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薬局便り2  作者: みんた
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薬局の日常

 朝7時半,薬局内を掃除しているとでんわが鳴った。

「はい、らくだ、あ、○先生おはようございます。」

「✖️先生居る?」「はい。お待ち下さい。」

薬局長と医院の先生のやりとりから、緊張と驚きが伝わってきた。薬局長が電話を置くと、えー、と深く息を吐いて両手で顔を覆った。鼻をすんとならして

「Mさんの娘さんが自殺したそうです。」

「え?」と私は言葉を飲んだ。なんで、どうして、何があったのか。あまりの驚きで舌が動かない。昨日、お母様のお薬を取りにいらしていたから。

「首を吊ったらしい。叔母さんが様子見に行ったら、部屋の真ん中にぶら下がって揺れていたそうです。」

 言葉にならない空気が、口の中で膨らんだり、しぼんだりしている。「あ、ああ」と息をはいた。

 Mさんは一人娘さんで、学校の先生をしてらした。ご両親も先生でいらした。まだ結婚をされていなかったので、海外旅行に出かけたり、楽しんでいたらしい。が、ここ数年お母様の認知が進んで、職を辞して介護されていた。叔母さんの話によると娘さんの事もわからなくなり、随分厳しい言葉をかけていたらしい。施設を勧めたらしいが、家族が見るのが当たり前だから頑張る の一点張り。日に日に顔が暗くなる姪御さんを心配していた矢先のことだった。

 後日 「胸騒ぎがして、朝9時に訪ねたら。ねえ。こんなの」と言って叔母さんは言葉を切った。「ぶらさがった○ちゃんのそばで、姉は、ご飯が遅いと怒りながら、冷蔵庫から出したトマトをむしゃむしゃ食べてるのよ。もう、もう。」と下を向いた。

 葬儀をだしたり、お姉さんを施設にいれたり、妹だった△様が全部手続きしたのだった。

 介護生活がどれだけ精神的に消耗するかを目の当たりにした事案だった。

 

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