猫からの依頼 - 2
<アナウンス>
アテンションプリーズ。本日はXXXエアラインにご利用頂き誠にありがとうございます。ロサンゼルスまでの到着時間は2時間後となっております…
「こう、プリンないか見てきて」
「なんで猫がファーストクラス座ってんのよ…」
「黒ノ信、プリンはないぞ」
「はい、はい、はーい。わたし昔のドラマのCA役やりたい!フィッシュおあビーフ?ってやつ。あはは」
現在、高速旅客サービスは完全自動化され、パイロットもCAも配備されていない。黒い猫は、光輝、涼子、里実と猫1匹のチケットと搭乗手続き全てをモバイル端末をタッチ1発で一瞬ですませる凄技を見せるとドヤ顔した。それを見た涼子が「クロちゃんすごーい」とわしゃわしゃ撫で回されゲンナリしていたが…、電子データの改竄が得意らしい。
なぜ、ロサンゼルス行きの旅客機を貸切にしているかというと、この神を名乗る黒い猫の仕業らしい。
「しかし、クロちゃんはすごいねー。お金持ちなの?」
「遠方の戦争を武器売買顧問してる奴がいてね。そこから振り込ませたよ」
「うぅ…、凄すぎてよくわかんないけど、聞かなかった事にするね」
初めてのロサンゼルスに上がっていた涼子さんのテンションは、一気に下がって行きました。
「盗賊ギルドで見せてもらった映像から、敵は手慣れた手際と、装備も違法性の高い重火器が写っていた。敵の本拠地に乗り込んで、この3人と1匹で勝てるのか?」
「あ、そうだその説明しなくちゃ」
「おいおいおい、そこ大事なとこだよ」
「問題はないよ。まず、君たちの相棒を紹介するよ」
黒い猫はファーストクラスの座席備え付けの端末を操作した。操作したと言っても、必殺の肉球タッチ1発だ。
ギュイーンと機械式の起動音が発生し、座席の後方から3つの四角い塊が車輪で連結されて運ばれてきた。大きなスーツケースくらいの大きさがあり、つや消しの黒色のために禍々(まがまが)しい印象にやな予感がした。
「これが光輝ね、それでこっちが涼子で、これが里実」
黒い猫に言われるままに黒い箱を展開すると、機械仕掛けの人形が、胎児のように膝を丸めて収納されていた。
「どうだい?美しいでしょう?天界から降り立った天使をイメージして作ったんだ」
駆動する関節には機械式のギアがいくつも張り合わさっているが、肌にあたるボディーは透き通るような白で統一されている。
「こんな精密に駆動する関節をもったアンドロイドを作ったのか?黒ノ信?」
「正直、ハードは専門外なんだ。優秀な友達がいて、特注で3体作ってもらったんだ」
「すごーい。かわいいー。服着せていい?」
「そういう人形じゃないと思うよ…」
涼子さんははしゃいで自分のアンドロイドを抱きかかえてダンスしだした。
「微妙に3体ともサイズが違う」
ししょうに言われてよく見ると、涼子さんの胸部とししょうの胸部に差異を感じる。
「ちょっとどこ見てんの?こーちゃん!」
「いやいや、そういう事ではなく」
「もちろん君たちの体型に合わせているよ。実際の体と違うと動かしづらいからね」
「「ん?」」
「もしかして?」
「動かす?」
「だから、神が作った3体の天使を地上に降下させるって展開だよ?」
「いや、そこロールプレイ必要?」
「ミカエル、ラファエル、ガブリエルだよ?」
「いや、恥ずかしいよ」
「いいんじゃないかな」
「「えー」」
その後、3体のアンドロイドの名前は、涼子さんの命名で「ミカちゃん(こう機体)」「ラファちゃん(ししょう機体)」「ガブちゃん(りょう機体)」で落ち着いた。
<アナウンス>
これより着陸体制に入ります。お席をお立ちのお客様は…
「あ、しまった。名前決めるだけで時間なくなちゃったね。使い方は実地で良いかな」
「おい」




