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第四十八話 権利行使ですしお寿司

前回までの、七兜山無免ローヤー!

 J-PlatPatで遊んだ無免ローヤー。島本和彦先生は仮面ライダー関係だけでも、Black・ZO・スカルマンの漫画、仮面ライダーゴーストの怪人デザインをされてます。あと仮面ボクサーは名作! 無免ローヤーは今日も戦う! 変身! 法に代わって、救済する!

 法科大学院自習棟、通称「懲罰房」


 の、地下……


 何者かの悲鳴が鳴り響き、暗闇が部屋の隅々で跋扈するその場所に、七兜大学法学研究科所属の、糸井教授がいた。古びたパイプ椅子に座り、机に化学の実験器具のようなサイフォンを設置して、片手にはコーヒーカップがある。ちょっと周囲の空気感に似合わない、洒落たご様子。何か考え事をしていた。


 ふと、部屋のドアが乱暴に開かれる。姿を現したのは同じく七兜大学法学研究科教授の赤原。


 密談?


「抜かれた情報が確定したと聞いたが?」


 赤原が尋ねた。


「ええ……まあかなり奇妙なモノでしたが。不思議ですね、なぜ秘密統治委員会の人間がこれを欲しがるのか……ああ、やり口はなんと、あのヘンテコな仮面でしたよ。視覚情報を外部に送信し続けるデバイスです。おかげで我々お得意の紙資料も形無しですよ。ネットに接続しない情報を、実際に見に来ることで解決するとは、実に日本的というか、アナログですねぇ」


 糸井はコーヒーに口をつけつつスラスラ答えた。その落ち着いた態度に、赤原が言葉を被せる。


「まず結果を言え」


「仮面の破壊プログラムを取り除いて閲覧記録を復元したのですが、集中的に引き抜かれていたのは、法の御名伝説についてでした。資料庫の古いファイルを、ご丁寧に一枚一枚めくって確認したようで」


「法の御名伝説? 御伽噺ではないか」


 赤原の疑問に、糸井は小さく肩を竦めた。二人は早口気味で会話を続ける。


「それから二種の怪人についても調べてましたねぇ。怪人絶対王と、ほら、例の消された怪人ですよ」


「……は? 欲しがる情報が古すぎるな。御伽噺に歴史の勉強とは。どういうことだ?」


「だから奇妙だと申し上げているのです。目先のことしか見ない政府が、こんな埃の被った話を知りたがるとは思えない。あるいは、一部の者の私的命令か……」


「ふむ、他には?」


「カモフラージュか何か知りませんが、学内ネットワークの方にもアクセスして、蜘蛛の巣的に手を広げた痕があります。雑多な内容ですよ。七兜大学の役員等選任手続とか、大学生協の入学者向けパンフレットとか、いくらでも調べられる内容を。ああそれと、個人情報の観点だと、法科大学院入学者名簿にアクセスしようとした形跡もあります。未遂ですし、どうせ学生には配ってる情報ですが」


「訳が分からんな。これが改造人間一人使い潰すような情報か? 遥かに重い暗部も、ここにはあるのだが……そう言えば以前、都の大学も情報攻撃を受けたと聞く。少し、調べてみるべきか……?」


「いかなる意図があるのか、どうも図りかねるんですがね、いかんせん我々も人手不足ですから、曖昧な問題に手をかけてる時間は……別に止めやしませんが、これ以上はどうしようもないのでは? と言いたくもなる」


「む……そう、かもしれんな。まったく忙しすぎる。クソ、今年は無能な無免ローヤーに非弁ローヤーまでいるからな、怪人も妙に多い、面倒見きれん」


「ふふ、水去君に網言君ですか。いやーしかし彼らは結構面白いじゃないですか。それこそ、法の御名伝説なんて起きませんかねぇ、ははは」


「馬鹿なことを言ってるんじゃない、過労死させるつもりか」


「ああー……ところでこれ、情報漏洩インシデントなんですかねー? 危機管理関連は、やってみると実に面倒くさい。一応学内の対応手続はするつもりですが、個人情報は守れてましたし、下手人からして政府マターで、漏れたのは御伽噺なんて報告してもねぇ……といったところです。ただ……」


