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1話 学生に襲い掛かる悪魔(定期テスト)

燦燦と輝く真夏の太陽の下。


私、神楽坂時雨(かぐらざかしぐれ)は混沌の極みにあった。


「どうしてこうなった……。俺は悪くないはずだ……」


それは2時間ほど前の事だった。


「……神楽坂君。君、次の定期テスト赤点が一個でもあったら退学ね」


俺は教頭先生に呼び出され、執務室に入った直後の出来事に頭がフリーズしていた。


「は……?」


「だから、次の定期テストで赤点が一個でもあったら退学ね。た・い・が・く」


「留年とかすっ飛ばして退学ですか……」


「よくわかっているではないか。まあ、赤点を取らなければいい話だ。簡単だろう?」


それができたら苦労ないってのに。


心の中で悪態をつく俺を尻目に、


「と、いうことなので、定期テストに向けて勉強するためにさっさと帰るんだな」


……そんな感じで執務室から追い出された後、原因を探るべく色々考えた結果今に至る。


そして出た結論が、


「俺の通う私立金剛学園は文武両道なので部活に入らず、成績も悪い俺は学校の看板に泥を塗りたくっているので、学園側からしたら俺ほど有害な生徒はいない。ってところか」


そんな独り言をボソッと呟き、哀愁漂わせていたら、


「ふっ、よくわかっているではないか。学校一の、というか学園始まって以来の劣等生の神楽坂君」


いつの間にか隣には、金髪ロン毛のナルシストっぽい人がいた。



「どうやら、君はこの学園に通っていながらこのボクのことを知らないなんて、君ホントにこの学園の人かい?」


すぐ隣にいる金髪ロン毛のナルシストっぽい、というかナルシストな男子生徒がそう言ってきたので、


「生憎ながら、この学園には友達と呼べるような人は1人しか居ないんだ」


少し皮肉を込めてそう言ったら金髪ロン毛君は、


「やはりそうか。だっていつも君、ボッチだからな」


……コイツ、果てしなく、ウザイ。


「用はそれだけか? もうないなら帰るぞ。いいよな」


「いやいやこれからが大事なんだよ。今日のボクは、君の友達になりに来たんだ」


「もういい。帰る」


「待ってくれよ、本当に友達になりたいんだ。君には可能性を感じる。それが今後開花するんだ。じゃないと君が学園にいる意味が分からない。きっと教頭はそれを感じていたから君をこれまでこの学園に縛り付けていた」


金髪ナルシストは俺の前にいつの間にか回り込んでそんなことを宣った。強引に腕を絡ませるオプション付きで。


「なんなんだよ。若干きもいぞ、お前」


「なんだとッッ。貴様ァ、このボクがァ、キモイだとぉぉッッ」


突然激高した金髪ロン毛ホモは俺に殴りかかってきた。

強引に身をひねってよける。


(やはりそうか、まったく俺の体どうなってんの?)


右腕にピッタリくっついていたホモが殴ってきたのになぜかすりもしないのか。


答えは俺の類まれな身体能力にある。


腕の拘束を解除し、パンチの軌道を読み軌道上から身をひねり脱出した、ということである。


そもそも、俺は生まれたときから力が強かったらしいが、この生まれた時というのはマジで生まれた瞬間である。お母さんのおなかの中から出たとき非常に強い力でお母さんを殴り殺してしまったらしい。


一応表向きには出産までにストレスが溜まっており耐え切れず出産と同時に亡くなったということになっているが……。


「最近多いな、発狂するやつ」


金剛学園を中心として起こっている奇妙な事件。それは突然発狂し暴力的になるといったものだ。原因はいまだに不明で、最初は都市伝説レベルの話だったのだが最近では1日に2~3人発狂していて、朝の情報番組でも連日報道されている。


いったん気絶しないと治らないこの症状は一般人では到底対処できない存在だったが、


「ほいっと」


――必殺の後ろ回し蹴りが決まった!!

  金髪ロン毛ホモは倒れた!!


鳩尾に後ろ回し蹴りが突き刺さり、身体をくの字に曲げて苦悶の表情を浮かべながら吹き飛ばされその意識を闇に落とした。


放っておくかどうか悩んだけど、正直あのホモにはも触れたくないので放っておくことにした。


「さてと、帰るか」


俺は真夏の太陽を見上げた。


……というか、名前聞き忘れてたな。




帰り道、学園では基本ボッチの俺は一人とぼとぼ都会の喧騒に紛れて帰っていると、


「やっほ、なんだった? クソジジイの話」


話しかけてきたのはたった一人の友人、ポニーテルがトレードマークの御蔵凛(みくらりん)だった。


彼女は成績優秀、容姿端麗、スポーツ万能のこの学園のスターだ。

結構完璧な彼女がなぜ何もない自分と話をしてくれるのか結構謎だ。


もしかしたら自分に気があるのかもしれないと、部相応な夢を見たことがあったが、その後すぐに彼氏がいることが発覚。幻想は塵になりきえた。


だからこそより謎なのだが深く考えないことにしている。


「”……神楽坂君。君、次の定期テスト赤点が一個でもあったら退学ね”だそうだ。まったく何を言ってんだか。みんなのために今までテストの点を抑えてきたのに。」


「退学ッ⁉ ……それ、ホントなの?」


結構マジな声色で凛が聞いてきた。


意外だ。


普通にこの学園の人の常識では、俺は空気以下で価値もないものだったからな。当然疎ましく思う輩もいるだろう。教頭も例外ではない。


……実際今までも何回か呼び出されて、次なんかあったら退学な。的なことを言われ続けているのだ。


だから、俺的には「またか~……」的な反応だと思っていたからマジになられるとちょっと驚く。


「お、おう。まぁ、いつもどうりだな。今回も問題ない。


凛から魂が抜けかかっていた。







次回から魔王になって無双します。

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