表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オーバードーズ  作者: 昭島吾郎
第2章 半グレ組織 Rogue Squad
15/16

第14話 挑発

第15話は来週金曜午後7時10分投稿予定です。

RS電話番「すみませんが、リーダーは長らく不在です。」


12月2日、午後3時。慶と好が協力してくれると言うので、俺と良はニコから得た情報を頼りに立川第3ビルを目指したが、事務所の電話番にそう告げられた。


中神 恋「会津と言う名前の人も、いないのか?」


RS電話番「ええ。会津さんも最近はお見えになっておりません。恐らく立川のどこかに入ると思うんですが...。向こうとの連絡は常に一方的なもので。でも、恐らく都内にいると思われます。」


中神 恋「そうか…。」


拝島 良「どうする?」


中神 恋「どうしようか。」


立川第3ビルを後にした恋と良は、街を歩きながら次の手を考えていた。そのとき、突如として響いた怒声が空気を引き裂いた。


荒ぶるRS構成員「てめぇ、金をよこせ!」


二人が声のする方へ視線を向けると、RSの構成員が商店主を脅しつけているのが見えた。商店主は恐る恐るお金を差し出そうとするが、構成員はますます圧迫的な態度を取っていた。


商店主1「お願いします。どうかこれくらいで!」


荒ぶるRS構成員「うるせえ!俺は今むしゃくしゃしてんだ!」


商店主1「ひぃぃぃ!」


中神 恋「ちょっと待て…。」


荒ぶるRS構成員「みかじめ料を払わねぇなら、この店は潰すぞ!」


構成員がさらに近づき、手を振り上げる。


その瞬間、恋は何の前触れもなく足を踏み出し、静かに構成員に接近していった。


中神 恋「おい、お前RSか?」


構成員は振り返り、一瞬恋を見つめた後、冷笑を浮かべながら答えた。


荒ぶる構成員「お前、誰だ?その名前をどうして知ってる?」


恋は冷徹な視線をそのまま構成員に向ける。


中神 恋「誰もお前の味方なんかしない。むしろ、お前たちの方が狙われることになる。」


一瞬、構成員はその言葉に驚いたが、すぐに挑戦的な態度に戻った。


荒ぶるRS構成員「ふざけたこと言ってんじゃねぇよ!」


その瞬間、恋の身体が一気に動いた。構成員が手を振り上げるより早く、恋はその腕を掴み、引き寄せる。そして、強い膝蹴りを腹部に叩き込んだ。


荒ぶるRS構成員「ぐっ…!」


構成員はそのまま後ろに倒れ込み、地面にうずくまった。周囲の人々は驚きのあまり、その場を離れる。


中神 恋「どうだ?これで分かったか?」


恋は冷静にその構成員を見下ろし、淡々と問いかけた。


商店主1「ありがとうございます!おかげで助かりました!」


中神 恋「いつもこんな感じなのか?」


商店主1「いえ...今月に入ってから急に増えましたね。見た感じあの人...ここ最近の人っぽいかも。」


中神 恋「そうなのか。RSってどうやって募集してるんだ?」


商店主1「最近特に募集してるらしいんですよね。前はそんな簡単に入れる組織じゃなかった気が。」


中神 恋「なるほど。失礼したな。」


一礼して、その場を後にした。


拝島 良「お前、やるな。」


その瞬間、恋は遠くに立つビルの影を一瞥する。立川第3ビルの方向を見つめ、低くつぶやいた。


中神 恋「…これで、こいつが報告でもしてくれれば、少しはエリックの目を引けるかもしれない。」


構成員ようやく起き上がり、は息を荒げながらも立ち上がり、二人をにらみつけていた。


荒ぶるRS構成員「…覚えとけよ。こんなことしても、意味ないからな。」


中神 恋「意味ないことなんてないさ。多分な。」


二人はその場を後にした。


中神 恋「これを続けてみようか。」


拝島 良「なるほどね。じゃあ、僕はステルスドローン飛ばして探そうか。Gehennaに帰るね。」


中神 恋「そんな物持ってるのか...。」


拝島 良「新しい街に来たからパソコンも新調してね。なんとかこっちにドローンを持ってこれたんだ。こちら側からは、インカムで伝えよう。」


とりあえず1人で歩き回っていると、線路が見えてきた。


中神 恋「この先に多分立川駅があるんだな。」


とりあえずそんな目立ったところにNS構成員はいないだろうと思い引き返そうとした時、拝島から連絡があった。


拝島 良「恋、富士華町2丁目だ。」


中神 恋「OK!」


中神 恋は、拝島からの連絡を受けて足早に富士華町2丁目を目指して歩き続けた。目の前に広がる街並みはどこか静かで、普段の賑やかな町の雰囲気とは違っていた。そのまま進んでいくと、再び怒鳴り声が耳に届いた。今度は3人のNS構成員が商店の前で店主を脅しているのが見えた。


