少年の学校生活
「こう先生、今日は早いね」
朝から話かけてきた冴島は光輝のクラスメイトだ。僕と同じで取り立てて顔が良いわけでもなく、スポーツができるわけでもなく、まあ良く気が付くいいやつだ。
冴島がなぜ僕を先生呼ばわりするかについては謎だ。
「おまえもな」
「俺はいつも早いよ。こう先生はギリギリに来るから知らないだろうけど」
(はいはい。そうですか……そういえば…)
「あのさ、冴島…最近背が伸びた気がするんだが、どうだろう?」
「ん?気のせいじゃないか?」
(冴島は変化に気づいていない。りょうから又聞きした黒い猫の話では、未来を変えると過去が改竄されるっていう話だったけど。過去が変わったから、元々の身長が10センチプラスされた?それとも、身長が10センチくらいじゃ気づかないのだろうか?……あれ?今気づいたけど、僕の学校の制服…サイズぴったりだ)
「そっか、じゃあ気のせいかもな」
「なんだそれ」
冴島は苦笑いしながら、自分の席に戻って行った。
「あ、メッセージ来てた」
光輝のモバイル端末に涼子からのメッセージが届いていた。朝の6時に届いている。だいぶ早い時間だ。
りょう:どうしよう、こうちゃん。これじゃあ学校に行けないよ。
(まさか、りょうも夢からログインした?)
こう:どうした?まさかステータス取ったの?
光輝は使い慣れたモバイル端末から涼子へメッセージをすぐに送信し、涼子の返信は1秒も経たずに返ってきた。
りょう:初めの街で女の子から受けるクエストやったら、重さ+10になった。
(同じクエストを受けたのか…僕は平均体重をかなり下回ってたから、逆に「太れ」と言われるくらいだけど、……女の子は辛いのだろうか?)
こう:ああ、それね。僕も取ったよ。
りょう:こうちゃんはいいけど、私は無理だよ。うわああああん。今日は学校休んで、重さー10を探す。
こう:それってまた、重さ+10取る可能性もあるんじゃないのかな?
りょう:うわああああん、どうしよう。
こう:僕が探すから、見つかるまで待ってて。
りょう:わかった。ありがとう。
昨日、スピリットクラスタのアップデートは今日の昼までと掲示されていた。光輝は学校からはログインできないので、下校してから重さ+10を消す方法を探そうと決めた。
しかし、お昼休みになって涼子から受け取ったメッセージから、すぐにその予定は変更となった。
りょう:こうちゃんスピリットクラスタのサイト見て!
光輝は嫌な予感がしながらも、スピリットクラスタのサイトを表示すると、サービス開始の無期限延期とベータテストの中止がデカデカと掲示されていた。
「へ?」
ありがとうございます。もう少し現実世界の話が続きます。