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第二十七話 期末試験拒否運動の会

前回までの、七兜山無免ローヤー!

 みんなで勉強会をした無免ローヤー。しかしアホの水去は、前原の前でパンツ落としたり、子供向け番組に夢中になったり、議論についていけなかったりと、適切とはいえない対応をしてしまった……無免ローヤーは今日も戦う! 変身! 法に代わって、救済する!

 翌週に七兜大学全体で期末試験の開始が迫る中、水去と神崎は、何故か難舵町の高等学校に向かって歩いていた。難舵北高校である。もちろん、水去がバカすぎるので高校に入り直すとか、そんなふざけた理由からではない。彼らが動くのは、大抵怪人絡みだ。


「試験拒否運動ねー。俺も試験なんかボイコットしてえなあ。ホント、なんで大学卒業したのに、まだテスト受けてんだろ。せめて研究とかしたかったなあ……」


 坂道を下りつつ、水去が空を見上げて呟いた。


「言うねー、ならボクの研究にもっと協力してくれたらいいのにさ」


 隣を歩く神崎は、眠そうな目で街を見渡しつつ、小さな不満を投げ返した。水去は困ったように「えっ、それは、まあ……できる範囲で協力は惜シミマセン」と、ぼそぼそ応える。「できる範囲ってなんだよー。はっきりしないなあ」神崎の声もまた、どうも覇気が感じられない。


 七月下旬にさしかかっていた。分厚い雲が午後の陽射しを隠して、空は不気味な灰色である。夏とは思えない涼しさ、というか肌寒さで、なんだか心細いような日だった。


 難舵北高校で、期末試験拒否運動をやっているらしい……先の日曜日の勉強会終わり、前原女生徒が水去に耳打ちした。至近距離での唐突な囁き声に心を揺るがせつつ、平静を装い話を聞いてみれば、彼女のやっている家庭教師のアルバイト先の生徒、それが難舵北高校の学生らしい。で、高校では「期末試験拒否運動の会」なるものが活動を強め、七月上旬に行われるはずだった期末試験が、ボイコットにより事実上中止になったという。


「それだけなら大したことでもないって思うんだけど、試験拒否の理由として、信教の自由を主張しているらしいの」


「信教の自由⁉」


 前原の前で、水去は素っ頓狂な表情を見せた。対照的に、前原は整った容貌を崩さずに頷く。


「我々は、信仰する宗教の教義により、試験の受験を拒否するって、言ってるみたいで」


「ほえー……あ、神戸高専事件を悪用してるみたいな感じなんかなあ」


「うん。もしかしたら、怪人が絡んでるんじゃないかって思うの。怪人って洗脳できるしょ? それで、誰かが生徒を操ってるみたいな……私も難舵北高校のことは知ってるけど、信教の自由で試験拒否とか、そんなことする学校じゃなかったから」


「なるほど、分かった、教えてくれてありがとうね。確かに怪しいし、俺も調べてみるよ」


 家庭教師をする前原の姿をちょっとだけ想像しつつ、水去は小さくサムズアップした。すると前原が、申し訳なさそうに頷き、「ホントは律くんだけに押し付けたくないんだけど、私、今日仕事休んじゃったから、スケジュールが立て込んでて、一緒にいけそうになくて……ごめん……」と、しおらしく謝ったので、彼は慌てて己の無免ローヤーとしての義務について語り、情報提供に深く感謝した。


 そんなわけで、講義の合間を縫って、難舵北高校の様子を見に来たのである。一般的な高校はもうすぐ夏季休暇にさしかかってしまうので、早めに調査する必要があった。とはいえ、まだ怪人の存在が確認されたわけでもなく、また、水去自身思うところがあったのか、非弁ローヤーの変身者、網言正刀には声を掛けなかった。


