第2幕ー2 地底のオペラ
3人は120メートルにもなるナヒュート大聖堂の頂上にある展望台へと向かった。受付でパスを渡し、チケットを受け取った。
「スカイツリーとかと比べちゃうとなんかしょぼいだろうな。」
「アホか比べるのが間違ってるわ」
ナヒュート大聖堂の展望台から眺めるリヒュテインは絶景だった。
リヒュテインに来る前に降りた港が遥か彼方に見えいくつもの商船、遊覧船、貿易船が止まっている。
そしてタンカーらしき船が1艘、2艘と現れると巨大な石油備蓄基地と思わしき場所に止まった。
恐らくこの地底世界にもこんなに石油産業が発達しているのかと龍太郎は関心した。
「ほんとに凄いなぁ、こんな景色中々見れねぇぞ。」
「折角だから3人で写真撮ろうよ。」
花梨が提案すると峯岸と龍太郎と3人で展望台からの絶景をバックに写真を撮った。
峯岸と花梨、龍太郎と花梨、龍太郎と峯岸で撮った。写真をLINEで共有した。
こういう風に写真を撮ることで3人の間に自然と絆が生まれてきた。大聖堂の奥にある喫茶店で色々と話をしていた。
大聖堂を出てバスに乗った3人はふと向こう側にオペラ座のような大きな建物があるのを見つけた。
花梨はオペラ座を見るとテンション上がり始めた。
「ねえみてオペラ座があるよ」
龍太郎は驚いて聞き返した。
「オペラ座?地底国にオペラなんてあんの?」
「ねぇ行ってみない?つまんないかもしんないけどこんなチャンスないかもよ。」
花梨は船で出会った時、オペラが好きだという話をしていた。
ふと龍太郎は気になったので、質問してみた。上智大学のエリート女子大生はオペラまで好むのかと少し龍太郎は関心したので聞いてみた?
「花梨ちゃんどんなオペラとか見んの?」
「うん、魔笛とかフィガロとかドン・ジョヴァンニとか。あとは椿姫とか、カルメンも好きだよ。モーツァルトのオペラからプッチーニやワーグナー、ヴェルディにストラヴィンスキーなんでも聴くわ。」
「へぇー随分沢山知っているんだね。カルメンってあの有名な闘牛士の歌が出てくるオペラでしょ。」
「えー、龍太郎君もカルメン知ってるんだ。闘牛士の歌はとても有名な歌よ。闘牛士の歌はとてもわかりやすい和声で出来ているのよ。ほんとにこの曲が作られた時代の音楽はわかりやすくて良い曲が多いわ。私がほんとに1番好きな、《椿姫》ってオペラに出てくる乾杯の歌って曲があるのよ。恐らく有名な曲だから龍太郎君も聴いてみれば分かるんじゃないかしらね。」
そういうと花梨はWALKMANを取り出した。イヤホン越しに聞こえてきたのは、テレビでお馴染みのあの曲だった。
「俺も知ってるよ、聴いたことある曲だわ。」
「でしょ、でしょ、良い曲でしょ。」
オペラが好きな花梨からすれば、これは堪らないだろう。
「あたしの思い出の曲なんだー。昔ね亡くなったお母さんがね、よくあたしに聞かせてくれたの。だからこの歌を聴いてさ、やな時とか、辛い時とかハッピーになれるんだ。だってさ乾杯の歌だよ。もう幸せしか感じられないじゃん。」
「お母さんもオペラ好きだったんだ?」
龍太郎が聴くと、花梨は悲しく答えた。
「そうよ、あたしに色んなオペラ見せてくれたの。あたしいつかオペラ歌手みたいに素敵な歌を舞台で踊ってみたいってずっと思ってた。だからお母さんに頼んだの。、あたしもオペラ出来るようになりたいって。でもその夢が叶う前にお母さんは病気で亡くなってしまったわ。でもねお母さんのおかげで今オペラという存在が心の支えになっているのよ。」
「まもなく地底オペラ座!!」
「おっ着くぜ。」
3人はバスから降りた。そして地底オペラ座へ向かった。
まさに地底オペラ座はウイーンにあるオペラ座そのままだった。こちらがぱくったのではないかというくらい造りがそっくりなのだ。
オペラのタイトルは「運命の女」だった。まるでベルディのオペラのような内容だった。
3時間も上演しており、あからさまな超大作だったので全く興味のない龍太郎からすれば面白くもなんともなかった。
ただ音楽だけは迫力があった。流石に同じ人類が作りあげているだけあり、地上のクラシック音楽にも匹敵する。
恐らく西洋音楽に近い最も近いと言われている音楽がこの地底国でも発達していたのであろう。
龍太郎は疲れていたのか気づいたら眠ってしまっていた。パスを持ったら夢の世界へ行ってしまうこともすっかり忘れながら、眠りについてしまった。




