夜明け前の空
新連載、(書き直して)始めました。
趣味です、ひたすらに趣味です、更新は遅いです。
それでもよろしければ、どうぞよろしくお願いいたします。
なお旧作は3話しかなかったので削除しております。
“すんごくもう! サイッコーなのよ!!
これなら中毒になる人がいたって不思議じゃないよねって言うか当然よねって思えるくらいにね、再現率が半端じゃいの!
まさしく世界を新たに作り上げたって感じ!
人はついに天地創造の域へ足を踏み入れてしまったのか!? ってね!?
ああうん、ごめん、神様の否定とかじゃないし、単にそれ位すごいのよって言いたいだけなの、そんなに深く考えないで?
でねでね、どんな内容かって言うと……ん? あ、ごめん、呼ばれてる。
またすぐ来るから待ってて!
ハーイ! 私だけど何……”
“ごっめーん! 待った? 待っちゃった??
やーん待たせちゃったわよねー私って罪な女ー!
……ごめんなさい、楽しみすぎてテンションがおかしなことになってるだけなの。
そんな綺麗すぎる目で私を見つめないで……!
……えっとー、こほん。
じゃあ約束の解説ね?
タイトルは<ヴェリアス・オンライン>って言って、剣と魔法のファンタジーよ。
私たちは勇者やら冒険者やら研究者やらいろんな人物になり切って新しい人生を作ることができるの。
もちろんゲームの中だけの仮想人生だけどね?
それでも、VRシステムで再現された世界は、生きている身体とほぼ同じ全6感をほぼ完全に再現できてて、画面表示のビデオゲームなんかとは体感度も満足度も格段に違うんだから!
あー違うの違うの、ほぼって言ったでしょ?
ゲームでの怪我や死亡が現実に影響をもたらすことなんて0.0001%もありません!
あるとしてもゲームにのめりこみすぎて起こるトリップ症状とか、長時間の利用による脳疲労から来る体調不良くらいで、肉体の生死に関わるような直接的な影響はないの。
それからそれから、一昔前に流行った<VRゲーム監禁殺人事件>とか、所詮あれも作り話よ?
普通に考えて、国の医療認可がいるVRゲーム開発に早々抜け穴なんてありえないし、あっちゃいけないでしょう?
そういう狂いかけの精神構造を持った人間は、定期医療検査で引っかかって隔離、療養されるもの。
開発に関われることさえないって言うのに、誰がそんなものを作れると思う?
今キミが心配したようなことはね、100%、天地がひっくり返っても、血の色が青くなっても、朝が夜になっても、太陽が爆発しても起こるわけがないんだから!
……ぇ? 私が? この間? 朝起きたら夜だったって?
…………現実は小説よりも奇なるものなの、時にはそんなことだってありうるものなの。
……………………やめてよして私を見ないでそんな透き通る純粋な瞳で私を見ないでええええええ!!!
あーごめんなさいごめんなさい大きい声ごめんなさいもう騒ぎませんですはいすみませんでしたごめんなさいごめんなさいごめ(エンドレス)”
“……全然話が進まなくてごめんね?
え? 楽しいから平気?
~~~~~!!
っあー! もうこれだから可愛いのよほんっと可愛いけなげ可愛い!
だから、私どうしてもキミの力になりたかったの。
ううん、力になるなんておこがましいよね?
ただ私がキミに、喜んでもらいたくて、押しつけに来たの。
……きっとこれなら、キミの世界をずっと広く輝かせてくれるんじゃないかと思う。
だからぜひ! 少し試すだけでもいいの!
お願い……やってみて?
絶対絶対絶対の絶対! 気に入ってもらえる自信があるから……!”
“……!!!
ありがとうっ!
実はね実はねっ、そう言ってもらえると思ってもう初期設定は済ませてあるのよ!
フィジカルスキャンは先週取ったデータでいけるから必要ないし、設備だってこの部屋ならすぐ整えられるわ!
さらにさらに……キャラクターメイキングも済ませてあっちゃったりして!
キミには誰かになるんじゃなくて、自分を見て知ってもらうことの方が大事だと思うから、今の姿そのままで作っておいたわ。
…………どうか、どうか、たくさんのことを感じてもらえますように”
“ミスターウツギ、キミに<ヴェリアス・オンライン>をプレゼントします。
虹色の世界を、その瞳で見て感じてきて?”
当作品のあとがきには作中の専門用語の解説的なものを書いていきたいと思います。
この手の作品を読む方ならご存じでしょう用語の解説を本文に入れると、文章量がかさんでしまうだけで読んでいただくに負担や不快を与えてしまうかもという考えによります。
解説は1話分中に使われており、かつネタバレに引っかからない単語が対象になります。
この単語の解説が欲しい、書かれていない、ということがありましたら、お気軽にご連絡くださいませ。
用語解説
・VRシステム
→ Virtual Reality Systemの略称。仮想現実、すなわち現実世界ではなくサイバー空間上に作られた人口の世界のこと。当作品では特にゲームに応用されているものを指す。
・トリップ症状
→ 現実と空想(仮想現実)の区別がつかなくなった状態のこと。ゲーム脳とかもこれに入ります。
・<VRゲーム監禁殺人事件>
→ よくあるログアウト不可能なデスゲームのこと。当作品の世界観ではそういったことは無理となっております。