「なんだ?」


「ここ数年、どうもウチの法科大学院を探ろうとする動きがありますよね。予算を削りたい連中のちょっかい程度かと思ってましたが、さすがに学内者の関与を疑った方がいいかもしれません」


「ああ」


 学内者の関与……糸井の不穏な推測に、赤原は頷いた。


 〇


「わたくしもう飢餓状態ですわーっ、お腹がぺんぺこりんですわよー!」


 腹減り娘の守亜女生徒が街中で叫んでいる。やばい。


 水去たち三人は山を下りて、難舵町まで来ていた。時刻は十六時過ぎ、太陽の光が段々柔らかくなってきている。夏の湿った空気が周囲を包む。


 お寿司でも食べに行こうか


 そんなことを突然言い出した神崎と、引っ付いてきた二人。なんだかよく分からない、しかし、水去と守亜の腹積もりとしては、よっしゃ家主に食をたかろう、といったところなのだろう。


「で、どういう店に行くんだ? 回転寿司か?」


「んー? たぶん回ってないと思うよ。名前はね、『寿司の僕僮(ぼくどう)』ってトコ」


 水去の問いに、神崎はにっこり微笑んで答えた。


「ほお、変わった名前、そりゃ行きつけの店だったりするのか」


「いや初めて行くね。だからどんなお店か分からない。場所は調べてるけど」


「ま、回らないんですのね、緊張しますわー……どーしてそのお店を選んだんですの?」


 震える守亜女生徒。神崎青年はなおも微笑みを浮かべたまま、敵情視察、と言った。


 ……敵?


 水去が疑問に思った瞬間、神崎家の令息は立ち止まる。ここだね、と呟いて、見上げれば大きな木の看板があった。ダイナミックな墨文字で「僕僮」と書かれている。


 彼はすぐに、古びた引き戸をガラガラ開けた。


 〇


「お、いらっしゃい。けど店は五時からなんだ。出直してくんな」


 中に入るなり、カウンターの奥に居た親爺が声を出す。まだ営業時間じゃないらしい。しかし、神崎は動じることなく応答した。


「初めまして、神崎八太郎と申します。こっちは七兜大学法科大学院の水去律さんと守亜帝子さん」


「うん……? なに、娘の知り合いか! どうも魚織(なおり)がお世話になってます、こりゃせっかくやから店を開けんといかんな。魚織もすぐ帰ってきますんで、ささ、座って座って!」


 何故か話が進んでしまって、中を案内される。テーブルの横を通り、調理場に面したカウンターに三人並んで座ることになった。奥の椅子に愛想よく笑っている神崎、困惑して挙動不審な水去。そして一番手前の守亜女生徒は、大物らしくどっかり腰かけて、さっそく「お品書きを教えてくださいまし!」と尋ねた。「仕込みは終わっとる! 後ろの板にあるのは大方出せるぞ! 軽く握ったるから何でも頼みんさい!」が親爺の答え。


 守亜女生徒は喜色満面。


「じゃー大トロをくださいな、ですわ!」


「ボクはえんがわで」


「えっ⁉ あっ、えっと、し、しめ鯖を一つ」


「はいよっ!」


 いきなり大トロとか言う守亜、さらりと注文する神崎、慌てる水去。景気のいい掛け声と共に、すぐさまお寿司が出てくる。早すぎるぞ。これが、回らないお寿司の達人技なのか……


 うまーですわーっ! と、さっそく守亜がガツガツ食べている。神崎も優雅に口に運ぶ。水去は不安そうに周囲へ目を向けていた。次はどうするっ! と親爺の声がかかる。テンポ感がとんでもない。