「もうすぐそこらしいけど、難舵北高校ってどんな学校か知ってるか?」


 スマホに表示した地図を見つつ、水去が神崎に尋ねる。


「いや、知らないねー。ボクも大学に入って初めてこっちに来たから、さすがに高校のことは詳しくない」


「ふむ。まあ、前原さんの生徒が通ってるくらいだから、それなりに優秀な学校なんだろうな。しっかし、期末試験拒否運動の会、ねー」


 並んで歩いていた二人が道を曲がる。ほらもう見えるはず……と、手元のスマホを確認しながら水去が言う。


 突然、神崎が立ち止まった。どうした? と声をかけて水去も顔を上げる。


 地図が示す通り、道の先に校門が見えた。その奥には校舎がどんとそびえ立っている。それはいい。しかし、あの、その、落書きがですね、あちこちに……


バカ

アホ

タコ

うんこ

夜露死苦

天上天下唯我独尊

瞬瞬必殺

暗黒舞踏

C組の木村

( ゜Д゜)

焼肉外交

ケルベロス

花道惨状

黄泉雑魚

御帆尾津九婆

堕武徒

C組の木村がバカだと思う人~

始利飛虎

弐威賛(U)

脳手術

俺はセイウチ←違う、お前は木村だ

魑魅魍魎跋扈

乾坤一擲の勃起

憮零℃

地獄姉妹

七兜爆走族

……


 パッと目についたものだけでも、これほどに……黒ずんだ校舎やそれを囲む塀は、下品なスプレー文字だらけであった。


 それどころではない。窓ガラスはどこもかしこもバリバリに割れており、校庭には大量のバイクが並ぶ。敷地のあちこちで爆音のダンスミュージックが響き、怪しげな煙がモクモクと上がっていた。


「わ、若者の非行……!」水去が喉で押しつぶしたような声を漏らす。


「だいぶ荒れてるねー、これは」と神崎が面白そうに笑った。


 校門付近に近づいて見れば、卑猥なポスターと落書きで埋め尽くされる中、難舵北高等学校、と書かれたプレートを、かろうじて確認することができた。やっぱり、目的地はここで合っているらしい。


「期末試験拒否とかいうレベルじゃないだろ……これ……。え、前原さんが『試験拒否とかするような学校じゃない』って言ってたのは、もしかしてこっちの意味だったんか……⁉」


 ポスターをめくり、ひとしきり表札を見ていた水去が、振り返って神崎の方を見た。「あのさあ、今回いろいろ危なそうだし、神崎、お前は帰った方が……と、言っても、帰らないよなあ、お前は」「当り前だろ。なんで君一人で行かせるのさ、一蓮托生だよね」神崎がにこにこ笑って答える。調査はこのまま続行のようだ。


「で、どうするの? いきなり潜入ってわけにもいかないだろうし。変装でもするかい?」


「ああ、いや、前原さんのカテキョの生徒さんと、校門前で十五時に落ち合う予定なんだ。俺とローヤーことは伝えてくれてるから、いろいろ状況を聞けたらなと……」


 水去が腕時計を見る。現在十四時五十五分。明らかに昼休みの時間ではなく、高校は授業中のはずである。そんな時刻に会談が設定されている時点で、ちょっと普通ではないことに気付くべきであったが、もう高校を卒業して数年経つ水去には、そこまで思い至ることができなかった。


 そうやって平和なやり取りをしている彼らの前に、不良たちの影が迫る!


「オマエら! ここで何してんさ? 他校のカチコミかぁ?」


「ナめたことするつもりなら、アタシらがぶっトばすかんな!」


 改造セーラー服に足元まで伸びた極端な黒ロングスカート、いわゆるスケバン的ファッションに身を包んだ二人の不良少女が、水去たちに気付いて威嚇している。手にはそれぞれ鎖とエアガンを持っており、一人は金髪、一人は黒髪だった。金髪の少女は黒くて大きなマスクをつけており、黒髪の少女はガムを噛んでいるのかくちゃくちゃ音を立てている。「どこ高だ、オマエら、お?」と鎖を構えつつ、水去たちに迫ってきた。


 絡まれた水去はキョトンとして、「なあ、俺って、高校生に見えるか?」と、隣に立つ神崎に尋ねる。「知らないよ、そんなの」と神崎が面倒そうに答えると、水去は嬉しそうに笑い、「そうか、俺もまだまだ若者やれるんだなー」と呟いた。彼は二十二歳成人男性、若者かどうかは、ジャッジする側の立場によるかもしれない。でも二十二って、高校生から見れば、それなりにオッサンではないのか?


