師匠2
「二人とも、ここからはマジな話し、重さのステータスが消えたら、もうログインはするな。ゲーム自体はこれまでのスピリットクラスタと変わらない。しかし、ステータスを現実世界に持ち帰るとか、明らかにおかしい」
(珍しい…師匠がマトモな事を話している…)
「たしかにそうだよね…体重は減れば嬉しいけど、ちょっと怖い…」
「師匠は黒い猫に会いましたか?」
「クロノシンの事か?」
(また、勝手な名前付けて…)
「ああ、会ったよ。ログアウトした瞬間に未来が置きかわり、過去から現在に至るまで、都合良く改変されると説明を受けた」
「私には難しくてサッパリです」
「今日、クラスのやつに僕について聞いてみたんです。身長+10を取ったので、気づくはずだと思って…だけどそいつは、変化に気付きませんでした。あとほら……、制服のサイズがぴったりなんです」
光輝はその場に立って、袖やら裾やらを二人に披露する。
「まさか、大きめのサイズを買ったとかってオチじゃないよね?」
「こうちゃんは、昨日ログアウトして身長伸びたよ。私より大きくなったし!」
「りょう!そこは、光輝のことは私が一番わかるの!って言うところじゃないか?」
「ししょおおおおおお」
師匠の冷やかしに、涼子が赤くなって暴れている。
「コンコン、お母さん帰りましたよー」
師匠の部屋をノックして、師匠と同じ金髪碧眼の女性が入ってきた。
「あら、こうちゃんとりょうちゃんじゃない!久しぶりね」
「おばさん!お邪魔してます」
「お、お邪魔してます!」
師匠の部屋に乱入してきた女性は師匠のお母さんだ。ドレスを着れば洋風の城とかで、女王が似合いそうな美貌と風格を持っている。
「マミーよ、今大事な話をしているから…」
師匠は声のトーンを落としつつも、師匠のママに早く出て行けと言わんばかり。
「あらやだ、里実!部屋片付けなさい!もー、ごめんなさいねー」
師匠の名前は里実という。
「もー、お母さん!お願いだから、でてってよー!!」
師匠は椅子から立ち上がって、師匠ママとぐいぐい押し合い、親子相撲している。
「おいしい紅茶があるのよ。ちょっとまってて!」
師匠ママは、渋々部屋を出て行った。
「お、おばさんも元気そうね…」
「……」
師匠ママの乱入で話がまとまらなかったが、その後、頻繁にお互い連絡をとる事を約束して、その日は別れた。