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エスポル旅行記~夢幻の園~  作者: アリナス
第1章 地底旅行と異世界の夢
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第2幕ー1 ブルンゲルト城とナヒュート大聖堂

 花梨は隣の部屋で寝ている上に一人で女子部屋に寝ているので、男2人入る訳には行かなかった。

一応ホテルへ出発する前に、隣の部屋まで行き呼び鈴を鳴らしたが、全く反応がなかったので恐らくまだ夢の世界へ入ってしまっているのだろう。龍太郎は未だに信じられなかった。オールマイティパスに人を眠くさせる睡眠薬かまたは催眠術のような機能があるのだろうか。試しにオールマイティパスを離して寝てみようと思い、先程ベットへ入った。するとほんとに気持ちよく寝る事が出来た。


直ぐに目を覚ました。龍太郎の中で2つの葛藤が生まれた。このままパスを持たずに睡眠を取る方法と、パスを持ち、エミリオとして戦い続ける方法の二択が攻められた。


(どうしよう、このままこのパス持たずに寝ればいいよな、そうすれば俺は夢の世界にも行かなくて済むし、エミリオにも成らずに済む。どうしたらいいんだ。)


しかし、夢の世界で連れ去られたままのマリアのことや、ザクアに殺された村長の事を思い出すと、ゲームの世界とはいえ、逃げようとしている自分が恥ずかしくなった。夢の世界とはいえ眠ればエミリオになる。エミリオとして最後の最後までハルトと戦わなければならない使命もある。

でもとりあえず今は考えんのは辞めておこうと思った。思えば本来は旅行する為に、来ているのであって、戦う為に来ているわけでは無い。龍太郎は、旅行の目的を忘れ掛けていた。まだ1週間のうち2日しか経っていないのだ。あと5日もあるし、いつでも夢の世界には入れる。ならばせめて起きてる間は旅行を楽しもう。そう考えると自然と気持ちも穏やかになってきた。

ホテルから出て、折角だからと歩いてナヒュート大聖堂へ向かった。ホテルから歩いて40分ほどの場所にある。ホテルを出て真っ直ぐ歩くと早速巨大な城が見えてきた。ミカエル市にそびえ立つ、ブルンゲルト城に、聖ジュレスト教会だ。この2つはミカエル市の中心街へ近い所にそびえ立ち、とても美しい。聖ジュレスト教会には高さ90メートルにもなる巨大な塔がそびえ立つ。またこの塔のてっぺんには、鐘があり毎日決まった時間になるとなる仕組みになっているのだ。そして教会の中にはイエス・キリストや、様々な神が祀られている。

ゴシック建築の象徴としてこの市では栄えている。ブルンゲルト城は、シュナイド大宮殿と並び今回の旅行の観光のメインとなる場所だ。ブルンゲルト城には、ルーネスベルク家の歴代の皇帝の肖像画がひしひしと並んでいる。ルーネスベルク家はルーネスベルク一世から始まり7代に渡り、ブルンゲルト城を治めてきた王家であり、ブルンゲルト二世の皇后カトリア・シュベァータ王妃は、暗殺されてしまった悲劇の皇后として知られている。カトリアシュベァータ王妃は、元々貴族の出でルーネスベルク家とは全く関係の無い家系であった。しかし親の許嫁での結婚を強要され貴族の男と結婚するが結婚生活は破綻。しかしふとしたことかたまたま、旅行先で知り合ったブルンゲルト二世と恋に落ち貴族と王族という身分の格差を得てついに2人は結婚する。、しかし皇后としてあまりにも忙しい上に息子も産まれて幸せな家庭を築いていたように見えたが、晩年は王家の謀反により暗殺されてしまうという最後を遂げた。

龍太郎と峯岸はナヒュート大聖堂へ向かう前に、ブルンゲルト城を観光した際に現地のガイドが説明していた。


「しかし可哀想だよな、カトリアシュベァータ王妃ってよ、結局無理やり結婚させられ自由な時間も与えられないまま最後は暗殺だろ?」


「まあしょうがねえよなー、王族と結婚しちまったんだからそういう運命なのさ。」


「でもさなんか俺は彼女の生き方には共感出来ねえな。」


「龍太郎見ろよ、あれがカトリア王妃の肖像画だぜ。やっぱり王妃だけあって綺麗だな。俺タイプだわ。」


すると龍太郎の表情がいつもより変わった。龍太郎は、初めて峯岸のタイプなどを聴いた。今まで2人は親友であったが、お互いの恋愛観などを聴く事は少なかった。峯岸の意外な好みに終始驚くばかりであった。


「えっお前この顔がタイプなのかよ。だって見ろよババアだぜ。まさかお前熟女フェチ?」


「違ぇよ、よく見ろよ下のとこ。若い頃の肖像画だよ。俺が熟女フェチな訳ねえだろ。ババアのAVすら好きになれねえ俺が。」


峯岸はほんとに能天気なやつだ。こんな訳の分からない旅行に連れて行かれてしまったにも関わらず、ここに来てまでAVの事なんかを考えているとは。龍太郎は峯岸の言動に呆れ返ると同時に、自身が家でアダルトビデオを鑑賞していた時の事を思い出しながら峯岸の話に乗った。


