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第95話 訳柄④

翌朝となり、[食堂]へと足を運ぶ。


ちなみに、危惧していた襲撃は起きなかったので、ぐっすり眠れた。


さて。


ご飯はというと“ソフトフランスパン×2/お好みでバター/スクランブルエッグ/厚切りハムステーキ×2/野菜スープ”だ。


やはり、誰もが嬉しそうにしている。


“妹のエルーザ”は特に興奮気味だった……。



朝食を済ませた約30分後、[王城の一階エントランス]に主だった人々が集まっている。


昨日の父上よれば〝まだ暗殺者たちや黒幕が見つかっていない〟との事だったので、僕は引き続き[大公家の本館]に身を隠すことになった。


家族と順番に別れの挨拶を交わしていったところ、最後の妹が〝モジモジ〟しだす。


「どうした?? エルーザ。」


僕が尋ねてみたら、


「ラルにぃさま…、ナデナデ、させてあげても、いいよ?」


そのように言ってきた。


いささか呆気にとられた僕だけれども、すぐに頭を優しく撫でてあげる。


これに満面の笑みを浮かべた妹が、


「また来てね、にぃさま♪」


無邪気に伝えてきた。


改めて、


「達者でな。」


父上に声をかけられ、


「はい。」


僕が頷く。


そこから、


「……。」

「では、参ります…。」

「時空よ、我らに狭間の境界を越えさせ、彼方(かなた)へと導け。」

「瞬間移動。」


“魔術師のレオディン”によって【瞬間移動】するメンバーだった……。



館に戻った僕らは、[執務室]へと赴く。


椅子に座って書類に目を通していたらしい“ルシム大公”が、立ち上がり、


「お帰りなさいませ。」


僕に会釈する。


「ごめん、また暫くお世話になるよ。」

「迷惑かけちゃうけど。」


苦笑いした僕に、


「いえいえ、なんのなんの。」

「賑やかで楽しい限りですわい!」

「どうか、気兼ねなく、お過ごしくだされ。」


嬉しそうに返す大公だった。


「ありがとう。」


お礼を述べた僕は、


「父上から大公に渡すよう預かっているものがあって…。」

「開け、アイテムボックス。」


[小規模の亜空間収納]から手紙を取る。


同じく[アイテムボックス]を展開させた“隻眼のベルーグ”は、大きめの革袋を引っ張り出す。


「革袋には金貨が入っているそうなんだけど、料理を行なってくれた人たちに5枚ずつ、レシピも作ってくれたアシャーリーには10枚。」

「で。」

「以前、大公が支払ってくれた僕らの装備品の代金と、いろいろ面倒みてくれているぶん、らしい。」


このように教えた僕を、


「よろしいので??」


大公が少なからず目を丸くしつつ窺う。


それに対し、


「遠慮なくどうぞ。」


穏やかに勧める僕だった……。



この日の昼食時、


「だいぶ暖かくなったので、そろそろ魔物討伐を実施しようと思う。」

「今年は合計で四回を予定しておりますので、ラルーシファ殿下もそのつもりでおられてください。」


そうした大公の発表を、


「うん、分かった。」


僕は前向きに捉える。


一方で、アシャーリーが〝ええ~?〟と嫌そうにした。


吉野薫(よしの・かおる)さん”こと“セゾーヌ・ディメン”は、いくらか不安がっているみたいだ。


「一回目の場所は決まっているので??」


アシャーリーの父親にあたる“ルムザさん”が質問したところ、


「いいや、候補地の資料を調べてはおるが、今のところは。」


大公が首を横に振る。


これらの流れで、


「ヴァイアと先生にも知らせないとね。」

「今度、来たときに。」

「あ。」

「セゾーヌの武器や防具を依頼してあげないと。」


そう口を開いた僕に、


「ふむ。」

「仰せの通りでございますな。」

「では、必ずや注文すると致しましょう。」


このように約束してくれる大公だった―。


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