「たまごをくださいまし!」


「穴子を」


 二人がさっさと注文するので、慌てて鯖寿司を食す水去。おっ、身が分厚いぞ、さすがに美味いな。やはり回らないお寿司はすごいのか。


「んっ、じゃあ俺は、いか、で」


「ちょいとお待ちを!」


 威勢のいい返事と共に、まだ用意のできていないネタがあったのか、親爺が後ろに引っ込んでいく。ああやっと落ち着けた。水去は神崎に小声で問いただす。



 おい、どういうことやこれは? 訳分からんぞ

 どういうことって、お寿司を食べに来ただけじゃん

 でも、魚織(なおり)っておそらく副島魚織さまですわよね。ローにいますわよ

 ロー生……えー、まさか、怪人がらみか……⁉

 確証はないし、今日は様子見のつもり。ほら、お寿司おいしいでしょ?

 美味()んめえですわ!

 あのなあ、言ってくれたらこっちも準備するのに……先に言ってくれ

 確証はまだ無いんだ。だから、今日は本当に遅いランチのつもりなんだって



 その時、ガラリと扉が開いた。見れば、入り口に一人の女生徒が立っている。短く刈ったベリーショートの髪形に、まくり上げた袖口、気っ風のいいその立ち姿が強く印象に残る。法科大学院の、副島魚織女生徒だった。


「わっまさか水去律⁉ 無免ローヤーっ⁉」


「あ、えと、魚織さん、どうも……」


 水去と眼が合った瞬間、じりじり後ずさりする副島女生徒。踵を返して、外へ逃げ出した。


 明らかに怪しい!


 一瞬どうしようかと逡巡しつつも、法律戦士の勘が働くのか、椅子を倒しかねない勢いで動き出した水去。少し遅れた神崎が続く。副島女生徒を追いかけて、店を出ようとする。


 ちょうどカウンター前に戻ってきた店主の親爺が、寿司の盛られた器を片手に「ど、どうしたっ? 食わんのか⁉」と叫ぶ。小用です! と出際に答える水去の言葉を、「緊急事態のようですわね、あ、お寿司は三つともわたくしが貰いますわ♪」と守亜女生徒が補足した。


 なんだかよく分かんないまま進んでしまう日である。


 ……


 そうして、屋外、路上。


「待ってくれっ!」


 声をかける水去青年に、逃げていた背中が立ち止まる。副島女生徒が振り向いた。路側帯や中央線も書かれていないような、裏の静かな道である。追いついてきた神崎が、水去の隣で止まった。数メートルの距離を隔てて、睨み合う副島と水去ら。


「水去律……っ、やっぱり私を倒しにきたのかっ……!」


「いや俺はこいつに連れられて、寿司を食べに来ただけだっ!」


 二人の問答が始まる。


「はあ⁉ 寿司っ? ごまかすなよ、アンタのことは聞いてるんだよ!」


「聞いている? 誰にっ、何をっ」


「無免ろぉおぉやぁああぁぁッッッ!」


 副島女生徒から闇が溢れて、怪人へと変貌する。そうして闇に包まれた右手には、刃渡り数十センチはある巨大な刃物……包丁……? が顕現。「ああっ、仕方がない、やるかっ!」水去もまた、変身六法を取り出し構える。


「変身!」


 一歩前に出つつ、ポーズをとった。


 バックルに六法が接続、瞬時に光が溢れ出す。輝きは肉体を覆い、包んで、法の鎧が形成される。こうして、水去律は無免ローヤーへと姿を変えるのだ!


「法に代わって、救済する!」


 顕れた複眼が、夏の赫い陽射しを反射し、闇を刺す。同時にヒーローの背後、雄大なる七兜山の頂にて、火薬が派手に爆発した!


