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112  作者: 海翔 ライト
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突然、結婚!? 果たしてパーティーは――!?

第1話 

魔王は倒された。

世界に災厄をもたらした魔界の王は、ある勇敢なパーティーによって討ち滅ぼされた。

これは、その戦いの“後”を描く物語である。

魔王討伐から1年後、彼らは王様に呼ばれた。まったく身に覚えのない召集――ただ、2人を除いて。当日の朝彼らは宿屋の一室に集まっていた。


リョウタロウ「今日王城に呼ばれたけど…何かあったのかな?魔王を倒した報酬はもらったし。…まさか、変なことしてないよね?何かやらかしたとか? 捕まったりしたくないよ〜。」


ターチャ「そうよ!今日だって予定があるのに〜」

(ふてくされて髪をいじる)


リョウタロウ「なんの予定があるの?」


ターチャ「予定って……ただ友達と会うだけだし。」


リョウタロウ「そうなんだ。じゃあ早く行かないと。

…ところで二人は何で黙ってるの?」


アリサ「・・・別に。」


シルヴァ「・・・。」(……私に聞かないでくれ。)


ターチャ「2人とも何か言いなさいよ!」


アリサ「・・・そろそろ王城に行く時間じゃない。」


シルヴァ「そうだね。行けば分かるさ。」


リョウタロウ・ターチャ「はぁ、わかったよ。」


シルヴァは少し視線を伏せ、不安げに眉を寄せた。


〜王城にて〜


王様「よく来てくれた。英雄たちよ。」


並んで跪く 

リョウタロウ・アリサ・シルヴァ「はっ」

ターチャ 「え〜 めんどくさーい!」


リョウタロウ「いいから座ってよ。」


王様 微笑む 


王様「よい、顔をあげよ」


パーティー全員 顔を上げる


人間国の王 タリア・ハウスハンドが玉座に座っている。


タリア「今日はめでたい日だ。振る舞いについては気にせん。」


リョウタロウ「ありがとうございます。」


リョウタロウ「ところで今日呼んだのはどういった用でしょうか?めでたい日だとおっしゃっていましたが。」


タリア「実はな…、今日はあるお方の結婚式なのだ。」


パーティー全員「…け、結婚式!?」

思わず声を上げた。


タリア「聞いていなかったのか?今日はエルフ国の皇子の結婚式だ。」


リョウタロウ「エルフ国の皇子って…誰だ?」


ターチャ「…もしかしてあそこにいる人って…」


タリア「エルフ国の王 バスク・オルケイストだ」


ターチャ「見かけない人だと思ったけど、まさかそんなにえらい人なんてね。じゃあその皇子と結婚相手はどこにいるの? 姿が見えないじゃない」


タリア「そこにいるではないか。皇子とその妻が。」


リョウタロウとターチャが視線を交わし、揃って振り返る。


ターチャ「そこって私たちのパーティーしかいないじゃない …まさか リョウタロウ!?」


(ターチャ、リョウタロウの髪をかき分けて耳を確認する)


