現代史1
ターニングポイント0
初発見は1998年。この年日本では長野冬季オリンピックが開催された年であり日本中で大盛り上がりを見せお茶の間を沸かせた。しかしこのオリンピック前に起きた事故により史実は大きく変化を遂げました。オリンピックまでに完成させようとさせた国道292号。大会開催地である志賀高原に向かうための道路が一本しかなく急遽工事が始まったこの道。工事が遅れており工事ペースを早め急いで完成させようとしていた夏。工事中に不発弾を掘り当ててしまい大爆発、工事中の事故として処理され冬季オリンピックには間に合わなかった。この事故により軽傷者、重症者数十名という大事故になったものの事件性もなく死傷者はおらず一時期オリンピックと重なりかなりの話題性があるため日本中で話題になったがオリンピックが開催されてからは誰も取り上げなくなり他の事故と変わらず関係のない人からは忘れ去られていった事故だった。しかしこの不発弾の事故により偶然発掘されたある鉱石が後に問題となった。その名も「キンバーライト」。キンバーライト自体は特に珍しい石ではなく、カンラン石と雲母を主要構成鉱物とする火成岩である。しかしキンバーライト岩石は地下100キロメートル以上の深部でしか生成されずこれまで日本のような地質環境では産出しないと考えられてきた定説を覆す物だったのです。しかし事故中の問題の処理で忙しく話題には上がりませんでした。不発弾の事故中に発見された、というのも問題だったのかもしれません。
1年後、1999年奇しくもそれは事故と同じ日にキンバーライト中からダイアモンドが発掘された。事故の処理が終わりオリンピックも過ぎ去り冬の中の熱い熱が下がっていった長野県。そこでキンバーライトに目を付けた学者がいた。某T大学の地質学者である。大きな話題には上がらなかったが比較的歴史価値があるものとして研究が行われた。その過程で発見されたのが今回のダイアモンドである。それは大きく約100カラット(20.0グラム)ある疑う余地のないダイアモンドであった。この発見は当時の日本をまたも大きく沸かせた。日本でのダイヤモンド発掘自体これが症例としては初でありしかもそれが肉眼で発見できるほど大きな鉱石だったためその分話題性には事欠かなかった。そもそもダイヤモンドは地下100キロメートル以上の深部でしか生成されずこれもまたキンバーライトと同じように産出されないと考えられてきたある意味未知の鉱物であることがわかる。
ここまでは、ただ日本でダイヤモンドが産出された、として日本史に載るかもしれない位の出来事で済まされた。しかし問題が起きたのはここからだった。
約一か月後、ネット掲示板であることが話題になり始めていた。この時期はパソコンの普及率が徐々に高まっていき一家に一台とはいかずもたまに見かけるという時代。それでもネット匿名掲示板は在り、世界ではあることが日本ではまた別のことがネット民の興味を引いていた。曰く、世界「ロシアでダイヤモンドが発見(採掘)することが出来なくなったらしい」曰く、日本「T大学で救急搬送される人、突然発狂する人、ダイヤモンドの近くで奇行に走る人、これはホントがわからないが死人が出た、らしい」。と有ることか無いことか判断の難しいことが投稿されていた。そしてこれらが投稿され始めて数日後ある人物によって共通点が挙げられた。それは暇を持て合わせていたロシア人だった。この男はダイヤが産出される鉱山で鉱員として働いていたがダイヤが急に採掘できなくなるという原因不明の出来事によりその時代では貴重なパソコンで情報をあさっていた珍しい男だった。この時期ようやくダイヤが発見できないことに偶然ではなく何らかの原因があると調査に乗り出していたロシアではニュースで話題に上がるものの特にこれといった新しい情報も手に入れられずにいた。そしてこの男が目に付けたのがネット掲示板だった。