表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/12

第六章ー成長

深夜、ブラムス達と合流した蓮たちは、そのまま二手に分かれる、叶と蓮はブラムスからの連絡を待つのに、近くの自販機の陰に行く。蓮が自販機の陰から、施設をちらちらみる。

「蓮さん」

叶が苦笑していた。叶は自販機でコーヒーを買うと、蓮に渡す。

「そんな事、しなくて大丈夫ですよ」

叶は自販機の光にさらされながら、まったく見つかる事を気にしないでコーヒーを飲んでいた。そのままでいる蓮を手招きする。

「それじゃ魔術士協会の手の者、っていっているようなものじゃないですか」

そうでなくとも、不自然です。叶はクスクスと笑っている。

「……こういう事、初めてだから、解らなくて」

蓮は赤面してそっぽを向く。拗ねてるー。叶が笑いならが蓮の頬をつつく。今日はやけにスキンシップが激しかった。

「蓮さん、肩を抱け、とは言わないものの、こういう時男女のペアならば恋人であるかのように親密に振舞うのが定石ですよ」

顔が割れてるわけでもないですし、と叶は可笑しそうに笑う。

「ふぅん、そのわりにさんつけ、ですます口調なんだね」

「あ、そうですね……って、言っているそばからか」

叶があまりにも可笑しそうに笑うものだから、蓮もつられて笑う。

「そういえば、蓮はすぐにですます口調もさんづけもしなかったよね」

あー、蓮は今更ながら自分が年上である叶に敬語を使ってなかった事を思い出す。最初のあった時の、ブラムスが全て悪い、と彼に責任を全て押しつけたかった。

「だって叶が幼いんだもん。高校一年生みたいだよ。それに会ってそうそう、あいつが、ねぇ?」

「あの時、生れたての小鹿みたいにガクガクしてたもんね。殺される―って」

そんな、と蓮が言うと、叶の携帯がなった。蓮のところからも見えた。発信者はブラムス。つまり、組織の人間、全員が施設内に居るという事。

「行きます!」

「え、あ!」

急にですます調に戻って一瞬戸惑った。畜生、もう少し良い思いさせてくれよ、ブラムスの奴め。蓮がブラムスに恨み言を内心でこぼす。二人が敷地に入った直後、空気が少し震えた。そんな気がした。

「凄いタイミングですね。見事な結界生成のタイミングだと思います」

叶は、今まできていたコートを脱ぎ去り、手袋も外す。

その下から、白銀の肌が現れた。

堅く、軽い特殊金属の板を何枚も重ね合わせた手甲だった。肘から指の第二関節までを金属板が覆っている。革の上に鎖帷、その上に特殊金属板のそれは、攻防一体の武具だった。

「蓮、出てくる敵が一人なら貴方に任せます。複数人ならば、私が数を減らしますので、残った相手を叩いて下さい」

蓮、と呼び捨てをしてくれた事に喜びを覚える。深呼吸をして、身体をリラックスさせる。武具を装備している叶に対して、蓮は完全な素手だった。

やがて、施設内部から怒号と悲鳴、轟音が聞こえてくる。蓮はその壮絶な音に、おののく。不良の脅し言葉なんかとはまったく各が違った。

ブラムスは危険人物。殺す。その断片的なワード達が、蓮の想像を掻き立てる。中は、今まさに地獄絵図なのだろう。

「おぅわぁぁあぁぁっっ!」

さっそく、男が一人、飛び出してきた。見るや否や、蓮はその男に向かって駆け出す。男は蓮に気付くと、剣を抜いてくる。

大きく振りかぶった男を、冷静に見る。これは、叶との修行の中でなんども見た。蓮は慌てる事無く、男の間合いの外で足を止めると、剣が空振りする。そのまま、まさに振り抜く瞬間に、カウンターの要領で顎を下から蹴り飛ばす。男が大げさにのけぞる。成程、確かに叶の言う通り、戦闘訓練を受けていない。動きもそうだが、大げさにのけぞるところもそうだ。そのまま投げ飛ばす。

「はい、上出来です。初めてにしては、上手いですよ」

叶がのんきに拍手を送る。正直言うと、蓮の心臓は爆発しそうだったが。あんな剣で、あんな大ぶりで、切られたら死ぬだろう、間違いなく。

ゾワっと、今更ながら悪寒が走り抜ける。地面に強打された男は、そのまま意識を飛ばしていた。

「こんな、物騒な事……」

「はい、次ですよ~」

休む間もなかった。今度は刺突。半身を切って避けると、そのままカウンターの肘を入れる。顔を抱えて悶絶したところに、真上から後頭部に向かって、肘を落とす。

「は~い、二人目~」

言いつつ叶は、いつの間にか出て来た三人目と四人目を、カウンターのバックブローで見事に失神させていた。一度試し程度にあの手甲でバックブローを顎に貰った時、加減してもらったにも関わらず、意識を飛ばされた蓮は、その恐ろしさをよく知っている。というか、顎が砕ける思いだった。

全力の一撃でないにしても、あんな本気の一撃をくらったら、きっと本当に顎の骨が砕けるだろう。

叶から教えて貰った格闘術。それは手甲術とでもいうべき代物だった。

流し、よけたうえで、カウンターで相手を迎撃する。それでいて、自分から攻めて行く手もある。相手がその攻めてに乗れば、そこにカウンターを合わせる、正直言ってかなりの高等テクニックな格闘術だった。が、蓮はそれを素人相手ならば通用できるレベルまで習得していた。

(さすが進学校というべきですかね。飲み込みが早い)

また一人、叶は殴り倒しながら蓮にそう評価をした。

「お疲れ様」

ブラムスが、施設から出てきて、二人を労わる。が、蓮はその姿を見てぎょっとする。

白いスーツは今や血にまみれ、にこやかな笑みは毒を帯びていた。その血は決して一人二人の血の量ではなかった。

「ん?レン、そんな顔をしないでくれよ。これも仕事なんだ」

こいつは、いつか俺もこんな風に仕事と割り切って殺すのだろうか。そう思うと、正直ゾッとする。こんな、何事もない、そんな風に殺されてたまるか。蓮はぎゅっと拳を握る。

「それじゃ、俺は帰るよ」

蓮は、平然とそう言ってブラムスに背を向ける。

「私も、同伴者として、蓮を見送るので、ブラムスさん、お疲れ様です」

叶が小さくお辞儀をして蓮の後を追う。

「強くなりましたね」

「まだまだだよ」

叶の言葉に蓮は苦笑してしまう。この程度じゃ、ブラムスには勝てない。

「以前の蓮なら、血まみれのブラムスを見たらきっと何も言えなかったハズです」

「え?」

蓮は振り返って足を止める。叶が微笑んでいる。

「強くなりましたね」

もう一度同じ事を言うと、行きましょう、と蓮の背を押してくる。

それは、人として?

蓮は心の中で叶に問う。答えは返ってこない。ただ、叶の微笑みだけがいつまでも頭の中から消えなかった。


ブラムスはとりあえずかなり強いです

蓮も叶に色々と習って強くなってます


ようやく物語が動き始めました

これからを楽しみにして頂けたらと思います

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