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戦火の学園

剣士養成学校では黄色い声が色めきだっていた。東の四天王と呼ばれる四人の生徒を先頭に一軍の選抜団が校門に集合しているためだ。

今日は遠征の日。そのためか大型バスが一台控えている。西都(西京大都市を略して)の羽柴道場まで二泊三日の遠征。

一軍の面々の中には羽柴 龍魔の姿があり、一年生で唯一選ばれている。

タケルも優奈を送り出すため、翡翠と共に集団とは少し離れた場所に立っていた。

また二年生では葉山 里奈、米屋 英心、轟 凌駕、岩田 剛刃の四人が選ばれていて、この四人は揃うだけで迫力を感じる。来年の東の四天王と目されているのも頷けるほどだ。

「それでは支部長、行って参ります。」

生徒代表でもある凌剣が制服の胸に付いてある剣士養成学校東支部の校紋に手を当てる。

「ああ、気を付けて行くように。では柊先生、よろしくお願いします。」

奈々の視線の先には博識な青年。タケルにも見覚えのある顔だった。その表情の変化に敏感にも気付いた翡翠はコソッと耳元で囁く。

「あの人、入学試験の日にステージに立った人だよ。」

「あ、そっか。試験の説明してた人だ。」

翡翠によると彼は東都(東京大都市の略)で最も多くの門下生を抱えている大規模な流派である柊家の次男らしい。まだ二十代前半の若々しい青年は九条 奈々も一目置くほどの人材で、東支部の問題の一つである教師の実力低下を抑える働きも期待されているのだそうだ。

二人がそんなことを話しているうちに一軍の精鋭たちはバスに乗り込み、エンジン音を響かせて、無事に出発した。

多くのファンが手を振り、送り出すその光景を見ながらタケルは内心の心境を吐露していた。

「今日の一軍の遠征は中止になるんじゃないかって思ってた。」

「どうして?」

「翡翠も知ってるでしょ?一昨日の騒ぎ。」

「ああ、緊急会議が開かれて、三時限目が教官なしの実習になったんだよね。」

「うん。」

「会議の内容、教官教えてくれなかったもんね。」

タケルは頷いたが、酷く複雑な表情を浮かべていた。幸運なことに翡翠には気付かれなかったようだが。

タケルは知っていた。一昨日何があったのか。奈々から直接呼ばれ、包み隠さず話をしてくれたのだ。「昨日に引き続き、特別指定犯罪者が捕まった。しかも今日は複数名らしい。」その言葉を聞いて、想像していたことが現実に起こり始めるのではないかと強く思った。

この学校が戦火に包まれる。

それだけは何としても避けたい事態だった。

「大丈夫?なんか顔色悪いみたいだけど。」

覗き込むような格好だったため、翡翠の顔がすぐ近くにあった。それに気付くのが遅れ、タケルは顔を真っ赤にして後方に退いた。

「だ、大丈夫!何でもないよ。」

「ふぅーん、そっか。というか、気付いたら時間やばかった。私たち二時限目入ってるから早くしないと間に合わないよ?」

「ああ、そうだね。急ごう。」

タケルと翡翠は二時限目が行われる山吹の武道場へと小走りで駆けていった。

不穏な風はもうそこまで迫っていることを知らないまま。剣士養成学校の日常はいつものように始まった。



山吹の武道場。もちろん山吹色の旗が風で揺らめき、流されている。いつもより色がくすんで見えるのは気のせいだろうか。

タケルと翡翠が屋内に足を踏み入れた時にはもうほぼクラスの全員が揃っていた。

いないのはついさっき遠征のメンバーとして西都に向かった龍魔くらいか。

「あれ?信春いないね。」

翡翠はいち早く友人である信春の姿が見えないことに気付いた。

「そうだね。いつもなら来てる時間なのに•••••」

タケルも周囲を見渡すが、確かにその姿は確認できない。

「寝坊かな。今日は朝の教室の集まりもなかったから、二時限目の前までゆっくり寝られるから。」

「信春に限って、寝坊はないと思うけど。でももしそうだったら面白いね。」

二人が信春の寝坊姿を想像していると、武道場に香織が姿を現した。

「それでは皆さん、始めましょうか。」

眠そうな顔でそう言って、二時限目の授業、一年肆組にとっては今日最初の授業が始まった。

香織は活気溢れる生徒たちの稽古風景をいつも通り観察していく。

頼りないと思われることの多い香織だが、剣術士としての能力も教官としての能力も平均より上だと自負している。特に観察眼はこの東支部の教師の誰よりも優れていると思っている。現にまだこの学校に入って一ヶ月も経っていないのにほんの少しだが、成長している生徒が何人もいるのに香織は気付けていた。些細な動きの鋭敏さが増すことは成長として気付くのは非常に困難である。