しかしロシア国内の掲示板では特に新しい情報も得られずに、少し期待していた英国圏や米国圏などの掲示板をあさっていたが何も情報を得られずに落ち込んでいた最中、アジア圏内で話題に挙がっていた日本の掲示板を暇つぶしに見ていた。実はこの男日本語が読めたのである。これまた偶然とは思えないような偶然によりあることが可能性として浮上した。それは「日本で話題に挙がっていることとロシアで話題に挙がっていること同じダイヤのことじゃないのか」と。この気付きにより、遠く離れていたピース同士がカッチリ挟まり合い運命の歯車が三度回り始めた。この男が日本サーバーで新たな情報(爆弾)を投下したことにより、その後この手における情報が破竹の勢いで増えていった。
また数日後、後の時代で特定班と呼ばれる人たちにより新たな事実が明らかになった。曰く「ロシアで起きている現象はダイアモンド産出国全体で起きており、ダイヤモンドだけが見つからない。」これは、ネットが普及していない地域でダイヤが産出されることが多く、またあまりの大事件により国により情報統制されたものが全てだった。曰く「日本産ダイヤと思われるものを発見した学者は突然倒れ、救急搬送された病院で、狂ったように「あれには世界を変える力がある」「これで私は、、、」「あれは私のものだ。早くここから出せ!」などと訳の分からないことを叫んでいる。」
事が大きくなったことにより事態を重く判断した日本政府は事実調査を実施。各国で起きている不可解な事件との関連性を調べることとなった。その過程で日本で発掘されたダイヤは未知のエネルギーを含んだ物質であることが判明した。元素分析装置、電子顕微鏡など多くの機器で調査されたが通常のダイヤと変わらずそこだけ見れば変化はない。しかし肉眼で見ると明らかにダイヤモンドの輝きが強い。元々、屈折率が高いためいろんな角度で反射しやすく複雑なカットをすることでより輝く性質を持っているが、暗闇のかなでも明るく輝くというのだから不思議だ。そして一定数の割合で再調査していた研究者たちが奇妙な行動をとるようになり始めた。四六時中ダイヤのことばかり語るのである。以上の研究結果から、今回発見したダイヤモンド(仮)は魅了のような効果がありそれは一定数の割合の人、または動物に適応される。もう一つ、耐性のない人が近づくと毒である(大麻や麻薬などと同じ幻覚効果がある)。しかしデメリットだけでなく、現時点でサンプルが一つしかないため多くのことを判断できないが石炭、石油、天然ガスなどの天然資源に代わる新な天然資源になると期待できる、と多くの実験結果により判明した。この研究結果を大々的に日本は発表した。それに伴い採掘場所付近での調査隊また研究チームを来年の春に実施するという声明もともに発表した。それにより日本のみならず世界中までもがその動向に関心を寄せていた。しかしこれにあまり良い顔をしなかったのがロシアなどのダイヤモンド産業の大半を埋める国々だった。国によってはダイヤモンド産業が国家の財政を支えていたり、ダイヤモンドの存在が我々人類に大きな影響を与えている国も存在する。しかし自国でのダイヤ消失事件と何ら関係性のあることではなかったため声明を出すこともできなかったのであった。この発表を契機に徐々に各国は親日派、反日派、中立派に三分割されていきました。
数か月後の2000年春、志賀高原中腹不発弾事故現場を調査中の調査隊を含む研究チーム、総数60名内24名行方不明。
世界中がその動向を気にする中、冬の間雪により調査不可能だった志賀高原の事故現場での調査が始まった。
「これは洞窟?」
隊員の一人から声が漏れた。当初の想定では事故現場付近の地質調査、それに伴うダイヤモンドの採掘を目的とした調査隊であった。しかし現場についてみると、事故当初は確認できなかったはずの巨大な穴のような洞窟が発見された。調査隊は調査のために小隊規模三〇名の人員を投入。その他の人員は付近で待機また洞窟付近の地質調査を開始した。しかし本来定期的に来るはずの連絡がこず、そのような場所に新たな人員を無暗に投入するわけにもいかず12時間が経過した。時間だけがただ無意味に過ぎていくだけだと誰もが思っていたその時、6名の隊員が地上に帰還した。