 水去が不良少女たちに向き直り、目を見開く。敵意はないと示すため両手を上げ、やあ! 僕の名前は水去律! よろしくね! と爽やかに微笑みかけた。


 明らかに不審者である。


「ナニ訳わかんないこと言ってんだテメー!」


 不審者に対し、プッ、と黒髪の少女がガムを吐きつけた。真っ赤な口紅の色が付着したガムは、水去の頬に当たって、コンクリートの地面に落ちる。唐突な侮辱行為を受け、笑顔だった彼の表情が凍り付いた。少女たちは武器を構えている。水去が親指で、そっと己の頬を拭うと、グロスの光沢がほんのり指にうつった。


「……君、これはいわゆる間接キスというものだね。駄目じゃないか、頬とはいえ、初対面の人間にキスなんて……そういうことは、好きな人にだけするんだよ。お兄さんからのアドバイスだ」


 曇り空にぼやんと立ち上る窘め。敵意剥き出しの行為を口づけと捉える感性。静かに、しかし突如として放たれた水去の台詞に、少女たちはドン引きしている。ガムをぶつけた少女が、「キモ……」と、今度は攻撃の意図なく、心の底から溢れ出たような声音で、彼に侮蔑の言葉を与えた。


「いやガムを吐くとか! 好きな人にも! やっちゃ駄目だよ!」


 イケメンの神崎が声を上げて、場の空気を中和する。


 不良少女たちは神崎のおかげで気を取り直したのか、はっとしたように二人を睨み、鎖をヒュンヒュン回し始めた。「ケッキョク誰なんだよオマエら! シメられてえのか!」「どうどう、暴力はいけない。暴行罪が成立してしまう」「やっぱりカチコミかあ? カチコミなんかあ?」「待ちなよ、ボクらは別に、君たちに用があるわけじゃなくて」水去たちは女子高生たちに詰め寄られ、塀に追い込まれた。地味に窮地である。


 そこにもう一人、新たにスケバンが現れた。


「ルカっ、ルナっ、やめなっ! そいつはアタシの客だっ!」


「「姐さん! でもっ!」」


「でもじゃないよっ! 無抵抗の相手に威張り散らして、恥ずかしくないのかいっ!」


 量の多い黒髪に、切れ長の鋭い眦、対照的に引き立つ白い肌、短ランの上着を羽織り、スラリとした肢体にロングスカートが似合う、背の高い女生徒だった。腰に木刀を吊り下げている。強そうである。


「アンタが水去律だね。話は聞いてる」


「あ、ということは、赤井桜さんですか。どうもどうも、わざわざすみませんね」


 ルカとルナと呼ばれた少女たちを優しく押しのけ、赤井と呼ばれた女生徒が、水去の前に立つ。身長百七十五センチメートルの水去よりも、更に背が高かった。


「礼なんかいいさ。だけど、アタシはまだアンタが信用できなくてね。共に戦うに足る人間か、確かめたい」


「……? あの、話を聞きたいだけなんですけども?」


「年下相手にまどろこっしい敬語はやめなっ!」


 瞬間、赤井女生徒が木刀を振るった。風圧で水去の前髪が持ち上がる。彼の目の前を、剣先が高速で横切ったのである。しかし水去は瞬き一つせず、平然とその場に突っ立っていた。「へえ、胆力だけはあるみたいね」赤井女生徒が不敵に笑う。それに対し、水去は格好つけて「ま、いろいろ経験してるからな」と答えた。


