第3幕ー1 フェムシンムの計画
ローゼンホルン、そして旧帝国軍のリーダー達が暗殺され、バクミュダット新帝国軍は政権を手にした。新帝国軍のリーダーにエマニュエル・ハルトが就任した。
新しい王の存在を国民は認めることは無かった。バクミュダット公国は、他の地底獣人族や、地底魔人族、天人族とも貿易を行っていた。
その中でもヘルヒュート大陸に住む獣人族は、貿易の最先端を築いていた。科学技術や資源の宝庫だった、ヘルヒュート大陸を治めていた狗人族フェムシンムと手を組んだ。フェムシンムと手を組む以前は、リヒュテインを支配下に置くことだけを考えていたハルトだが、フェムシンムの素晴らしい技術を前に地底国を征服すると言う考えと変わっていった。
「あんたがデュオシュアか?」
10年前のその日ヘルヒュート大陸から、フェムシンム一族の長デュオシュアが訪ねてきた。
「そなたがハルト殿か。私が、デュオシュアだ。珍しいな、この私をわざわざ国内まで呼び立てるとはな。」
デュオシュア、レミシェル、ソフュシア、ヴァシュエ、ゲェジュオなどの幹部も同時に集められた。
「あんたらフェムシンムの科学兵器の技術は地底大陸一だと聞いたぞ。聞いた話によると、一撃で生物を死に追いやる放射砲を開発したらしいでは無いか。」
デュオシュアは、誇らしげに言われたことに笑みを浮かべながら口を開いた。
「ほう、それはそれは。そのような噂を耳にしているとは非常に嬉しいことだ。確かに私達の開発した、RGX-rayは、プルトニウムやウランなどの原子燃料を核融合させ、放射線高射砲を打つことが出来る。しかしそのためには強力な死のエネルギーが必要だ。」
「エマニュエル・ハルトよ、神の首だ。神を殺し生贄にするのだ。死の神デュークだよ。」
「死の神?」
この地底大陸ではハルトですら知りえない数多くの神が生息している。
「ハルトさま、この地底大陸の生と死を司ると言われてる神です。奴はバルトアの森に生息していると言われております。」
ハルトの副臣が答えた。
「ならば私は、その首を手に入れる。私の完璧な計画の為なら、容赦はしない。」
野心家だったハルトは、人類その物を憎んでいた。自分が関心が湧かない人類、人族は徹底的に滅ぼしたいと考えた。
その考えがひとつに纏まった瞬間だった。
「デュオシュア、このお金を受け取ってくれ。もう一つ、そなたにお願いがあるのだ。
私共に相応しい戦艦を製造して欲しい。」
ありったけのお金をデュオシュアに渡した。
「ははは、冗談はさておきにしてもらいたいな。私どもがなぜお前ら人間のために戦艦を作らねばならんのだ。」
そういうと、辺りに響き渡るような太い大声で、デュオシュアは叫んだ。
「さあいよいよ国盗りの開始だ。」
その日からハルトの地底人類滅亡計画が始まった。
三日後、デュオシュアの元にフェムシンムが集められた。
「ソフュシアよ、お前に任務を与える。人間に接触しろ。バルトアの森に潜伏するのだ。そして、リヒュテインの国の人間が、神に接触できぬようにするのだ。」
ソフュシアはデュオシュアの命令に異論を唱えた。
「お父様、私は今回の計画に反対致します。もし、高性能放射砲が発射されれば私どもフェムシンムも無事では済まないのでは無いですか?私どもの本来の目的は、地底人族と友好を結び、共存する事が本望だと私は考えます。」
ソフュシアの意見に対して、レミシェルが眉を潜めて反論した。
「ソフュシア、なぜ我々に意を反するぞよ。そちはいつから人間の味方になったぞよ。神の教えに逆らうぞよか。妾は、幻滅したぞよ。」
レミシェルは、ソフュシアの母で、デュオシュアの妻だった。灰色の狼の面を覆い尽くすように長い髪を下ろしながら、まるで巫女のような佇まいを見せている。
「お母様、お願いです。私の願いを。」
「まだ言うぞよか!!!。」
レミシェルは、目線をソフュシアに向けて放つと、まるで操られたかのようにソフュシアは、自我を失いかけた。そして幻術にかけられたの如く、赤い目になり苦しみ回った。
「あああーーー!!!!!!!」
「ソフュシアお前に全てがかかっているぞ。逆らえばお前の命は無いぞ。」
デュオシュアは、強引に、冷酷な言葉をソフュシアへ投げかけた。




