勝負七「反省室」
伊藤先生に呼び出しをされた次の日。
学校ではある話題で持ち切りだった。
「ねぇ、反省室が復活したって、本当?」
「そうらしいよ、昨日も学校でタバコを吸っていた生徒全員が反省室に連れて行かれたんだって」
「えぇ〜、それ何十人もいるから対処しきれないでしょ?」
「それがぁ、その先生、メッチャ厳しくて、今のところ何人か改心させたみたいだよ?」
「うそ〜」
女子の馬鹿でかい声での会話を聞いて晶は噂の内容を知った。
「ほ〜、まじめな先公もいるじゃねぇか」
昼休みのチャイムが鳴る。
「晶く〜ん、屋上いこ〜」
「あぁ、亜鹿、今行く」
屋上
「ねぇうみちゃん知ってる?反省室の復活の話」
「うん、だってもうやしゃが反省室に行ったもん、ね?」
「・・・・ぉぅ」
明らかに元気のない様子のやしゃ。
「今朝丁度STの時ケンカをして反省室に連れて行かれて、帰ってきたらこうなってました」
手短に説明するあゆむ。
「あのやしゃさんが・・・すごいですね、反省室」
純が体を震わしながら言った。
「まぁこれで少しでも不良が減ればいいだろ」
「えぇ〜、兄貴は反省室賛成派なの〜?」
「なんだそれは?」
晶がうみの言った言葉に首をかしげた。
「今この学校では、反省室賛成派と反対派に分かれているんです」
純が細かく説明してくれる。
「賛成派は主に気の弱い先生からいじめられる生徒がいて、反対派は専ら不良グループです」
「不良の話なんざ無視しろ」
「そうもいかないんですよ、なんせ生徒会が圧力をかけてますから」
「は?なぜ生徒会が入ってくる?」
「なんでも生徒の自由が守られてないとかなんとかで」
「へっ、いじめるのが自由かよ、たいそう勝手な生徒会だぜ」
「言ってくれるねぇ君」
ふと誰かが、屋上の入り口から声をかけてきた。
「・・・誰?」
晶が怪訝な顔で言う、だが、晶以外のメンバーは、硬直していた。
「生徒会副会長、城東幸介だ」
眼鏡をかけたそのインテリ系の男はそう言って眼鏡を中指で上げる。
「・・・生徒会副会長?・・・ふ〜ん」
物凄く薄い反応の晶、だが、その晶に震える手が掴んできた。
「ああああああきらくん、そそそそんなこといいいいったら」
「大丈夫か?おいそこの副会長とか言う眼鏡、亜鹿が怯えているから出てってくれ」
空気を読まず爆弾発言をする晶、
幸介はそれに少しイラついたのか睨んでくる。
「な、やる気かかのやろう!」
うみが前に出て拳を突き出す。
「これ以上近づいたらぶっ殺す!」
「邪魔しないでね、虹橋さん」
冷酷な声で幸介はうみに笑いかける、
だが、その表情はどす黒かった。
「また、いやな目に遭いたいの?」
幸介が言葉を発する度に、うみの様子がおかしくなる、
震えだす体、かなりの恐怖心があるようだ。
「おい、それ以上うみを怖がらすのは止めてもらいたい」
あゆむがうみの肩を抱いて後ろに下がらせる、
だが、あゆむが前に出た瞬間、幸介はいきなり殴りかかってきた。
「!!!」
「てめぇ、やってくれるじゃねぇか」
幸介の拳を、晶が掴んでいた。
あゆむは何とか無傷だったが、晶が止めていてくれなかったら顔面に入っていただろう。
「・・・面白い、ここで一勝負しませんか?」
「帰れ」
幸介の提案に、晶は間髪をいれずに答えた。
すると幸介は次の瞬間晶の右頬を殴った。
「ぐっ!」
「あなたに決定権などありませんよ」
幸介がそう言って次の攻撃に入ろうとしたときだった。
「止めなさい!」
伊藤先生だった。
「・・・先生ですか、今丁度不良の生徒に僕絡まれていまして」
幸介が平然と嘘をつく、だが、伊藤は幸介の前に立って言った。
「あなた生徒会の子ね?恥ずかしくないの?嘘ついて」
「・・・はい?」
面食らう幸介、純達も面食らっていたが、晶だけは笑っていた。
「なんですか先生?勘違いしていませんか?」
「してないわよ、ずっと見てたから、あなたが先に殴って行ったところと晶君を殴った所」
「・・・チッ」
舌打ちをする幸介、だが伊藤には聞こえないようにしている。
「幸介君だったわね、反省室に来なさい」
伊藤が幸介を反省室に連れて行く、
唖然としている純達だったが、晶は平然と弁当をまた食べ始める。
「み、見えてたんだね、伊藤先生が」
「まぁな、あの眼鏡にはこういった処置が一番だろ」
そう言って晶は笑った。
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