「ちょっ、はあっ? 何やってんだよっ! 水去君! 大丈夫なのかい⁉」


 数テンポ遅れて、神崎が声をかけた。「ん? いや大丈夫だが?」と水去は言うが、神崎はあわあわしている。「ほ、本当に大丈夫なの?」「え、そこまで言われると逆に不安になるんだが」「血、出てるけど!」「血?」水去は己の顔に触れる。


 ドロリとした感触があって、見れば、手には赤い血がついていた。スパッと、鼻先が一文字に切れているらしい。


「うおおーっ、なんじゃこりゃああああ⁉」


 己の状態にやっと気づいた水去の、どこまでも情けない叫びが響いた。それにしても、木刀で皮膚を斬れるとは、凄まじい技量である。


 〇


 赤井女生徒に連れられて、水去たちは廃墟のごとく荒れ果てた校舎の廊下を歩いていた。赤井の隣にルカルナの二人、少し後ろで鼻に絆創膏を貼った水去と神崎が、さらにその後ろにも複数人の生徒が加わって、一つの勢力になっている。


 どうやら赤井は二年生のトップらしい。彼女が歩けば、他の生徒たちは道を譲ったり、行進に加わったりしている。皆が気合の入った不良ファッションに身を包む中、水去と神崎だけが普通の恰好で、大いに目立っていた。


「あの……俺らここにいていいの? 完全に部外者だし、不法侵入というか、建造物侵入罪……」


「誰も気にしちゃいないさ。それより気を付けな。ボーっと歩いてると怪我するよ」


 脇の教室から不意に飛んできたパチンコ玉を、赤井女生徒が木刀で叩き落とす。すぐさまルカ少女がエアガンを構えて、攻撃してきたアホの眉間をぶち抜いた。


「え怖っ……というか、俺はその、調査というか、話を聞きにきたんですが……」


「移動しながら聞くよ。質問しな」


 早足でどこかに向かいながら、赤井が言う。


「そう? あーじゃあ、まず期末試験拒否運動の会というのを」


 彼女の後を追いつつ、水去が尋ねる。赤井女生徒は澱みなく整然と状況説明を始めた。


「三年の総番、堂島の奴らが始めたんだ。学校全体に、試験を受けるな拒否しろって圧力をかけ始めたんだよ。意味が分からなくてね。ウチの高校はまともに成り立っちゃいないけど、みんな試験だけは受けてたんだ。ほとんど名前さえ書けば単位が出て、高卒資格が貰えるからね」


 赤井の説明によると、三年生最大勢力のトップ、いわゆる難舵北高校番長である堂島某なる男が、最近突然に、期末試験拒否運動の会を立ち上げたという。そうして、学校中に試験拒否を強いた。そのロジックは、憲法二十条、信教の自由。すなわち、試験などというものは人を測り順位付けするものであって、そのような悪徳は難舵北正教(なんじゃその宗教……)の戒律十九条「汝、人を測るなかれ」に反する、だから宗教上の理由により試験は拒否する、ということだ。逆らおうとした者は酷いリンチを受けたらしく、結局、学校中の皆がこの難舵北正教に入信しているという体裁で、一学期末試験を拒否させられたらしい。


 訳が分からないかもしれない。今まで堂島らが宗教を信仰していたという事実はないし、難舵北正教などというものは明らかにでっち上げだ。試験を拒否する理由も無茶苦茶である。


 だが、宗教的信条に反するとして、講義の受講を拒否したことが、最終的に裁判にまでなった事件が実際にある。有名な神戸高専剣道受講拒否事件である。高専のとある学生が、格技である剣道の実技に参加することは自己の宗教的信条と根本的に相容れないとの信念のもとに、必修科目である保健体育科目の授業における剣道実技に参加しなかった。その結果として保健体育の単位を修得できず、原級留置処分、最後は退学処分までされたのに対し、これらの処分の取消を求めて訴訟を提起した事件である。