第一次調査隊報告書
「一○○○調査隊の約半数30名小隊規模が洞窟内を調査開始。洞窟内はなだらかに下る道をしている。入り口付近から離れると中は非常に暗く太陽の光は全く届かない。だがしかし真っ暗というわけでもなく洞窟内に発光する物質を確認サンプルを回収。縦約4m横4mの正方形に近い形。一〇三〇二つの分かれ道を確認、小隊を三つの分隊に分割して再出発。各分隊を第一・第二・第三分隊と呼称する。それから30分後、調査開始から一時間後の一一〇〇定期連絡のため地上へ通信、しかし原因不明の機械トラブルにより通信途絶、この時点で他の分隊と通信を行い地上に戻るために調査一時中断。それから30分後一一三〇合流地点と定めた分かれ道まで帰還、ここで敵対生物、ここでは仮名として「アンノウン」と遭遇、これと敵対。姿形はヒト型しかし身長は120㎝付近、肌は確認できた限りでは深緑色、俊敏性にたけており奇襲が得意だと予測される。突然の会敵により混乱。負傷者各分隊で複数。状況を立て直すために一時後退、状況を整理。一二〇〇地上への帰還を再開させようとしたところ各分隊で複数名の混乱状態の隊員が発生。一刻でも早く地上へ帰還するために各分隊のリーダーは帰還を再開。一二三〇分隊の一つと通信途絶、一三〇〇合流地点に到着するももう一つの分隊とも合流不可。一三三〇第一分隊長は隊員九名と地上への帰還を再開。
一六〇〇おかしい、おかしい、おかしい、私は今どのくらい歩いた、いくら「アンノウン」を警戒しながらの進行だとしても、もう行きの倍の距離は歩いたはずだ、なのになぜ地上の光が見えない。隊員の様子もおかしい、急に穴を掘りだす者、ぶつぶつ何かを言い蹲る者、急に笑い出す者、まともに意識を保っている者が自分や怪我人を含め六名しかいない。一八〇〇まだ同じ道を歩いている。本当に自分が正しい道を歩いているのか不安になってきた。奇行に走っていた隊員たちも急に大人しくなり今は逆にそれが恐怖感を増幅させる。正気を保っている隊員もこの状況により衰弱が激しい。一九〇〇遠く先に輝く光を発見。先頭の私が先行しようとしたところ先ほど奇行に走っていた四人が突如として走り出し私を追い抜いて行った。先ほどまで大人しくついてきただけだった隊員たちの突然の行動に驚いた私は、止めることもままならず見ていることしかできなかった。残りの隊員を引き連れて光源のもとへ歩いていく私、もしかしたらあれは太陽の光なのではと期待していた私が目の当たりにしたのは、、、ダイヤモンドであった。。。でかい、いやこれは本当にダイヤモンドなのだろうか。報告にあった発光している点今その付近にいる隊員の不自然な挙動および先ほどまでの行動、どれも一致している。それにしてもこれは、
一九〇〇、ダイヤモンド(仮)を発見、規模推定半径二メートルほどの球鉱石、進行方向から見て右壁一帯が全てダイヤ(仮)と思わしきもので埋まっている。またほかにも一部が露出した鉱石を発見、先ほど報告した物ほどではないが推定直径一メートルほどの球鉱石が多々見受けられた。隊員の報告によると明るすぎて目が開けられなかったとの報告も確認された。