リョウタロウ「ち、違うよ。僕じゃない」


ターチャ 「だよね~。リョウタロウなわけないもん。」


ターチャ・リョウタロウ「…ということは」

後ろにそっと振り向いて二人を見つめる…


シルヴァ・アリサ 無言で頷く


ターチャ・リョウタロウ「……ええええええ!? 2人が結婚するの!?」

「おめでとう……って、ちょっと待って。エルフの“皇子”って……」


シルヴァ「私だよ。」と静かに言った。


「私がエルフ国の王バスク・オルケイストの息子――

 シルヴァ・オルケイストだ。」


リョウタロウ「ええーっ!? 全然そんな感じしなかったんだけど! いや、ちょっと偉そうだなって思ったことはあるけど」


ターチャ「気づかなかったわ。まさか、あんたが皇子とはね 皇子らしい感じしなかったのに ちょっと上からで鼻につくことはあったけど」


シルヴァ「そ、そうなのか 自分ではあまり変に感じなかったが むしろ城のみんなにはこれでもおとなしいぐらいだ」


ターチャ「それは、やりすぎよ 城の人たちも困っているでしょうね」


「ふむ、たしかにあまり王子らしい振る舞いとは言えないな」


王の隣で堂々とした佇まいの男が声を発した。銀の髪に翡翠の瞳、威厳と親しみを併せ持つその人物こそ、エルフ国の王――バスク・オルケイストであった。


バスク・オルケイスト「そう。そこの弓使いよ。確かターチャと言ったか。私の息子は魔法が得意でおまけに剣の才能がある。…私には及ばないがな。」


ターチャ 「それ、自分で言っちゃうんだー。」


バスク 「まあ、事実だからな。ただ――息子を甘やかしすぎてこんな性格になってしまったのかもしれん。」


ターチャ「それはそうかもねー。」


リョウタロウ 「タ、ターチャ あまり無礼なことは。」


バスク 「良い、それくらいあったほうが余も誇らしい」


リョウタロウ 「あ、ありがとうございます。」


バスクがスッと息を吐いて話し始める。


バスク「さて、続きからだな。振る舞いは王子とは言えないがその才能は天賦の才と言えよう。ある時彼に言われたんだ。魔王を倒すためにその力を貸してほしいってね。」


リョウタロウ「彼っていうのは?」


タリア「私だ。」タリアは静かに言った。


「昔から小さい村では魔物たちによる被害はあってね。防ぐことはできていたんだよ。でもある日突然魔王軍が現れ、村を破壊し始めた。魔王軍を倒すためにたくさんの兵士を送り出していたんだ。ただ、一般兵は倒せてもそれより上のクラスになるとなかなか倒すことが難しかった。」


タリアはさらに続ける。

「ついには5年前魔王軍は1個の独立した国を作り、我々に認めさせた。魔王を倒すために勇者を召喚した。それがリョウタロウとアリサだ。彼らははじめは戸惑って武器も上手く扱えなかった。」


バスクが口を開く。

「タリアから聞いたときは驚いたよ。異世界から勇者を召喚したとね。助けを求められたからには応えるしかないと息子であるシルヴァをこのパーティーに加えたんだ。


タリアも続く

「最初はうまくいかなかった。ほとんどケンカばっかりだっただろう。そうだね? リョウタロウ、アリサ?」


リョウタロウ・アリサ 静かに頷く。


リョウタロウ「そうですね、最初はけんかが絶えなかったです。自分が思っていたエルフのイメージと違っていて。」


アリサ「イケメンだけど性格が悪い、実力はあるから頼らざるを得ない。そんな感じでけんかは多かったわ。」


シルヴァ「…私は貶されているのか、褒められているのか?」


ターチャ 「まぁ、ケンカは多かったわ。まさか、このパーティーが魔王を倒すなんてね。」


タリア「その2年後、ターチャがパーティーに加わった。彼女は魔王軍に壊滅させられた都市出身の冒険者だった。依頼を受け戻ったところ彼女の街は壊滅状態だった。」


タリアは続ける。

「最初は魔王軍に対して怒りや憎しみしかないと感じた。うまくやっていけるのか不安だった。」


ターチャ「最初は魔王軍を殲滅すること、自分の復讐のために魔王軍討伐のパーティーに入ったの。でも、リョウタロウやアリサは異世界からの人間で考え方は違ったし、シルヴァは実力はあるけどこの性格があったから最初は上手くいかなかった。でも、冒険を繰り返していくうちに対立も少なくなっていった。アリサとは今じゃ本当に仲のいい親友だわ。シルヴァは相変わらずだけどね。」


タリア 「色々な経験を通して君たちは成長した。

互いに理解し合い、けんかもしながら助け合った。

そして、魔王討伐という大きなことをやってのけた。

私たちの誇りだよ。」


ターチャ 「そこまで言われると照れるわね。」

ターチャが髪をいじりながら、視線を逸らす。


アリサ「シルヴァめちゃくちゃ言われてるからわかってるとは思うけどその性格はなんとかしなさい。これから私たち結婚して夫婦になるんだから。」


シルヴァ「……そうか。努力はするよ。まさか、君と結婚することになるとはね。」


リョウタロウ「あの〜 そろそろ結婚式の話をしたほうがいいんじゃないでしょうか? そのために呼ばれたっていうのもありますし、さっきから後ろで凄い殺気を放っている人がこちらを睨んでいるんですけど……」


タリア「えっ!?」


王妃「あなた そろそろお話いいかしら?その話はまたあとでもできるでしょう。待っているのは私だけじゃないんですからね!」


王妃シンシア「バスクさん、あなたも止めないと。今日の主役はシルヴァとアリサさんなんだから。」


バスク「そうだな。では、結婚式の準備に入ろう。」


タリア 「夜に大聖堂に集まってくれ。シルヴァとアリサは準備がある。リョウタロウとターチャも正装だな

友人を誘ってもいいぞ。」


ターチャ「はぁ〜……信じらんない。こんな展開、聞いてないんだけど〜!友達に言えばいいよね!」


リョウタロウ「まあ、でも……せっかくだし、盛大に祝おうよ。」


シルヴァ「……頼む」


アリサ「……よろしく」


こうして、一同は夜の大聖堂へと向かって歩き出す。

――かつて共に戦った仲間たちの、新たな旅立ちを見届けるために。


第2話へ続く

登場人物紹介(第1話)

◾リョウタロウ

異世界から召喚された真面目系男子。だけど、割とおっちょこちょい。まさかの盾使い。


◾ターチャ

いつも元気な陽気な弓使い。アリサとは親友。

思わぬ言葉でかき乱す。


◾アリサ

もう一人の異世界人。寡黙だが、戦闘になると性格が変わる。怒ると怖い?


◾シルヴァ

エルフ国の皇子。実力はあるけどちょっと上から目線が玉にキズ。

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