独白
私には、特にこれといった夢はない。何かを成し得る英雄にも、優れた知識を持つ魔法使いになりたいとも思わない。ただ、好きだからなんでも努力した。剣を振ることも、魔法を使うことも。機会に恵まれたら、誰だってそうするべきだ。少なくとも私はそう思ったから────なんでも極めてみた。
日記を書く暇もないくらい朝から晩まで何かに没頭しては、泥のように眠って翌朝を迎える。その繰り返しは退屈を遠ざけてくれた。目の前に次から次へと現れる課題が、私をどこまでも連れて行ってくれた。
同年代の子たちが虫を追い掛け、川で泳いでるようなときでも、私は自分の居場所に引き籠るように、庭先で剣を握りしめる日もあれば、部屋の中で机に向かってペンを握り続けてるときもあった。
『退屈な子だね。君は村では、まるで異端者だ』
そんな声を掛けてきた人もいる。でも、気にはならない。お父さんもお母さんも、私のことを理解してくれなかった。でも、どうでもいい。私は、私のために生きていた。毎日が楽しくて楽しくて仕方がなかった。
あらゆる剣技を体得した。あらゆる魔法を操れるようになった。およそ武器と呼べるものは殆ど手にしてきた。魔法薬学と呼ばれるものは既存の技術に囚われたりせず開拓してみせた。────でも、最後まで村にはあまり馴染めなかった。