一九三〇休憩を終え改めて地上を目指そうと先に進もうとしたが問題が発生した。あの四人である。この場所から離れようとしないのだ。ある者は獣のように呻き声をあげ邪魔するなと言いたげに、あるものは上気したような表情でダイヤを見つめ続けるだけの者、どうにか持ち帰ろうとずっとダイヤを掘り続ける者、休むように指示をしているのにまるでこちらの声などもう全く聞こえていないような反応をする。そしてそれは再度地上へ帰還をしようと行動をとり始めたときも同様でこちらの指示を全く聞かない。埒が明かず強制的に引きずるか気絶させるかいろいろ試してみたが反抗されたり逆に襲いかかってくるありさまである。あまりの大きさにダイヤを一緒に持ち帰るというのは不可能であり、隊員に傷を負わせるわけにもいかず完全に手詰まりになった時奴らはやってきた。二〇〇〇ダイヤ地帯一帯を抜けあとはうしろでダイヤに引っ付いている隊員をどうにかして一緒に連れていけないか考えている途中、さらにその後ろから足音が聞こえた。四人の隊員のさらにうしろはダイヤの光がまぶしすぎてはっきり見えない。突然の足音に驚き後ろを振り向き警戒、ゆっくりと少し距離の空いてしまった四人の隊員の方に近づく。もしや連絡のつながらなくなったどこかの分隊か?と一瞬考えてたが「アンノウン」の可能性もある。そのため、
「所属と名前を言え!」
緊張により命令口調になってしまった。もし本物の分隊だったら後で説教者かなと考えたその瞬間、、、どうにかしてダイヤを持ち帰ろうと今も掘り進めていた隊員の一人が突然消えた。いや消えただけに見えただけかもしれない。一瞬巨大な手のようなものが光の中に引きずり込んだような、いやそんなわけ、、、次に獣のような雰囲気になり、突然隊員が消えた瞬間から光の中へ叫んでいたもう一人が突然出てきた何かに頭からパックリ食われた。突然鳴りやむ隊員の叫び声、それと同時に叫び声の発信源から噴き出る大量の血。そして顕わになる何かの全身、体長は三メートルほどそして何よりも目立つ深緑色の肌、そして二人分の量にしては明らかに多いような血の赤がしたり落ち地面に水たまりを作る。まるで最初遭遇した「アンノウン」をそのまま巨大化させただけのようなそれは、、ゴブリン?いやよくみると頭に、
「河童?」
まるでその言葉を合図としたかのように大きな声を鳴らす「アンノウン」その直後、自分の背後で走り出す音、残り五名の隊員が逃げ出したのだとすぐに気が付いた。なぜなら自分も同じ行動をとっていたからである。それが意味することはつまりダイヤの近くにいる残り二名の隊員を見殺しにすると同意義であることは明らかであったが体が勝手に動いてしまった。頭にあるのは「逃」という文字のみ。突然消えた隊員そして目の前で無残に食われた隊員、その光景がフラッシュバックし心が恐怖で満たされる。今度は自分の番なのかと考えるだけで頭が真っ白になる。しかし逃げなければ食われるだけだと思いなおし、頭の中を無理やり「逃」一色に塗りつぶし、ただ走る。本能が、そして理性が、何よりも自分自身があの「アンノウン」からどこでもいいから一歩でも遠くに逃げ出したいと考えてしまった時点で二人の救出は不可能であった。
そこから先はよく覚えていない。いったいどれだけ走ったのか私より先行して逃げていたはずの隊員五名も見えない。時間を確認することもなくただひたすらに走った。
そして私は助かった。
二二〇〇、六名の隊員が帰還。洞窟内で何が起きたのか聴取しようとしたものの衰弱が激しく急いで最寄りの病院に救急搬送。その過程で小隊隊長及び第一分隊隊長、寺沢三等陸佐から第一分隊員四名死亡、第二・第三分隊員全総数二〇名の安否不明が確認された。」
以上本調査による報告書をこれにて締める。本報告書は洞窟内で記録されていた報告書と寺沢三等陸佐の実体験により記された正式な報告書である。