今もこうやって、生徒一人一人の動きの癖や弱点をメモしている。

その中で香織が一番気になっている生徒がいる。今に限ったことではなく、その生徒の稽古を初めて見た時からだ。凄まじい衝撃が電流のように身体を駆け巡った。

実力は他生徒と変わらなかった。しかし一度稽古を終え、二度目の稽古に入った時。彼は別人のような動きを見せたのだ。先程までの少年には絶対にあり得ないような剣術を見せてくれる少年。

何も言うことのない完成された動き、誰もが認める実力を持つ怪物、羽柴 龍魔。丁寧な動きの連続で動きにブレのない綺麗な剣術をする大河原 信春。羽柴 龍魔をライバル視して、この数週間でメキメキと実力を上げた丹波流剣術士の八尾 大紀。彼らのような飛び抜けた生徒たちとは違う魅力が彼にはあるのだ。日に日に観察することが楽しみになっていく。驚きを隠せない成長率。

今もその日々変化する動きに釘付けになっている自分に気付き、ハッとなり頭を切り替える。

タケルはその視線に全く気付かないまま、稽古に励んでいた。

相手は松吉という名の男子生徒。

タケルは彼の懐に一瞬のうちに入り込み、木刀を真上に突き上げる。わざと顎をかすめ、 平衡感覚を奪おうと考えたのだ。

相手はなんとか後方に飛び去り、真下から迫る突きを回避した。

タケルは次の動きに素早く移行する。そのまま相手に直進を開始。松吉は次の一撃を防ぐために木刀を構える。構えからして防いだ後のカウンターを狙っているのだろう。

タケルが迫る。

しかし相手の感覚は微妙なズレを感じ始めていた。

到達までに時間が掛かっている。疑問が湧き上がる。その感情は松宮に焦りを生んでしまう。

タケルは一歩の歩幅を変えて、直進のスピードを調整し、相手が感じていたズレを生じさせていた。頭を使った高度な技術。

優奈と稽古をしていた頃の感覚だけの剣術から大幅に進化した姿がそこにはあった。

そしてタケルの一撃で相手はダウン。

そのまま稽古は終わりを迎えた。

「皆さん、お疲れ様です!二時限目はこれで終わりにします。えっと、次は四時限目に紅の武道場です。間違えないようにして下さいね。」

香織が出せる最大の大声で生徒たちに聞かせる。その言葉を受け取った生徒たちも返すように大きな返事をする。教師と生徒の関係が上手く構築されてきたようだ。そう思い、香織は安堵した。


二時限目を終えて、残っていた数名の生徒たちが一息ついていた時にある異変が起こった。

ある放送が流れた。またも緊急招集について。一つ違うのは教師一人ずつに連絡するのではなく、放送でまとめて招集をかけたところだろう。それほど緊急を要する事案だと考えられる。

「何か最近物騒だね。」

「••••うん。」

タケルが翡翠の呟きに返事をしたその瞬間、武道場内にいても聞こえるほどの爆発音が耳に届いた。

間違いなく、剣士養成学校の敷地内で発生した爆発。爆弾や重火器は使用できないため、異能剣技としか考えられない。

突然のことで、生徒たちはパニックを起こしていた。右往左往と視線を急がせて、落ち着きのない表情を浮かべる者が多くいた。その中で大声を出して、統率を執る者もいる。

「お前ら、落ち着け。まずは状況を確認しよう。俺が様子を見に行ってくる。ここから絶対に出るなよ!」

八尾は武道場を出ないように念を押し、周りに注意しながら外に出ていった。

「大丈夫、かな。」

そんな中、二度目の爆発が起こった。先程よりも近距離だったため、多くの生徒たちが外の様子を確認した。

校門付近から黒い煙が舞い上がり、そしてそれよりも前方からも煙が上がっていた。

それを見るだけでも緊急事態であるのが理解できた。この武道場も安全とは言えない。 この場所に危険が及ぶ可能性があるのだとしたら、今すぐにでも避難を開始しなくてはならないだろう。

