表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/28

港町の先客

「はあ…、ほんとに帰りたい」

 ここは盗賊ギルドがある村から南に少し下ったところにある、ミューという港町だ。

 こうは両脇の屈強な衛兵によって、この港町の牢獄に輸送中である。

 同じ盗賊ギルドのジットと、この港町にある貴族の別荘に進入し、開始早々に衛兵に捕まった。

 ジットは上手く逃げたが、こうには衛兵を振り切る能力はなかった。


「あれ?こうも捕まったのか」

「師匠!」

 こうが放り込まれた牢獄には1名の先客があり、その人物は師匠だった。

「死んでるじゃん、何やったの?」

「師匠聞いて下さいよー」

 こうは死亡状態なので、会話は出来るが身動きが出来ない。そのため、今は牢獄内の床石でうつ伏せの状態のまま話している。


ーーーー

「それで盗賊ギルド入ったの?こうは相変わらず人がいいなぁ…」

 こうは師匠にこれまでの経緯を説明した後、死亡状態の復帰時間である5分が経過して起き上がった。

「師匠は何をやらかしたんですか?」

 師匠は牢獄内に1つだけある簡素な木の椅子に座っている。こうはサービスオープンして数日なのに、見た事もないレアな装備を身に纏う師匠に少し引いた。

「ものすごく可愛い少女がいてな。つい抱きしめてしまった…」

「NPCへのハラスメントですか…」

 ゲーム内のキャラクターに対して、如何わしい事をするとハラスメント行為とみなされ、こうの「権限のないエリアへの侵入」と同様に処罰される。


「師匠、変な事に気づいたんですけど…」

「なんだ?」

「このバージョンアップされたスピリットクラスタのNPCおかしいと思いませんか?」

 こうはゲーム内で起こった連日の出来事をゆっくり思い出しながら、師匠に問いかけた。

「それ!AIが高度する過ぎるというか、ちゃんと一人一人に意思があるように見える」

 師匠は少しだけ興奮気味に、椅子から立ち上がった。

「今回捕まったのも、実はその実験をしていたのだ!」

「ホントですか?怪しいなあ…」

(師匠の小さい女の子好きは、相変わらずだなあ…)

「真面目な話もしかしたら、AIじゃないのかもしれない…」

「え?AIじゃないなら、なんなのですか?」

「わからない…」

(師匠でもわからない事あるんだな…)


「んー。例えば、このゲームの運営っとか、ゲームマスターに連絡できれば…教えて貰えたかもしれないですよね。会社潰れたから連絡取れないでしょうけど…」

「それだ!」

 師匠は「よくやった」と言いながら、こうの頭を撫で回す。


「そうだよ。いるじゃないか!このゲームには全てを知る賢者が!」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