第5幕ー1 炎獄の最後
エピローグ新たに追加致します。
中山龍太郎としての記憶が完全に消えたと同時に、ふとエミリオは甲板で立ち尽くした。リヒュテイン連合軍の戦艦フェルートから放たれた大砲が甲板に押し寄せると、一斉に爆発してゆく。そんな中、マリアはエミリオの方へと駆け寄っていった。
「エミリオ、、逃げるわよ。炎獄が沈んでしまうわ。」
「畜生!!まだ、、甲板には大勢の人間がいる!!!奴らを見殺しにする気か!!」
エミリオは、戦艦の中心部から外に出てゆくと、そこには倒れ尽くす煉獄の七眷属や、バグミュダット連合軍の隊員達の死体が散らばっていたのであった。激しい戦闘を物語っているのか炎獄の艦壁が爆発により破壊されると、炎獄の艦尾は、形を崩してゆく。エミリオとマリアを援護するようにエルエラは、ボートを用意していたのであった。エルエラが用意した巨大な救命ボートは、外部から砲撃されないように、特殊なバリアで周囲を覆っていたのであった。甲板から逃げる乗り組員達は、救命ボートや船に乗り写っていった。
やがて戦艦炎獄は、凄まじい炎を吹きながら爆発していった。一気に炎獄の内部の燃料に引火すると大爆発を起こしたのであった。エミリオは、船からその様子を眺めていた。
大爆発を起こした炎獄は、炎と煙と共に、海の中へと沈んでいったのであった。
「エマニュエル・ハルト。国の為に、世界を破壊しようとしたお前の野望は、この通り、打ち砕かれた。お前の時代は終わったんだ。平和な世界こそが、来るべき世界の在り方だったのだ。」
救命ボートに乗りながら、海上を見つめていたエミリオは、沈みゆく炎獄を見つめながら、ぼっそりと呟いた。船が戦艦フェルートに到着した。エミリオは救命ボートから降りると戦艦フェルート内に搭乗するのであった。そんな中、エミリオの前に、総隊長ライディエンバッハが姿を現した。ライディエンバッハの威厳な雰囲気を感じ取ったエミリオはその場で会釈したのであった。
「ご報告致します。エマニュエル・ハルト及び煉獄の七眷属含む、バグミュダット連合軍はこれより全て殲滅致しました。」
「ご苦労だったな。エミリオ、狗族のフェムシンムの民も、人間共にもう手を貸さぬとの方針であるとの事だ。我々リヒュテイン連合軍及び、人類の勝利だ!!皆の者に敬礼!!!!」
フェルート内の甲板にてライディエンバッハが一斉に船員達に声を掛けると、甲板にいた乗組員達は、手を頭に当て炎獄に乗り込んでいったリヒュテイン連合軍の魔道士及び兵士達に敬礼するのであった。そんな中、エミリオの父親であり総合司令官のゲイリー・ロシュマンが姿を現した。ゲイリーと目が合ったエミリオは、ゲイリーに対してお辞儀をするとゲイリーはエミリオに喋りかけたのであった。
「これでバグミュダットの国は、完全に壊滅した。帝国などという馬鹿な国を作ろうとした上で、神の力を使い世界を滅ぼそうとするなど愚かな者だ。ロナーク及びデューク、ナハトは再び碑石へと姿を変え、眠りに着いた模様だ。それでエミリオ、マリアとの結婚なのだが、、快く引き受けよう。」
ゲイリーの笑顔な態度に、エミリオは、嬉しそうな表情を浮かべたのであった。今まで結婚に反対であった、エミリオは、愛する妻との結婚を承諾したゲイリーの考え方の変化は、ハルトの暗殺を実行に移した功績を讃えた上での息子を評価した。するとエミリオは、涙を浮かべながら、感謝の念を称したのであった。
「父上、、ありがたきお言葉です。絶対にマリアを幸せにしてみせます。そして私は、リヒュテイン連合軍の一流兵士としてより一層闘いに励んで参りたいと考えております。」
エミリオがゲイリーに対して頭を下げると同時に周囲にいた兵士達も拍手喝采をあげるのであった。ハルトの暗殺と共に、リヒュテイン公国との戦争も終結を迎えたのであった。
戦艦フェルートに乗り、1時間程経つと、ミカエル市の港へと到着したのであった。エミリオは、久しぶりに祖国の空気を吸えたのか安心したが彼の視線の先に見えたのは、完全に焼け野原と化したミカエル市であった。RG XーRayが放たれた事により、街の半数以上が焼けてしまい、見覚えのある光景は、二度と戻ってこないのだと感じた
「俺達の祖国が、くそ、、責めて、もっと早く防ぐ事ができたのならば、もっと早く炎獄に向かっていれば、防げた筈だったんだ。」
エミリオは、港から降りると、凄まじい煙が街を覆っていた。大量の焼死体が折り重なるように、地面に立ち並び、皆、家族の問いかけに対して答える様子も感じられないのだ。バグミュダットの侵略により、命を落とした兵士達を弔うように折り重なった死体に火を放つ生き残った兵士達の姿にエミリオの心は酷く抉られるのであった。