タケルの心の中は迷いで満たされていたが、最後は自分を信じることに決めた。

「皆、ここにいたらいずれ被害が及ぶかもしれない。いっそのこと、本館裏口から中に入って、地下シェルターに籠るのはどうかな?」

そこらじゅうで喧騒が開かれた。

タケルの提案に賛成の者もいれば、やはり反対の者もいた。

「地下に到着する前にあの爆発に巻き込まれるかもしれないだろ。」

「それはここにいても同じことだろ。」

「八尾はまだ戻って来ないのかよ。」

「一体何が起こってるのよ。」

口々に不安や焦りの感情を吐露する生徒たち。このままではマズいなとタケルが本気で考えていた時、武道場の入口から戻ってきた八尾の姿が見えた。

しかし戻ってくるなり何故だか顔を青くして、気分が優れないような顔をしていた。

「どうした?」

生徒の一人がそう聞いたが、八尾は大丈夫と答えるばかりで、それ以上のことは言わない。

「八尾、ヤバい状況なのかどうかぐらいはわかったか?」

「あ、ああ。校門付近はもう爆発で酷いことになってる。幸いにも剣警局の応援が到着してるから今はまだこっちの方面には被害はないみたいだ。」

「地下シェルターに逃げるっていう案があるんだが、お前はどう思う?」

乱れた息をなんとか整えて、八尾は言う。

「俺はそれでも良いと思うぞ。剣警局が抑えてても、それは外側の話だ。敷地内には数人のテロリストが入り込んでいるみたいだからな。」

その発言にその場にいる全員が凍りつくように押し黙った。悟ったというべきか。テロリストという言葉、入り込んだという言葉。最悪な想像を掻き立てるには十分だった。皆が示したのは同じ回答だった。


この場所にいては危ない。


校門から本館の前通りを抜ければ、すぐに道場区間。タケルたち一年肆組がいるこの場所に通じてしまう。

可能性として本館内部でしらみ潰しに探すより手っ取り早く大勢の学生を葬れるというわけだ。仮にその侵入者たちが人の命を奪うことを目的としているならば。

考えている時間はない。早急に行動を起こさなくてはならない。タケルは入口から顔を出して、安全を確認する。手招きをして、合図を送った。そうするとその合図を察したのか、肆組の生徒たちは次々と武道場を出ていく。数えればちょうど十人が残っていた。他はどうしただろうか。二時限目を終えて、早々と武道場を後にした他二十人ほどのクラスメイトは無事だろうか。タケルはその懸念を吹き飛ばし、目の前のことに心の視線を向けようと思った。

本館の裏手に向かうため、道沿いに植えられた木々の間を通り抜け、砂利の上をなるべく音を立てずに走り抜く。そして周囲に視線を忙しく巡らしながらようやく本館の裏手に到着した。その間に爆発音を二度聞いたが、足を止めることなく、無事に本館裏口の扉の前までやってきたのだ。