その後、日本の動向は意外にも迅速だった。次の日には松本駐屯地から新たな人員を師団規模で派遣。志賀高原付近を特別警戒地域に指定。付近の住人を一時的に避難させる避難場所の設置。現時点で確認されている「アンノウン」を洞窟外に出さないため唯一の入り口だと目される場所への厳重すぎる警備、簡易的な施設の設置。各国または国連への説明。そして第二次調査隊及び「アンノウン」討伐隊の編成。当時総理を務めていた彼は非常に優秀であり日本で発掘されたダイヤの不気味さや不可解さに警戒していた人物だった。そのため春に調査を行うにあたりあらゆる可能性を考慮し調査を行うと声明を発表した去年の冬から対策を立てていた。しかし、第一次調査チームに死者が出ることは想定していた中でも最悪な状況であり、何かもう一つでも予想外なことが起きれば、決壊寸前の綱渡り状態であった。しかしそういうときに限って良くない報告は続いていくものである。志賀高原付近を捜索していた小隊が新しい洞窟らしき場所を発見したという報告があがった。急遽第二次調査隊及び討伐隊第二部隊を編成、同時刻に突入予定にした。しかし第一次調査隊が突入してから七日後に再度突入予定だった第二調査隊が突入するまでに洞窟と同じものだと思われる場所が多数発見、しかもそれが地域問わず標高の高い場所で不規則に見つかるため混乱を深めていった。そのため日本政府は第一発見場所である洞窟を本格的に調査、そしてその他の洞窟らしき場所は、半径五キロメートル内の民間人への避難指示、そして現状洞窟近くに人員を置き待機命令が下された。第一次調査隊が突入してから一〇日後第二次調査・討伐隊による洞窟調査が行われた。
第二次調査隊報告書簡易版
「幸いにも今回の調査隊における死亡者は確認されずけが人も出なかった。やはり「アンノウン」と会敵しなかったことが大きかったのかもしれない。しかし第一次調査隊の安否不明者二〇名は痕跡一つすら残されていない状態だった。そして一番の問題は、前回の報告書に記されていた道が全くあてにならなかったことである。そもそも報告にあった道もおかしい。行きと帰りは同じ道を通っているにもかかわらず、行きでは確認されなかったダイヤが確認されたり、歩きで洞窟入り口から一時間しか歩いていないのにもかかわらず帰りで、走りも含めて一〇時間帰るのにかかった。まるで洞窟内の道が生きていて勝手に距離が延びていたとしか考えられないような。今回の調査でそのようなことは確認されなかったが報告書にあった三つに分かれる道は確認されずずっと直線のままだった。加えて道はなだらかな上り坂であった。
今回の目的であるダイヤモンドの採取だがこれは見事成功した。だがやはりダイヤモンドに近づけば近づくほど錯乱状態になる現象が起きた。しかしかなりの個人差があるようで今回は一見変化が見受けなかった酒井三等陸佐が担当した。縦三〇横二〇幅二〇のごつごつした岩のような状態で見つかり第一次調査隊が発掘した物よりも規模は小さいがまぎれもなく特大なダイヤモンドである。
今回の調査で判明したことは以下のとおりである。
洞窟内の道は常に変化するわけではないが気付かぬうちに変化する場合がありその場合はどのくらい距離が長くなるのか、または短くなるのかは不明である。
洞窟を調査する際、必ず「アンノウン」と敵対しなければならないなどという条件はない。
現状調査を開始してから必ずダイヤモンドの鉱石が発見されている。
ダイヤモンド(仮)に付属している魅了・幻覚効果は人それぞれであり中には全く作用してない人も見受けられた。」
以上本調査による報告書をこれにて締める。本報告書は簡易版の者であり正式なものままた別の場所で保管されている。より詳しい正式な報告書を閲覧したい場合はこの報告書を伺い本人に聞くとよい。
記録、酒井二等陸佐
2000年春、世界最大のダイヤモンドといえば「カナリン」という六二一グラムのダイヤモンドがこれまで世界最大だった。しかし今回採掘されたダイヤモンドがその記録塗り替えす、三三四六グラムという重さであった。しかも確認されたものに限れば、それ以上のダイヤモンドも確認されたという。これも最初に確認された20,0グラムのダイヤと同じ性質を持ち合わせており、天然資源として期待できるものだった。効果も大きさによって増幅されているのか、高い数値を記録した。
