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IZIME  作者: ATURA
3/13

勝負二「制裁」

泣きそうになる亜鹿にまだ恐喝をしている集団の方へ進む晶、

すぐに女子の一人が晶に気づいた。

「どけ」

あっさり言う晶。

5人の女子が振り向く、

「あ?何?あんた」

「つーか誰」

無視して亜鹿に近づく、

「俺の席ってどこです?」

「え?・・・あ、あの窓際」

「ありがと」

そのまま席へ行こうとする。

「ちょっと待てよ」

あの髪の長い名森が案の定話しかけてきた。

「何だよおまえ、偉そうに」

「そうよ!この学級では名森さんがトップなんだから!」

「黙れ」

淡々と喋る晶、

「・・・こいつバカだろ、おい、てめぇ」

顔を怖くして言い寄る名森、

そして晶は言った。

「黙れって聞こえなかったか?最低のトップさんよお」

名森が更に険しい顔つきになった。

「おい、男子、気に入らないからやって」

それだけ言って亜鹿の方へ行く。

そして後ろのほうにいた男子がこっちに寄ってきた。

だが晶は男子のほうには見向きもしないで、

また亜鹿にいじめを続行しようとする名森を睨んだ。


「・・・はっ、とんだブスがいたもんだ」


わざと聞こえるように言う晶、

名森が晶を睨む、

「なにやってるの男子!さっさとボコせよ!」

一人の男子が晶の肩を掴んだ。

「お前いい加減にしろよ」

金髪に染めてタバコをくわえている。

「お前臭い、近寄るな」

晶はその手を払いのけた。

「なんだこいつ、殺す」

確実に怒っているそいつを晶は今だ無視する。

とうとう襟首を掴んで席から立たせる。

「てめぇ!」

「タバコくせえって言ってるだろ」

そう言って相手のタバコを掴みそいつの手に火を押し付けた。

「あっつ!!」

手を離す相手。

「てめぇ!」

「なんだよ?お前が喋ってタバコ手に落としたんだろ?」

「はぁ!?」

「俺は知らん、何もしてねえ」

いよいよ不良どもが殺気立ってきた。

だが落ち着いている晶。

一人が殴りかかってきた、しかし、


「おい!なにやってるお前ら!」

教師が入ってきた。

「授業を始める、席に着け!」

さすがに席に着く不良、晶は軽く笑ってやった。


授業はまぁそれなりだった。

数学で教科書もノートもあるが、大体は家の家庭教師が教えているのでわからないことはない。

それより周りの状況を見た。

真剣に授業を受けるものがいる、元雪城生だろう。

変わって不真面目なのは白河生、なんとも簡単に見分けれるほどの差だ。

そしてもう一つ、純が気になる。

同じクラスだと思われるが、どうも見当たらない。

空いた席は3つ、休んでいる可能性が高かった。

とりあえず授業は進む、

後ろが雑談でうるさかったが、

「なぁ、次の放課、あいつシメようぜ」

「だな、うぜぇよあいつ」

「なぁ、ジュンも一緒にボコそうぜ」

「あぁ、金持ってこさせてな」

バカのお陰でヒソヒソ話がはっきり聞こえる。


「場所は屋上で」


屋上か・・・

晶は不適に笑った。


授業が終わって15分の休憩、

先生が去ってからすぐ不良が言い寄ってきた。

「こいよ」

「行ってやるよ」

晶の反応が気に食わないのか、舌打ちをした。

その間にどうも他のクラスからも応援を呼んでいるようだ。

屋上へ上がる前に10人を超えた。

さらに屋上に入ればもう10人ほど不良がいた。

「なんだ〜?」

「新しいカモか?」

「今日は3人だぜ」

そう言えばジュンも呼ぶとか言ってたな、

そう思い出していた晶の目に、思った通り、佐東純が連れてこられていた。

更に亜鹿まで、

よく見れば野次馬なのか名森たちがいる。

