるか10キロメートル先にあるビル群を次々と破壊していった。
破壊光線を何度も何度も吐き続けるゼトによって当たり一体は火の海と化した。
そして龍太郎達が貼り付けられていたビルも、粉々に崩れ果てた。
凄まじい音を立てて崩れていく、ビル。全てはこの日が、来ることを誰が予言していただろうか。
バグミュダット、リヒュテインには、ゼトの生贄とされていた地球人達が何人もいた。
ゼトは研究所に眠る地球達の遺体を食い荒らした。その遺体の殆どがドリームパスによって眠らせれ、息絶えた地球人達だった。
峯岸涼は、ゼトの生贄となり死んだ。
中山龍太郎も、ファルマ騎士団となったが結局ゼトを倒せなかった。西暦3000年8月31日、
地底大陸、ユーゼンゲルト大陸に住む、地底人は1人残らず滅亡した。
そして時は15年の月日が立つ。