この発表に日本のみならず世界各国で大小さまざまな反響を呼んだ。洞窟内で確認された未知の生き物、そのままの意味で「生きている」洞窟、そして何よりもダイヤモンド。ダイヤモンドとしての元の価値そこに付属された天然資源としての価値、二重の意味で期待されるのは当然だった。バブルが崩壊し不景気の真っ只中の日本、その中でのこの発表は日本の人々を活気でづかせた。
ここで問題になってくるのが元々ダイヤ産出の大部分を埋めていた国々、そして洞窟内でダイヤモンドを採掘することによるリスクである。それらの国では過激派が大多数を埋めており「日本で採掘できるダイヤモンドはもともとこの国にあったものだ」「日本は何らかの方法により各国のダイヤモンドを自国に移動させた」等、あまりよく思われていないのは確かだ。なぜここまで過激派が大多数を埋めることになったかというと、ダイヤモンドがその国の経済の基盤を支えている国、採掘場で鉱員としていた人たちの失業率、そしてあばよくは価値が上がったダイヤモンドを自国で占用できないかと考える国や人々。元々のダイヤモンドでは宝石としての価値、自然界で最も固い物質としての価値それによる他の部品への応用、この二つのが主な役割だったが、そこに付随してクリーンなエネルギーとしての役割が付いたことにより加工しにくいという難点は未だ健在なもののダイヤモンドの価値自体は飛躍的に向上した。ダイヤモンドを採掘することのリスクも問題の一つであった。第一次調査隊の報告によると、そこはまるで地球上のどことも違う環境である可能性が非常に高かった。今までに例を見ぬ「アンノウン」、生きている洞窟内、そしてダイヤモンドによる魅了の力、まだ判明しているだけでもこれだけの未知があり、採掘は困難を極めるかに思われた。
2000年夏、ダイヤモンド別名「ダイアモンド」日本政府は志賀高原で発掘されているダイヤモンドは新たなる鉱物であるという発表をし、そこで発掘される鉱物を「ダイアモンド」とした。Diamond日本語でダイヤモンド。日本語は発音を間違ったり単語やスペルが間違っていても、脳が会話文に適した言葉に自動的に解釈してくれることが多くそこまで気にされない。その中の一つに当てはまるのがダイヤモンド。あまり口に出さない人からすると「ダイヤモンド」と「ダイアモンド」どちらが正しい文字なのかわからない人が多い。そこで日本政府は1998年以降に確認されたダイヤモンドを同じ元素周期表を持ち姿形は同じだが、違う性質を持ち合わせ日本で発見された鉱物を全く別の物とし、新鉱物「ダイアモンド」とした。
そして「妖」春から夏にかけて洞窟内で何度も調査を行い判明したことがあった。それは日本の伝記や昔話によく出てくる妖怪や幽霊によく似ている姿形をしている「アンノウン」しか確認されないというものだった。古来よりそれらは伝説とされており自然の中の災害やありえないことが起きた時の人間のイメージ、根源的な恐怖が形になったものだとされていた。実際現代技術が発達した現代においてもどの妖怪や幽霊も確認されておらず空想上の生物だとされてきた。しかしダイアモンドが採掘される洞窟内ではどこもこれらの生物が同時に確認されており誰もがそれらの実在を認めるしかなかった。よって洞窟内で確認された生物はそのすべてを「妖種」とし世間一般では妖とされた。
最後に「洞窟」この名称もダイアモンドや妖と同じく改名された。当初発見された時の報告によりそのまま「洞窟」という名称を使用されていたが、があまりにも用途が違く不適切な単語のため改名された。その名も「アダマス(ADAMAS)」ギリシャ語で、征服されざるもの、何よりも強い、という意味を指す。アダマスとはダイヤモンドの由来でありそれと同時にギリシャ語で征服されざる者、何よりも強い、など内部を表すのにちょうど良いと考えられ決まった。しかし世間一般ではあまりこの言葉は定着せず迷宮、ダンジョン、異界などが広まった。それは数年後に発生したあることが大きな要因だった。