3話 デリカシーって大事だよね
「なんで痛がらないんだ。水平に4~5メートルも吹っ飛んでいるのに」
上から見下した態度で、俺を吹き飛ばし校舎にめり込ませた犯人の美鏡凛が校舎から俺を引きずりだした。
「火事の後の後遺症ってやつだよ」
……嘘は言っていない。
……今年の4月、家が火事に見舞われていた。
その時の俺は、よくわからない力に目覚め、手から炎を振りまく男を殺していた。
その後、意識を失い気が付いたら病院のベッドの上にいて、まだよくわからない力が使えないか、色々と試していた。
案の定使えなかった。
しかし、この異常な強さを誇る肉体だけが残った。
手から炎を振りまく男を殺したことにより罪に問われるかと思ったが、事故死ということになっていた。
……そこから俺は悩んだ。
この力を振りまくか、隠すか。
無論、この力を使えば様々な競技で異次元級の記録を叩き出しかしせたかもしれない。
だが、俺は隠した。
――だって、目立ちたくないもん……。
とまあ、俺が超強いのはわからなくはない。
しかし、凛はどうなんだ?
なぜ彼女は人間を水平に4~5メートル吹き飛ばせるだけの力を持っているんだ?
当然、彼女に直接は聞かない。
なんたって、俺はちゃんとデリカシーを持った紳士なのだからね。
そんなことを考えている間にも、俺のもとには「そんなわけないじゃない」とか「ありえないッ」などなど大量のクレームが来ていいるから、
「そのうちわかるさ……」
とか意味深に呟いといた。
次回魔王化します。(出来たら)