焼けている街を観察するエミリオの元に、マリアがやって来ると、マリアは、涙を流し始めたのであった。
「私だけが生き残ってしまって、どういう気持ちでいれば良いのかしら。私、訳が分からなくなりそうなの。もうこんなに世界は焼けてしまって、お父さんもお母さんにエミリオと結婚して花嫁姿になった所を見せたかったのに。お父さんもお母さんもいない。ねえ、どうして、大切な家族が死んで、生き残るってこんなに辛いの。お願い、エミリオ、もうどこにも行かないで。私は、あなたと死ぬまで一緒にいたいの。」
マリアの願いはただ一つ。愛するエミリオの側に居て、死ぬまで一緒に生活を共にするという事であった。もう彼を離したくないという気持ちが強かった。
「分かった。マリア、、俺からも最初で最後のお願いだ。俺と結婚してくれ。」
エミリオはそういうと、マリアに対して指輪を差し出したのであった。この指輪は、バグミュアストライトの銀鉱石でギアンが今回のプロポーズの為にこっそりと作っておいてくれたのであった。その指輪を貰った時に、マリアは、涙を流すとエミリオに近付くとエミリオの口にキスをするのであった。エミリオはマリアと、キスを交わして2人は愛を誓い合う様子をエルエラとエイミーは、目撃していたのか冷やかしを入れるのであった。
「おいおい、エミリオ、すっかり男になってまってよ。いいねえ、、お二人さん、、お幸せにな。」
「エルエラ、、お前、、恥ずかしいから、、お前はあっちへ行け!俺達の時間を邪魔するな。」
「エミリオ、指輪あげたんだねー。今回の闘いが終わったら、正式にプロポーズするんだって、、張り切ったくせにね。もう幸せな奴ね、、あんたは。おめでとう。エミリオ。」
エイミーは、エミリオを見ると嬉しそうに笑いを浮かべた。こうしてリヒュテインとバグミュダットを巡る長い決戦は火蓋を閉じたのであった。そして時は流れ、2人は正式に結婚。マリアは、マリア・ロシュマンと名前を変えて、エミリオと一緒に生活を始めた。エミリオは、リヒュテイン小隊から、総合司令部の本部に昇格した。こうして、激動の決戦から一年の月日が流れたある日、エミリオは、バルトアの森を訪れていた。彼は、豚の神であるナハトに会いに来ていた。
「ナハト殿、私だ。エミリオ・ロシュマンだ。この度は、、正式に貴殿に謝りたいのだ。多くの人間が、、この森を、壊してしまったせいで、貴殿の仲間や、、神々が死んでしまって、、本当に申し訳ないのだ。私が、彼らを代表して、、デュークにも同じ事を申したいのだ。」
その時森の奥から凄まじい咆哮が聞こえると、豚の神であるナハトは姿を現した。だが既にその目は衰えており、相変わらず人間を憎むような目つきは健在していたが、以前程鋭さは消えていたのであった。ナハトは、エミリオに対して声を荒げて、喋り始めた。
「どんなに謝罪した所で人間共が起こした行為は、決して許される事ではない。現に私の息子は死んでしまった。聞こえるか、森が泣いている声が、森が私達と共に泣いている。だがな、エミリオと言ったな。そなたの言う通りかもしれん、、、、儂はもう充分に生きた。後は、、、私に変わりこの森を、、、デュークが現れたようだ、、」
その時であった。ふと金色の光が、現れたのであった。そこには、6つの頭を持つ龍が、不意にその姿を現したのであった。あまりの眩しさに、エミリオは、目を塞いでしまったのであった。エミリオが目を塞ぎながら薄らと目を開けた。その龍こそ、デュークであった。デュークは森を抜けて、ナハトの元にやって来ると、ナハトは力尽きるように目を閉じるのであった。
そして大地の神であるロナークも森に姿を表すと、ロナークとデュークは咆哮をあげると、森の中心に一本の巨大な大木が生えてゆくのであった。巨大な大木からはまるで生気が溢れんばかりに木々が生い茂ってゆくと、枯れ果てていたバルトアの森は、みるみる再生してゆくのであった。
そしてロナークとデュークの2匹はお互いに凄まじい咆哮をあげると一気に金色の光が空から輝き出すのであった。
一気に周りの風景は、金色の大草原へと変化してゆく。
そして大草原に生える一本の大木がエミリオの視界に入った。エミリオは、思わず口にした。
「あれは、メシアの菩提樹か、、」
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