八尾を先頭にその扉を慎重に開ける。木の軋む音が今はやけにうるさく聞こえた。

木刀を構えて、臨戦態勢を取る。

扉の向こうには誰もいなかった。ふうと誰かが息を漏らし、周りの殺気立った空気が弛緩する。

その空間は一目見ただけで倉庫だとわかった。通常の教室と同程度の広さがある。

「ここ最近は誰も入ってないみたいだね。」

翡翠の声はそう大きくなかったが、反響してタケルの耳に届いた。

「うん、結構埃被ってるね。」

何に使うのかわからないロープや鉄の釘の束、錆びた斧や鎌、竹の箒などが置かれていた。通常であれば、本館に隣接している別館に置くはずの物が所狭しと並んでいた。

緊張感を煽るような物静かさに辟易しながらもタケルたちはなおも奥へと進んでいった。




奈々が支部長室で剣警局から連絡をもらった時にはもう校門近辺での爆発音を耳にしていた。タケルたちがまだ山吹の武道場にいる頃だ。

彼女はすぐさま愛刀を手にして、躊躇することなく、支部長室の窓から飛び降りた。三階の高さからの降下だが、傷一つないのは流石と言ったところか。

飛び降りた奈々の目の前には黒煙が立ち込めていた。風に流されて、本館まで煙が回ってしまったようだ。

奈々は手に持っていた自慢の太刀を鞘から抜いて、一閃した。

突風が前方に吹き荒れ、目の前の煙を霧散させた。

具現型異能剣技、風刃。

しかし煙が晴れた向こうから急に短刀が飛んできた。奈々は瞬時に鞘ではたき落とすと、数人の男の姿が視界に入ったが、顔は確認できなかった。

それぞれが黒いフードを深く被り、黒いマスクを着けている。


「貴様らは何者だ?」

奈々の問いに答える様子もなく、ゆっくりとだが歩を進める。

その無言を彼らの答えだと判断した。

「そうか、ならば私も貴様らを生かして捕らえるのはやめにしよう。」

奈々が鋭く刺すような視線を浴びせる。


何を合図にしたのか、黒ずくめの者たちは歩から走に移行した。目視では合計五人。全員がもちろん真剣を装備している。

稽古ではない殺し合いが始まった。

五人は慣れた動きで奈々を仕留めに掛かる。まるで連携に無駄がない。

異能剣技、刀身強化を瞬時に使用しているのも奈々には目に見えてわかった。異能の圧が刀身を包み込んでいる。それほど刀身を強化しているということである。

それでも全ての攻撃を受けきっている東支部の支部長。顔にも焦りの様子は見られない。

五人の侵入者の顔はやはり確認できないが、間違いなくこちらは焦りの表情を浮かべているだろう。

「どうした、こんなものか?」

奈々の呟きは五人の鼓膜を微かに揺らしたが、心の中に大波を立てた。

強気に見せていた偽りの態度も剥がれ落ちる。

「く、お前ら!下がれ!」

「遅い!」

奈々は凄まじい速さで直進して、手持ちの太刀を移動速度を超える速さで数回振るう。


目にも見えない光速連撃。



周囲から見れば一振りしかしていないのに五人の人間から一斉に血飛沫が舞い、彼らの身体は地面に叩きつけられた。まるで魔法のような瞬間だった。


九条 奈々にはある異名が付けられている。

五月雨さみだれ

それは彼女が剣士養成学校の一年生の時に付けられた名だった。

それは入学試験で最高記録、二秒という前代未聞の記録を打ち立てた試験に由来する。

人間には不可能と言われた記録。

伝説と化したその試験は一瞬で終わった。一撃しか当てていないのに、数回の斬閃が人形パペットの体に刻まれたのだ。目を疑うような光景に唖然とした者が多かったという。その結果が二秒という記録と「五月雨」という異名に繋がり、今に至る。


足元の人形のように倒れている侵入者の屍には目も暮れず、奈々は静寂を取り戻した本館の入口から武装した教師たちが走ってくるのを確認した。





タケルたちが本館裏口から入り込んだすぐ後から校門以外の出入り口も慌ただしくなり始めた。

剣警員や教師達と侵入者達の交戦が敷地内で繰り広げられ始めたのだ。

放たれる異能剣技の爆発音、刃が交じり合う甲高い金属音。さまざまな恐怖の音色が辺り一帯に響き渡る。

裏門に最も近い距離にある暗黒の武道場から三年生と思われる集団がぞろぞろと出てきた。覚悟を決めた表情を浮かべ、全員が木刀を持って武装している。

突然の爆発。突然の奇襲。何が何だか理解出来ないような状況ながら剣士養成学校の生徒たちは勇敢にも武器を持ち、一兵士として戦うことを決めたようだ。


轟く大絶叫。


教師の制止の声も掻き消すほどの大音声は敵味方の区別なく一瞬の隙を生む。

生徒達は黒ずくめの侵入者に突撃した。

希木を削ってつくられた木刀の強度は通常の刀剣を防ぐことが出来るほどのものだ。

決して生徒達の技術は侵入者のそれに勝ってはいなかった。しかし技術を超えた気迫の力が勝利を呼び込んだ。

剣警員、教師、生徒の連合は短時間で裏門の鎮圧に成功した。

教師陣はすぐさま生徒の集団に避難するように告げた。

避難する場所は地下シェルター。

事前の緊急会議で決められていたため、スムーズな連絡が教師たちには行き渡ったが、生徒たちへの連絡には時間が掛かってしまった。剣警員が思った以上に侵入者を足止め出来なかったため、止むを得ず教師陣が敷地外に出払ってしまったのが問題だった。

勇気を出した三年生の集団は残っている生徒の避難誘導を行うために各武道場に赴き、シェルターへの避難を促す。

その中には数日前からタケルの師匠になった牧場 竜丸の姿があった。

彼がいたからこそ暗黒の武道場にいた三年生達は裏門の侵入者に突撃することができたのだ。皆の士気を上げて、勇敢にも先頭に立っていたのが竜丸だったからこそだ。そのためもちろん避難誘導も率先して行い、次々に生徒達は三年生に付き添われてシェルターに向かう。

武道場の生徒を一人残らず、避難し終えた三年生も本館裏口に続々と入っていく。

これで道場区画の避難完了。


剣士養成学校は出入り口が四ヶ所存在する。利用頻度が多いのは正面の校門と本館裏手にある裏門だ。他の二つは道場区画にあるのだが、ほとんど使用されることはない。今は剣警員が立ち入りを禁止しているが。

四ヶ所の出入り口の戦闘も収まってきて、侵入者の動きが弱まり始めたかに見えた。

しかしそんな安堵に満ちた雰囲気をぶち壊すような一つの仄暗い人影が裏門に迫っていた。

その場にいた剣警員は正体不明の悪寒を感じていた。それは恐怖という感情が実世界に浮き出て、身体中に纏わり付くような、そんな感覚。


忍び寄る少女の姿を視界に入れたとき、その原因が何なのか、裏門に配備された者達は皆理解した。理解せざるを得なかった。

彼女は微笑を浮かべて、左手に持つ刀を鞘から抜いた。

銀色の鈍い光。

その霞んだ輝きが彼らの見た最期の光景だった。


少女は裏門から敷地内に足を踏み入れた。 誰もいない静寂の中でコツコツという独特の足音を響かせながら。
















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