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第三章ー日常Ⅱ

蓮は大量にあった書籍を、2日で読み切ると、学校帰りに向かおうとトートバッグに積めて登校する。

かなりの厚みのある本ばかりだったから、学校に着く間に腕が大分疲れてしまった。身を守るためにも身体を鍛え直さなくては、席に着くと、日頃の運動不足をまず呪った。

そして、次に友人を呪う。

「蓮~!」

「グッ」

後ろから突然の羽交い締め。疲れた身体にこの行動は意外とストレスになる。

「やめろ、って!」

「なんだよ、つれないなグフッ!」

脇腹に肘を入れて蓮は拘束から逃れる。

振り返ると、大層な巨漢だった。

身長は蓮よりも頭二つ分くらいはでかい190cmを越えて、剣道で鍛えた筋肉が逞しい。腕なんかは本当に丸太みたいだった。それでいて、爽やかな雰囲気が出てる。

「誠、お前にホールドされて意識を飛ばされたのは3日前の事じゃなかったっけ?」

「そうだっけ?」

そして特技はすっとぼけ、というこの巨漢、東城誠。昔から体格の良さばかりが取り柄で、この高校にも剣道のスポーツ推薦で入った。

「この間の小テストと抜き打ちテスト、助かったよ。顧問に赤点はさすがにヤバいって怒られてたからな。昨日はお前が赤点じゃないなんて、って誉められたぞ」

「そう」

事もなさげに蓮は返す。幼馴染みの誠は全く勉強が出来ない。周りはそれを蓮に学力を吸われてるなんて揶揄したりもする。

「出たな、デソボココンビ」

「誰がデコだ」

「誰がボコだ」

チャラチャラした奴だった。髪は金髪一歩手前に明るく、制服もメチャクチャ。

生活指導の先生に毎日追われてるイメージさしかない。

「そういう拓は、今日は生活指導の先生と熱々の鬼ごっこは良いの?」

「俺にそんな趣味はねぇよ、もやし」

安西拓也は手をヒラヒラすると、そのまま机に突っ伏す。

いい加減な奴だが、蓮は拓也のもう一つの顔を知っている。というか、一年のごろ頃、拓也がいじめっこと喧嘩をしている場面を目撃して、多勢に無勢と思って加勢した事があった。

喧嘩なんかした事なかったが、拓也とはそこからの仲だ。

普段はいい加減だが、間違いを正す姿勢は素直に凄いと蓮は思った。正直、いじめなんて誰が見ても見捨てるだろう。我関せず。

カッコいい奴、と素直に思えるのは、多分拓也だけじゃないだろうか。

「で、蓮、お前なんだ、その大量の本は」

突っ伏した拓也ご突然顔をあげる。寝たんじゃないんかい、突っ込むのは忘れない。

「知り合いから借りた本。読み切ったから返そうと思ってさ」

「ふぅーん、面白いのか?」

「あまり」

面白いとか、そういう感覚で読んではなかった。暗記をしなくてはならないという、義務のようなものだった。

「面白くない本読んで楽しいか?」

「たく、教科書を読んだ事ある?」

「ないよ。俺授業寝てても全部頭に入ってるから」

常に寝ても学年トップレベルの成績って羨まし過ぎる。蓮は世の中の不公平さを嘆く。

いつも通りの日常。いつも通りの友達。これが、ある日急に自分が死んで、ここにぽっかり穴が空いたらどうなるのだろう。そんな事、考えたくもなかった。こんな、当たり前な日常が、いつまでも続く事を蓮は願った。

蓮の学校生活。

学校って、なんだかんだ楽しかったですよね

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