 〇


「それで、これはどういう状況なんだ、神崎?」


 前に出て、怪人から庇うように右腕を伸ばした無免ローヤーが、ちょっと首を捻って尋ねる。複眼の隅は神崎を捉えていた。そのことに少しばかり動揺しながら、神崎は事情を伝える。


「しょ、商標だね。神崎グループの中に、寿司チェーンがある。そこで子供向けのBOKU・DO寿司フェアってのをやったら、商標権侵害の警告書が来たんだ。調べてみたら、送り主に難舵町のこの店が出てきた。しかも看板娘はロースクール生らしい。それで近いから見に来ようと思ったんだ。でも、半分期待はしてたけど、いきなり戦いになるとは――」


「お前ッ、神崎グループの奴かッ! やっぱり私をォ……!」


 急いで説明する神崎の言葉を、怪人の怒鳴り声が掻き消した。


「人の家で待ち伏せなんてェ、卑怯な真似を……ッ、無免ローヤーァ! まァ、この際いい機会だッ、ここで私がお前を消してやるッ!」


 話へ割り込む怪人の嚇怒に、黙って状況を聞いていた無免ローヤーが、静かに相対する。地面を踏みしめ、いつでも動ける態勢を整えた。


「……気になることはいくつかあるけど、まず、俺は何も知らん。状況も呑み込めん。だが、どうやら俺のこと、法律戦士のことを吹聴してる奴がいるようだな。前にも同じようなことあったし」


「だったらァ、どうしたって言うのよォ……」


 怪人が包丁の柄を握りなおした。


 浮かぶ疑問。そう、この怪人、出会い頭に、まだ変身もしていない水去を、無免ローヤーと認識したこと……難舵北高校を襲った怪人宗教利用男と、随分似ているのである。そして彼女もまた、同じような応答をしている。何かおかしい。マスクの下で、水去の眉間にしわが寄る。


「いや、ま、別に隠してるわけじゃないが、気にはなる。誰だ、そいつは?」


「バカがッ、言うわけないだろッ!」


 その時、もう一つの人影があった。


「よかった、まだ戦ってないんですのねっ。おしゃべり中ですのー?」


 ……現れたのは、守亜帝子女生徒だった。彼女は歩きながらも、寿司の数貫並んだ器を持ち、素手でモグモグ食いながらやって来る。どれもこれもいい味ですわねー、なんてコメントしつつも、無免ローヤーと神崎の傍まで辿り着いた時には、あっという間に食べ終えて、指に残った米粒を、ちゅ、と小さく舐めとった。


 虚をつくような登場に、勢いを削がれた怪人と法律戦士。


「あら、どうしたんですの? わたくしずっと、水去さまの戦う姿を、近くで見てみたかったんですのよ! それに副島さまも……頑張ってくださいましねーっ!」


 守亜女生徒がきゃぴきゃぴしながら両者に声をかけた。


 彼女の声が響いた途端、怪人が闇を増し、腰を落として凶器を向けた。暗いオーラが刀身の周囲を渦巻いている。無免ローヤーもまた、取り敢えず拳を構えた。空拳、まだ武器は無し。緊張感が空気を縛る。


「死ねッ!」


 敵はストレートな発言と共に、包丁の切っ先を向けて突っ込んで来る。


 武器が軽いのか速い! 距離が即座に詰まった!


「おらあああっ!」


 遮二無二、無免ローヤーが左腕を振るう。こちらも特に捻りのない雄たけび。法の鎧で覆った腕が、包丁の腹にぶつかり、払いのける。刃元が鎧を引っ搔いたのか、僅かに火花が散った。


 攻撃を弾かれた怪人の体勢が崩れる。その脇腹へ、無免ローヤー蹴りが突き刺さった。適時に放たれた追い打ち。


 しかし、威力が足らない。


 転倒まで持ち込めず、かえって己を不安定な状態へ至らせた攻撃は、怪人のカウンターへと変わる。刃が軌道を描き、首筋に食い込む。闇の包丁が、鎧を削りながら袈裟斬りに駆けた。


 無免ローヤーの視界で大きく火花が散る。


 法の鎧を着こんでなお、及んで揺らす衝撃が、水去律の体に作用する。首から胸元に激痛。地面に落ちようとする肉体は、あえて勢いに逆らわず、しかし両足に力を込めた。不格好な後方宙返りの後、身体を丸めてガシャガシャと路上を転がる。