商店主は冷や汗をかきながら、小銭を差し出そうと必死になっているが、構成員たちはそれを無視し、次々と要求を強めていった。


商店主2「もう勘弁してください!」


RS構成員1「払わないと、この店は明日から営業できなくなるぞ。」


RS構成員2「みかじめ料だ。払わなきゃ痛い目見ることになる。」


RS構成員3「さっさと払えよ、さもなきゃ今すぐにでも潰してやる。」


商店主2「ひぃぃぃ!」


恋はその光景を見て、一瞬立ち止まった。3人が商店主を追い詰めている状況を把握すると、すぐに動き出す。人目を気にせず、静かに歩みを進めた。


中神 恋「またか…。」


その言葉を呟くと、彼は無駄な足音を立てずに近づき、構成員たちの真後ろに回り込んだ。3人の構成員は、彼の存在に気づくことなく、商店主に対して圧力をかけ続けていた。


中神 恋「おい、お前たちもRSか?」


構成員たちは突然声をかけられて振り返ると、恋の冷徹な視線に一瞬驚きの表情を浮かべた。しかし、その直後には嘲笑を浮かべて言い返した。


RS構成員1「誰だお前?RSに何か用か?」


RS構成員2「どうせただのガキだろう。邪魔すんな。」


RS構成員3「俺たちにかかわるとろくなことにならないぜ。」


中神 恋「いや、今度はお前らがやばい立場だ。」


その言葉を合図に、恋は一瞬で動き出した。右足を一気に壁に蹴り込み、反動を最大限に活かしながら、無駄のない軌道で構成員たちに迫った。彼は流れるようにその体をひねり、足元から一気に薙ぎ払った。足先が鋭く空気を切り裂き、構成員たちの足を引きずるようにして地面から浮かせる。瞬間、彼らはまるで風に吹き飛ばされるかのように宙を舞い、無力なまま腰から地面に激しく叩きつけられた。


RS構成員1「ぐっ…!」


RS構成員2「何だ、こいつ…!」


RS構成員3「くそっ、やりやがったな!...って腰が...!」


腰を抑え、呻きながらうずくまる構成員たちを見下ろす恋。冷徹な視線をそのまま向け、淡々と口を開く。


中神 恋「三人揃ってこれか。これで誰もお前たちを恐れないだろ。」


構成員たちは苦しみながらも立ち上がろうとするが、恋はさらに冷徹に視線を送った。


中神 恋「…次は無いからな。」


その一言で、構成員たちは一瞬言葉を失い、足を引きずりながらその場から離れていった。周囲の人々も何事かと驚きながらも、すぐにその場を離れる。


商店主2「ありがとうございます。いやぁRSの人たちも前はあんな感じじゃなかったんですけどねぇ。」


中神 恋「...やっぱりそうなのか。」


商店主2「富士華町のがこんな壮麗な街並みなのも、RSのおかげなんですけどね。なんでも、会津さんが今月から取り仕切ってから、ああ言う輩が増えたとよく聞きます。」


中神 恋「なるほど。」


中神も軽く会釈して、その場から離れた。


拝島 良「恋、完璧だな。」


中神 恋「まあ、言いたいことを言わせただけだ。」


その後、二人は再び富士華町を歩きながら次の手を考え続ける。街を歩く人々が普段通りの表情に戻る中、恋は遠くにあるビルの影を一瞥した。立川第3ビルへ向かう準備を進める中で、心の中で一つの決意を固めていた。


中神 恋「これでもう少しはエリックの目を引けるかもしれないな。」


その後も、中神はRS構成員を容赦なく締め上げていった。少しずつ、街の実情が彼の中で明確になっていく。街の市民たちは、RSに対して比較的好意的であり、彼らの存在が日常の一部として受け入れられているようだった。しかし、その裏では明らかに何かが変わり始めていた。


RSの幹部たちは、会津を除いてほとんどが都内に移動してしまい、その結果として内部の治安は著しく悪化していた。街に漂う不安定な空気が、中神の直感で感じ取られる。


そして、その会津という女性。今まではエリックにしか関心を示していなかった中神だったが、彼女の動きが気になり始めた。彼女が積極的に輩を引き入れている理由とは一体何なのか。目的は何なのか。興味が湧いた。


それは、今後の行動を左右する重大な鍵となりそうな予感がしていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