盗賊のアジト
こうは司祭のラギと別れた後、スライム高所狩りを1時間くらい行い、何とかレベル5まで上がった。
フレンド登録とプレイヤーサーチのクエストを受けるには、始まりの街から北に2時間くらい歩いた先の王都にある。
(クエスト受注は明日にしようかな。街に戻って宿屋でログアウトしよう)
「あ、出会ってしまった…」
こうは始まりの街への帰り道で、傷だらけの盗賊に出会ってしまった。
「おう、兄ちゃん」
見るからに盗賊風の装備で、それ以外の特徴としては…、おじさんだ。
「薬草持ってねえか?切らしちまってよう」
(ちょうど手持ちに1個あるけど、まあ、安いしあげてみるかな。薬草で見逃してくれるなら…、今日はもうログアウトしたいし)
「どうぞ…」
「わりいな。兄ちゃんありがとうなー」
盗賊は陽気に大声で言うと、自分に使った。
「いけすかねえ、司祭が現れやがってよお。ちくしょうめ、ちょっと油断しちまったぜ」
(司祭…ラギさんと戦闘したのかな?)
「俺の名前はジットだ」
「どうも、こうです」
「近くに俺たちの村があるんだが、来るか?」
ジットと名乗った盗賊は、こうの体格をジロジロ見ながら、「まあ合格かな」と呟くと続けて自分の村に来いと言った。
(もうログアウトしたいのに…でも、近いって言ってるし…)
ジットに連れられて、森の中を進むと小さな村が見えてきた。
「着いたぞ、あそこの村だ」
そのまま簡単に村に入ることができた。
村の入り口に門番などは見当たらないし、村人はお年寄りから、子供まで普通の村人に見える。
(なんか、盗賊のアジトっぽくないな…でも村人の目が鋭い気がする。気のせいかな…)
「おい、ジットなんだそのヨソ者は?」
こうが声に反応して後ろを振り返ると、14歳くらいの黒い皮装備の少女が腕組みをして立っていた。
(うわ、どっから出てきたの?)
「お頭、新しい構成員をスカウトしてきました!」
「え?お頭?構成員?」
同様しているこうの腕をジットが掴み、逃げないように確保している。
「ほう、我が盗賊ギルドに入りたいと?いいだろう。ギルドメンバーとして認めよう」
「えええええええ」