 なんとか距離を空けることができた。


「神崎っ、何でもいいから情報教えろ!」「えっ」


 無免ローヤーが鋭く叫ぶ。神崎が驚く。しかしその時、既に怪人は跳んでいた。上方から降り降りてくる両手が、研ぎ澄まされた凶器を握りしめ、攻撃に及ぶ。


 しゅっ、と音がした。


 間一髪で真横に転がり、危機から逃れた無免ローヤーだったが、その複眼に映ったのは、彼自身が一寸前に居た場所へと、刃を突き立てた怪人の姿。闇の包丁はアスファルトを易々と貫き、その刀身のほとんどが、路面に沈んでいる……


「うっそだろ、どんな威力だ⁉」


 まるで豆腐か、いや、寿司で例えるなら、柔らかい特上の大トロでも突き刺したかのような、そんな挙動。けれど包丁を引き抜けば、アスファルト混合物は乱暴に抉り取られ、無惨な姿が晒される。摩擦など一切ないかのように刺さり、それでいて周囲を破壊しつくす異常な殺傷力。


 無免ローヤーが己の首筋に触れた。法の鎧が深く削れているのが分かる。ちょっと経験したことのない斬撃痕だった。


「あぁっ、鎧がっ、大丈夫⁉」


 神崎が声を上げる。無免ローヤーは立ち上がりつつ、なんとか頷いた。


「ああ、今のところは……ヤバい攻撃力だなホント。だから情報が欲しい、まだなんの怪人かも分から――」


「そんな奴にィ聞く必要はないよッ!」


 怪人がまた会話を遮る。無免ローヤーは無機質な複眼を向けた。仮面の下の表情は見えない。怪人もまた、身体を包む闇が、その心を覆い隠している。


「私のやっていることは、ただの権利行使……ッ。ウチの店の登録商標をォ、そいつの会社が勝手に使ったァ、だからァ商標権を行使するッ、それだけのことォ! ねェ無免ローヤー、権利行使がァ犯罪だとでも言うつもりィ?」


「なるほど、怪人商標権行使女ってところか」


「ムカつくねッ、その言い方ァ! 私のやっていることはァ正当な権利行使だッ! それともォ、どこかに瑕疵があるとでも言うのォ? 何をもって私が悪だとォ言うのかしらァ?」


 怪人商標権行使女が問いかける。それに対してヒーローは、自信なさげに突っ立っている。


「うーん……まあ……分からん。漢字の『僕僮』とローマ字の『BOKU・DO』じゃ類似性がないような気もするが、同じ寿司業界だし、それじゃ駄目かもってところだな、うん。で、現状、俺はこの六法の、どの力で戦えばいいのか分からない……」


 そこで無免ローヤーが、僅かに首を傾けて、複眼に神崎の姿を映す。「……だからな神崎、何でもいいから俺にヒントをくれ。時間は稼ぐ。戦うための情報が、まだ足りてない」そう言ってまた、怪人へと向き合った。


「水去君!」


 神崎が声をかけても、彼はもう振り返らない。


「そんなガキ相手にィ悠長だねッ!」


「予習し損ねたからな。今から事例を検討する」


「その前にこの包丁でェ、ぴったり三枚におろしてあげるッ!」


「食っても美味しくないし、骨ばっかりだと思うぜっ! 売り物にはならん!」


「じゃあァお前は外道だッ、消え失せろおおおオオオオオォ!」


 刃物を振りかざす怪人に、何も持たないまま向かっていく無免ローヤー。その後ろで守られている神崎の額では、夏の暑さか、あるいは、自身が水去を連れてきたばかりに生じたこの状況のせいか、汗がいくつもの玉になって流れ落ちていた。


「あ、ちなみに、外道、というのは、食べれないとか毒があるとかでお呼びでない、全くいらない魚のことを意味する釣り用語ですわよ♪」


 無免ローヤーが切り刻まれている中、神崎の隣で拍子の抜けた解説をする守亜帝子女生徒である……

次回予告

損害! 未来! 強制徴収! 第四十九話「金はどうなんだって話」 お楽しみに!

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