 語弊を恐れず平易に説明するなら、


生徒「あの、僕の信じてる宗教、剣振り回すとか禁じられてるんです。だから、剣道の授業休みたいんですけど……」


教師「は? 剣道やらないなら体育の単位はやらねーよ? お前、留年、退学な」


生徒「憲法二十条が信教の自由を保障してるじゃないですか! 宗教上の理由でどうしてもできないことなのに、留年、退学なんて酷すぎます!」


 こんな感じの事件である。最高裁までもつれ込んだ結果、原告の請求認容、すなわち生徒側が勝利し、学校が出した原級留置処分・退学処分は違法なものであるとされた。


 水去から見れば、今回の期末試験拒否運動の会は、どうもこの事件と似ている。というより、この事件のことを知っている者が、陰で扇動しているように思われる。舞台は高校であるが、法科大学院生、怪人の暗躍を感じるのである。怪しすぎるのだ。


 しかしまあ、仮に怪人がいるとしても、その意図や動機は不明であるし、そもそも部外者である法科大学院生が、荒れているとはいえ、どうやって高校に潜り込むのか、どうやって暗躍するのか、その方法や態様は分からない。


 これはもうちょっと調査をする必要があるなあ……と、赤井女生徒に続いて階段を上りながら、水去は思った。


 いつの間にか一同は、校舎の三階に来ていた。止まることなく汚い廊下を進んでいく。水去はふと、赤井女生徒に声をかけた。


「そういや、さっきからどこに向かってるんだ?」


 赤井が立ち止まり、振り返る。鋭い眦が水去に向く。「アレを見な」木刀で指す先には、〈3―B〉と書かれたプレートが。どうやらここは三年B組の教室前らしい。珍しく綺麗に残っている教室の扉や窓は、ぴったりと閉められ、中を窺うことはできない。


 水去の視線が、困惑の色を帯びて彷徨い、赤井たちを見回す。いつの間にか、赤井女生徒を先頭とする集団は、十数人に膨れ上がっていた。どいつもこいつも、命知らずで凶悪そうなナリをしている。


「あの、君ら、二年生じゃなかったのか? この大人数で、三年の教室に何の用が?」


「上級生の所にわざわざこっちから出向くんだ。目的は一つだろ?」


「えっ、あの、なんか、嫌な予感がするんだけども」


「アンタもここまで来ちまったんだ、腹くくりなよ」


「はいいっ?」


 水去のおろおろ声に、赤井女生徒が捕食者のような笑みを返す。木刀の峰を肩に載せて、その姿はまさしく、健康で優良な不良、であった。


 赤井女生徒がツカツカと、教室の扉の前に移動する。ロングスカートをはためかせ、長い脚が流れるように上がる。はっとするような美しい太腿が見えた瞬間、お手本のような前蹴りが、扉に炸裂した。


 どおおおおおおおん! へしゃげた扉が教室内に叩き込まれる!


「堂島ああああああ! カチコミじゃあああ! 今日こそ決着つけたるわあああああっ!」


 赤井女生徒の啖呵と共に、生徒たちが突入していく。その勢いに流されて、水去と神崎も前へと押し込まれた。教室の中には、こちらも十数名、三年生と思われる生徒たちがたむろしている。


 おっとっと、と転びかけた水去は、何か巨大な存在に衝突した。「あ、すみません」と言いつつ、何にぶつかったのか確認する。


 目の前には、タッパのデカい、腕なんか水去のウエストより太いような、筋肉ゴリっゴリの不良……それももみあげが異様に濃くて、学生帽の鍔の下には刃傷がいくつもある、昭和の漫画に出てくるような男がいて、健康診断で痩せすぎの警告を受けるくらい貧弱無比なる水去を、じいっと見下ろしていた。


 まるで蝿でも叩き潰そうとばかりに、無骨な拳がブゥンと、水去に向かって振り下ろされた。

次回予告

教卓! 乱戦! 詭弁! 第二十八話「不良の戦い水去の戦い」 お楽しみに!

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