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IZIME  作者: ATURA
9/13

勝負八「女の敵」

「どうだった?反省室は?」

「最悪でしたよ・・・伊藤先生は無知ですね、ああゆうタイプの人は嫌いです」

 生徒会室に戻ってきた幸介を出迎える男子生徒。

彼は副会長の書記、藍同あいどうすぐる

アイドル顔で女子からの人気が高い。

その所為か、彼の女癖はかなりひどい。

「副会長はそう思うんだ〜、僕は好きだよ、伊藤先生」

「お前の場合は女子全員が好きなんだろうが」

そう言った幸介、そして、卓が黒い笑みを浮かべた。


「なんだったら、伊藤先生を手なずけてあげようか?」


いくら顔はよくとも、その性格は外道で、最低なものの様だ。


「・・・じゃあ、頼んだ」


幸介は当然だと言わんばかりの態度で、そう言った。


「思い出すなぁ、うみちゃんの時と似てるよ」

「・・・あぁ、そう言えばそうだな」

「無知な女の子ほど、傷つき易い子はいないからね」

あざ笑う卓、いつもと同じだ、また女の子で遊ぶ。

そう思っていた卓だが・・・。


今回はそうも行かなかった・・・・。



屋上にまだいる一同、だが、雰囲気は最悪だった。

うみが黙り込んで、あゆむも怒った顔をして、

やしゃは少しは気力を戻したようだが、まだ完全ではない。

そして気まずさに飲み込まれている亜鹿と純、


「・・・どうしたお前ら?」


やっと晶が弁当を食べ終わり聞く。

だが、誰も反応しない。


「・・・・よし、さっきの眼鏡野郎をボコボコにして吐かせるか」


立ち上がる晶を必死に止める純と亜鹿、

そんな光景を見て、うみが言った。

「な、なんでもないよ、気にしないで」

「・・・・・」

「・・・・・」

元気のない笑いをするうみ、案の定、やしゃとあゆむは辛い顔をした。

「・・・そうか」

晶は気付いた、この話は、うみの前では話せないということを。


 帰り道

「おいあゆむ」

「はい?」

晶が走って前にいたあゆむに追いつく。

「聞いても良いか?」

「・・・あまり話したくはありませんが、話すべきだと思うので、いいですよ」

 眼鏡を指で上げるあゆむは、歩きながら話した。


「・・・あの生徒会副会長、城東には、書記が付いているんです、藍同卓、この藍同が最悪な奴なんですよ、容姿端麗なのをいいことに、周りの目をつけた女性を遊びに使うんです、甘い顔をして近づき、自分が遊びたいだけ利用すれば、すぐに捨てる、そして、うみも目を付けられたんですよ」

「・・・・・」

「うみもまた藍同の罠に掛かり、遊ばれ、捨てられた」

「・・・・・」

「・・・残念ながら、まだ報復はできていない、なぜなら、うみは今だあの藍同を好きでいるから・・・」

「・・・・そうか」

晶は物静かに返事をする。

「・・・晶さん、藍同に手を出すのは危険です、あいつは女性であれば先生にまで手を出す、この学校にいる女性の先生は全員彼の味方と考えた方が良いです、更に言うなら、あいつは女子生徒を巧みに操りこっちの弱みを握ることだって」


「・・・そんな事はどうだって良い」


「・・・晶さん?」


「その藍同とかいうやつは男として最低の行為を犯した、あいつに関わればどうなるだのそんな事を気にする前に、男として、そんな奴をオレは、無視するつもりはない」


「ですが、うみの気持ちだって考えれば」


「・・・誰かがそいつを止めなきゃ、うみを含めて、何人もの女の涙が流れ続ける事になる」


「・・・・・」


「女泣かせる奴は、どんなにカッコよくてもな、最低な男だよ」



久しぶりに、晶の表情が鬼も逃げ出すような恐ろしい顔をしていた。



  職員室

「伊藤せんせい♪」

「・・・藍同くん・・・だっけ?」

伊藤に笑顔で近づく藍同、

「せんせい〜、この問題がよくわからないんですよ〜」

「え?どれ?」

古典の問題集を差し出して聞く藍同、

伊藤は丁寧に教える。

「へぇ〜、やっと理解できました〜」

「そう、それはよかったわ」

「・・・せんせい、今度先生の家に行って授業受けて良いですか?」

「え?」

「だってせんせいの教え方丁寧でわかりやすいですから、では、今週の日曜日に!」

「え?ちょと」

藍同は伊藤の返事も聞かず職員室を出る、

だが伊藤は別に良いかと思った、

だが、これが藍同の手口だった。


 しかし、藍同はこの後、恐ろしい仕打ちがあるなどとは思ってもいなかった。



 昼食時間

この時間は、藍同は多くの女子を連れて校庭で女子が作った弁当を食べる。

「卓くん!この玉子焼き食べて!」

「卓く〜ん、こっちのおにぎりも食べてよ!」

10人近くの女子が藍同を囲んでいる、

そんなハーレム状態の藍同、

そこへ、内気そうな女子生徒が寄ってきた。

≪・・・ん?・・あぁ、前から好きだとか言ってたあの子か≫

長髪の少女は手に弁当を持ってハーレムの中に入った。

「あ、あの、卓くん、このお弁当食べてくれるかな?」

≪あぁ〜、こういう子たくさんいるんだよな〜、めんどくさいし、捨てるか≫


「いらない」


藍同は何の躊躇もなく言った。

お弁当を持っていた少女はショックを受けたように、固まる。

「え、でも・・・折角だし、食べて・・・欲しいんだけど」

「いらない、それ捨てて」

「え?」

「君も、名前知らないし、誰?今度から話しかけないでね」

笑顔ではっきり言う藍同、

「でも、でも」

「あんたしつこいよ〜、卓くんは要らないって言ってるんだから捨ててきなよ」

女子達まで文句を言ってきた。

女子生徒は体を震わせながら、弁当を落とした。

そのまま走り去ろうとした時、


晶がその女子生徒の後ろに立っていた。


「・・・・なに?誰君?」


「・・・・お前に言っても無駄だ、教える気はない」


晶は、冷たい表情で言った。


晶の怒り爆発。

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