「俺はAVで言ったら断然、王道ロリ顔派かな。まあ普通によ童貞が好みそうなパターンが好みなのよ。まだ19とか20とかのさバリバリのグラビアアイドルら辺から転向したのとか可愛い娘多いやん。」


峯岸は高校の時からこういう話が大好きだった。当時からAVやエロ本関連の話などしていた。しかも高一にして童貞を卒業していている癖に真面目で勉強も出来るという男として尊敬できる所もたくさんあった。

吹奏楽部で楽器も吹ける上に音楽の才能もあった。今の彼女とも吹奏楽で出会った。saxが上手い女の子で某音大に通っている。


「峯岸お前良いよな、彼女音大生なんだろ?」


龍太郎は羨ましそうに尋ねた。峯岸の彼女に会った事があった。金髪で美しいだけでなくサックスの腕も上手であり、学内でもトップレベルの演奏技術を誇る子であった。それでありながら性格も穏やかでとても峯岸の彼女にするには勿体無いと周りから言われる程であった。


「そうだよ、あいつはとにかくオシャレなのよ。且つ上品でさ。しかも、おまけアルトの音程超綺麗なんだよ、俺何回もさ演奏会聞きに行ったことあんのよ。彼女の音はすげーぞ。グラゾノフのサックス協奏曲でソリスト務めたことあんだぜ。とにかく太くて芯のある音だ。俺なんかさ、邦人作曲家の曲ばっか吹いて、それだけしかやってこなかったらさ、音大で外人作曲家の曲吹いてバリバリのクラシック極めてるあいつがほんとに羨ましい。俺も音大行きたかったよ。でも今はいいんだ横で聴いてるだけでいい。俺はそれで充分だよ。」


峯岸は吹奏楽部の出身であり、彼女と同じくサックスを吹いていた。高校時代は、東日本の全国大会に行く程の吹奏楽の強豪校出身であり、当時から邦人の作曲家の音楽に慣れ親しんできたのだ。大学入学後も都内の吹奏楽団でサックスを吹く中で、音楽大学からレッスンに来ていた彼女と出会い恋に落ちた。波乱万丈の音楽人生であった。

その一方で龍太郎は音楽という才能に恵まれなく、クラシックにも出会うことない人生であった。高校卒業後も都内のゲーム会社で残業をしながら必死に働き、峯岸が思い描いていた薔薇色の大学生活とは真逆の生活を送っていた。音楽の世界で生きている峯岸と峯岸の彼女が憧れでしかなかったのだ。そんな中、ふと龍太郎のLINEの通知が鳴った。

誰だろうと思い、龍太郎は携帯を眺めると花梨からLINEが来ていた。


「ちょっと!!あたしをホテル置いてくなんて最低!どこいんのよ怒るよ!!!」


「おいおい花梨ちゃん怒ってるよ、どうしよう、」


龍太郎は花梨がこんなに怒る子だと知らなかったので驚いてしまった。まだ花梨と出会ってから1日も経ってないないのにもう花梨を怒らせてしまった。自身の愚かさを反省したのであった。龍太郎と峯岸は決して悪気がある訳ではなかった。

ただまだ出会ったばかりの花梨を女子部屋に起こしに行くという行為自体が恥ずかしくて出来なかっただけであった。


「ごめん、今、ブルンゲルト城だよ。」


龍太郎は、謝罪のスタンプを送ると現在の自分達の居場所をLINEで送信した。すると3秒くらいで既読がついた。あまりにも既読がつくのが早かったのか、龍太郎の気持ちは焦った。やがてすぐに花梨から返信が来た。


「ブルンゲルト?どこよそれ。あたしも行くからそこで待ってて。」


「了解っと。入り口の所にいるね。取り敢えず地図を送っておく」


龍太郎は、すぐに既読を付けて、花梨にLINEを送信した。花梨がすぐ到着するように、現在地のURLをLINEで送信したのであった。花梨がLINEで言っていた用件を峯岸に伝達した。


「花梨ちゃん来るって、とりあえずブルンゲルト城の入り口で待ってようぜ。」


龍太郎と峯岸は、城外から、入口へ向かって歩き始めた。

そこにベンチがあったので休憩も兼ねて、座ったり、城を眺めながら、観光を楽しんだ。やがて、30分ほどして花梨がブルンゲルト城に到着した。


「もう勝手に居なくなって。あなた達いなくなったらあたし1人じゃないのよ。」


「だって花梨ちゃん呼んでも起きねぇんだもん。」


「だったら電話鳴らしてくれればいいんじゃない!、もう気が利かないんだからー。

もう一人だと心細いからさお願い一緒にいて!!」


3人は結局一緒に行動することとなりブルンゲルト城を出て、ナヒュート大聖堂へ向かって歩いた。ナヒュート大聖堂は、聖ジュレスト教会の高さにも匹敵する高さを誇る。高さは120メートルにも及びミカエル市最大の建築物として異様な程の存在感だ。そして展望台にまで通じる大きな階段が存在する。その階段の異様なでかさに3人は感激した。


「うわぁーでけぇ!すげぇなほんとに」


「このまま上に登って行かない?折角だしさ、、時間はたっぷりあるしね。」


「えー、、疲れんじゃん!!やめようよ!!!」


花梨が提案すると峯岸と龍太郎は反対した。峯岸と龍太郎の2人は既に様々な場所に観光しており疲労が限界であった。だが花梨の圧に押されて、賛成するしか無かったのだった。

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