第99話 実戦.8
ルシム大公が、
「アシャーリーは後ろに、セゾーヌは前に、それぞれフラッシュを!!」
そのように指示した。
アシャーリーは“大きな蜂グループ“に〝ひッいッ!〟と引きながら、セゾーヌは冷静に、【神法】を扱う。
これらによって、目が眩んだらしい“三割ずつの魔物”も、ストップする。
そうしたところで、
「じゃ、倒すとすっか。」
「特に子供達、ガンガン攻めろよ、“神法”と“戦闘スキル”を進化させたかったら。」
「あと、アイツラの針には注意しろ。」
「刺されたら麻痺しちまうからな。」
ヴァイアの三兄にあたる“ガオンさん”に声をかけられた。
ここから、ざっくりと前後に分かれた僕たちは、バトルを開始していく。
まぁ、敵は、完全にストップしていたり、動きが鈍っているので、一方的になってしまうんだけれどね。
とは言え、【魔法】も【神法】もタイムリミットがあるので、気は抜けない。
数のうえではモンスター側が有利なのだから。
それを踏まえ、僕らは攻撃してゆく。
敵の一部は視力を奪われているものの、こちらの武器は躱されがちで、かすり傷しか負わせられない。
「蜂には空気の流れや音を感知する器官があります!」
「それは、この魔物らも一緒なので、王子達は神法を用いてください!!」
「そっちのほうがまだ当たりますので!」
急ぎ教えてくれたのは“ハーフエルのリィバ”だ。
このため、僕らは、やり方を変える。
ただし、【デッドリーポイズン】や【パラライズ】の影響下にあるモンスターは別だ。
なお、どちらの魔物も、既に地面に落ちていた。
【フラッシュ】を浴びた面子だけは宙に浮いているけど…。
【猛毒】を浴びた“キラービーの群れ”は、もがき苦しんでいる。
【麻痺】している“キラーホーネット集団”はピクリともしていない。
それらのモンスターは、余裕で、武器で斬ったり刺したりなどができた。
けれども、次第に敵が自由になっていく。
まずは、【パラライズ】と【フラッシュ】が、約2分後には【デッドリーポイズン】が、効果を失った。
このため、僕らは乱戦に陥ってしまう。
ちなみに、僕やヴァイアと先生は前に、アシャーリーとセゾーヌは後ろにいる。
セゾーヌは、ガオンさんが【武術】を得意としており[ナックル]を装備しているのもあって、戦いながら指導してくれたらしい。
そんなガオンさんは、攻撃系の【魔法】も使えるのだそうだ。
ともあれ。
僕たちは、たまに刺されて全身が痺れてしまった。
この都度、リィバや、“魔術師のレオディン”に、アシャーリーのところの“魔女さん”が、
「神域より叡智の結晶を喚び起こさん。」
「奇跡の波動よ、苦痛を消し去れ。」
「ディスオーダー・リカバリー!!」
【異常回復】を施してくれる。
それは〝高級にならないと扱えない〟らしく、“アシャーリー/ヴァイア/先生/セゾーヌ”が光属性の神法を備えているとはいえ、現時点では無理だった。
まだ全員が[低級]なので。
さておき……。
およそ5分が経った頃に、敵を殲滅できた。
取り敢えず、僕らは[アイテムボックス]に収納しておいた“陶器水筒”を手にする。
水筒の中身は“ジュース”だったりと、さまざまだ。
これらは、前日の夜から[氷室]で水筒ごと冷やしておいたので、かなり喉が潤う。
補足として、アルコールの持ち込みは禁止してある。
僕などが〝ぷはぁー〟と息を吐くなか、大人達が会話しだす。
どうやら、〝キラービーは六百数あたり〟で〝キラーホーネットは三百匹ぐらい〟だったらしい。
「完全に僕たちを挟み撃ちにしてきたね。」
誰ともなく述べたところ、
「あー、いや、おそらくは違うと思いますよ。」
「キラービーが来た道を辿って行けば、どこかに巣があるはずです。」
「連中は、それを守ろうとして、侵入者であるボクらを襲ったのでしょう。」
「逆に、キラーホーネットは、キラービーを探していたのかと。」
「捕食したり、巣の蜜などを奪うために。」
「そうしたところ、ボク達に遭遇したので、ついでに狙ってきたのでしょうね。」
「魔物や魔獣にとっては、ボクらも御馳走ですから。」
そのようにリィバが推測した。
〝ふむ〟と頷いて、
「つまり、〝スズメバチがミツバチを食べたりするのと同じ〟というわけですね。」
こう理解を示した先生に、
「ええ、その通りです。」
リィバが〝ニコッ〟とする。
「では…。」
「あまり損傷が酷くない蜂どもを回収するとしようかのぉ。」
「武器や防具の素材になる部位がある故。」
「その後、キラービーどもの巣を見つけるとしよう!」
「あれの蜜は、ミツバチのものより何十倍も濃厚で甘味なため、高値で売れるからな!!」
「一部は我々で消費するのも良かろう♪」
嬉々として提案する“トラヴォグ公爵”に、
「うむ!」
「そう致しましょう!!」
瞳を輝かせて賛成する大公だった―。




