昼休み
「何それずるーい。二人だけー」
ーー今日は暖かいので、外で食べようーーという涼子の提案で、昼食は学校の中庭で食べることになった。一つのベンチの真ん中に涼子が座り、両端に光輝と二人の師匠の里実が座る。
光輝は購買で買った焼きそばパンとサンドイッチにコヒー牛乳、涼子は自分で作った?お弁当。里実はカロリーなメイトっぽい何かをかじっている。
光輝と涼子が共に通う学校は、二人の住む住宅街から近くにあり、歩いて通っている。里実は少し遠いので、バス通学をしている。
「お頭ちゃんって言う盗賊ギルドのマスターが可愛いのよ」
「ずるーい。見てみたい!」
二人も今日知って驚いたが、里実は二人の学校に通う一学年上の先輩だった。
引きこもりのため、久々に学校に登校した彼女にびっくりした同級生も多かった。
「それで、りょうは重さのステータス外せたの?」
「外しました!大変でしたよー」
里実の問いかけに涼子は苦労の跡をにじませる。あまり寝ていないようだ。
涼子も光輝と同じように始まりの街のクエストで重さ+10を取得した。体重が増えた事が、学校を休むほどショックだったらしい。重さのステータスが外れたので、今は晴れて学校に登校している。
「それで、代わりに何のステータスを取ったの?」
「腕力+3と脚力+2」
光輝は涼子が取得したステータスを聞いて唖然とした。
「へー、ちょっと光輝を殴ってみようか」
「いやいやいや…」
里実は光輝をニヤリと見ながら言うと、光輝が両腕をバタバタして全力で嫌がっている。
ただでさえ元プロレスラーの父の遺伝子を持っているのに、さらに凶悪なステータスを手に入れてしまった事になる。物凄く危険だ。
「そんなに嫌がらなくてもいいでしょー!」
涼子がほっぺたを膨らませて光輝を見つめるが、光輝は顔から落ちる冷や汗を隠せない。蛇に睨まれた蛙状態だ。
「まあ今度でいいや。ステータスをおさらいしよう」
こう
・重さ+10
・幸運+1
・魅力+5
りょう
・バスト+5
・腕力+3
・脚力+2
ししょう
・賢さ+2
・賢さ+3
・賢さ+1
こうは司祭ラギを倒して(実際倒したのは師匠だが…)魅力+5を手に入れた。手に入れたステータスは全部で4つとなり、一番初めに手に入れた「身長+10」を消す事にした。
里実は、取得した魅力ステータスをそのまま捨てた。
「りょうの重さステータスが消えた事だし、二人はもうログインするな」
「嫌です」
涼子も里実が心配してログインしないように勧めているのは分かっていたが、どうしても外せない事がある。
「私も盗賊ギルド入りたい!」
「おいおい」
涼子は昔から、光輝と同じでなければならない病を発症している。光輝が盗賊ギルドならば、入らなければならない。お弁当だって実は同じものを食べたいのだ。
「あれ、入るの大変だったよ」
里実は司祭ラギを倒した後、お頭に延々頼み込んでようやく盗賊ギルドメンバーに加入した。
「衛兵に追われるだけだし、いい事ないと思うけど…」
光輝はもちろん、涼子が盗賊ギルドにこだわっている理由が理解できない。
「まあ…あんまり無理するなよー」
「はい!」
里実は二人のやりとりに胸焼けしながら警戒するように言うと、涼子は満面の笑みで明るく答えた。
「師匠は賢者に会いに行くのですか?」
「うむ。昨日ログアウトした盗賊のアジトから近いし、行ってみるよ」
スピリットクラスタには3人の賢者が存在する。その内の一人が、ストーリーの背景などを付加する役割を持つ「地の賢者」だ。
始まりの街からほど近い、森の奥に住んでいる。
「じゃあ、僕たち二人はフレンド登録機能のクエスト受けに行ってます」
「りょうかい!」
「無理するなよー」
話が終わると丁度チャイムが鳴って、それぞれのクラスに戻ることにした。