屋上の中央に立たされる晶と純と亜鹿、

「やっぱいじめられてたか」

「あ、晶君でしたっけ?そう言うあなたも危ないでしょ?」

「ごまんなさいごめんなさい、わわわわ、私のせいで」

亜鹿はさっきから晶に謝っている。

とりあえず晶は相手の人数を見る。

20人、丁度いい、

「お前ら、下がってろ」

「え?」

「はい?」

授業まで10分ほど、間に合うな。

晶は笑いながら不良たちを睨む。


「かかってこいよ」


あのタバコの金髪が殴りかかってきた。

完璧に見切れる。

そのまま足を振り上げ金髪の顎を蹴り上げた。

タバコが飛ぶ。

金髪ものけぞり吹っ飛んだ。

続けて何人も来る。

どうって事はない、確実に拳で殴っていった。

手の抜き方はいまいち知らない、

一発で気絶する奴もいる。

とりあえず、時間内に不良は全員倒れた。

野次馬の名森が恐怖の顔をこちらに向ける。


「大丈夫か?」

後ろにいた純と亜鹿が呆然と立っている。

だが確実に晶を怖がっている。

ま、無理もないか。

裕は一切暴力に頼らず守っていた。

だが、俺はそう上手くいかない。

「授業おくれっぞ」

それだけ言って屋上を出ようとする。

名森達が何か叫んで走っていった。

それ程怖かったか。

兄ほどの脚光は浴びたくないと思ったが、

同じもので注目されそうだ。

晶はなにか空しい気持ちになって出て行こうとした。


「ま・・・ま、まって」


純の声が聞こえた。

振り返ると、

「・・・・くださいませ」

体が震えている。

よほどビビっているのか、敬語までつけて。


「あ、あありがとうございますでした・・・??」

うん、まぁ、気持ちは伝わったよ。

少し笑って、晶は言った。

「敬語はよせって」



「し、死んでませんよね?」

「殺さないよ俺は」

「つ、強いんですね」

階段を下りながら3人で話す。

2人とも警戒の糸は解いてくれたのか気楽に話してくれる。


教室へ戻る、

クラスの男子半数がいないのに教師はなんとも思わないようだ。

多分いつもサボっているから気にしなかったのだろう。

まさか屋上で他のクラスの奴らと気絶しているとは欠片も思っていないだろう。

かくして学校初日は終わった。


「一緒に帰るか」

晶は亜鹿に言う。

快く亜鹿は同意した。

廊下を通る時も純を見つけて誘う。

晶がそうしたのはあることを聞くためだった。


「い、今までいじめてきた人・・ですか?」

晶の質問はいじめる奴の名前だった。

「き、聞いてどうするんです?」

亜鹿も困った様子で聞く。

「もういじめるなと釘を刺すに決まってんだろ」

「・・・それって、殴るとかの?」

「まぁな」

「いいですよ!そんなことしなくて!」

「なに言ってんだよ、散々殴られてきたんだろ、やりかえさねえと」

「ダメです!」

2人して反対する、晶は少しイライラしてきた、

「お前らそんなんだからダメなんだろうが!殴られても何されてもやりかえさねえならずっとそのままだろ!」

叫んだ晶にまた二人は怯え始めた。

「・・・いいから、さっさといじめてきた奴を」


「晶君は、友達だから」


亜鹿がそう言った。

晶は怪訝な顔をする。

「晶君は、友達だから、そんな事しなくていいよ」

亜鹿は涙目になってそう言った。

「そうですよ、晶君、だから、いいんです」

「・・・ったく、とんだお人好しだなお前ら」

こんなにいい奴が、いつもいじめに遭うんだな、

そう思った晶はその不条理に納得できないが、

機嫌の治まった晶をみて、屈託のない笑顔の二人に、

いつの間にか心は和んだ。


だが、翌朝、学校に来て驚愕した。



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