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第92話 帰郷・序

僕らが[ダイワ王城の一階エントランス]に【テレポート】したところ、その場にいた兵士たちが、槍を構えたり、腰に帯びている剣の“柄”に手を掛けた。


〝敵襲か??〟と誤解したのだろう。


けれども、隊長格の男性が、


「これは、第二王子殿下。」

「御無礼いたしました!」


すぐに跪き、他の兵も急ぎ(なら)った。


それらに対し、


「あー、うん。」

「別にいいから、全員ラクにして。」


このように述べる僕だった……。



隊長格によれば、父上は[大執務室]におられるそうだ。


廊下を歩きつつ、


「かなりの数の兵士が配置されていますね。」

「なんだか雰囲気が物々しい限りです。」


“ハーフエルフのリィバ”が口を開く。


「ま、ラルーシファ殿下がお戻りになられたとあらば、暗殺者どもが再び狙ってくるかもしれませんからな。」

「陛下が警戒なされたのでしょう。」


そう“片目のベルーグ”が推測したら、


「にしても、多すぎじゃな。」


“魔術師のレオディン”が呟いた。


「ええ、そうですね。」

「これでは(かえ)って〝お城にラルーシファ王子が居る〟と宣伝しているようなものでしょう。」

「首謀者が情報を掴めば、危険性が高まります。」


こう指摘した“細長眼鏡のマリー”に、


「それも陛下の計略かもしれません。」

「〝不審な(やから)が現れようものなら確実に取り押さえる〟といったお考えなのでは?」

「とは言え、黒幕が余程のバカでなければ、暗殺者達を送り込んだりはしないでしょう。」

「ソイツラが捕まったうえに白状すれば、自分のところに辿り着かれかねないので。」

「そういうのも含めての厳戒態勢かと。」


そのようにベルーグが答える…。


これは余談になるけど、以前お城で暮らすようになったレオディンや、[ユニコーン車]を使っていたリィバは、【瞬間移動】を扱えるのだから、(その魔法で都の自宅から通えたのでは??)と思わなくもない。


ただ、王である父が許可していなかったので、無理だったそうだ。


まぁ、父上だけでなく歴代の国王や女王は“火急の用”でなければ認めなかったらしい。


今回の僕たちは特例なので問題ないけれど。


なんにせよ。


父のもとに進む僕らだった……。



入室したところで、父上が〝スッ〟と起立する。


その側には、母が佇んでいた。


兵の誰かしらが走って知らせるとかして、母上は先回りしたのだろう、きっと。


いずれにしろ。


足を止めた“教育係&お世話係”が、床に片膝を着く。


これらを待って一拍おいた僕は、


「父上、母上、お久しぶりです。」

「ラルーシファ、ただいま帰りました。」


お辞儀する。


そうして、


「うむ。」

(みな)、息災だったようだな。」

「さ、ラクにせよ。」


穏やかに告げる父だった…。



まずは僕が“アシャーリーのレシピ”を、次にレオディンが“タケハヤ(しま)での日々をまとめた記録”を、父上に差し出す。


ここから、父と僕は、ちょっとした雑談を交わしていく。


その間、母は嬉しそうに微笑んでいた……。



お昼まではまだ時間があるので、自由行動にしている。


“レオディン/リィバ/ベルーグ”は、予め準備されていた[個室]に赴く。


この三人以外は僕に付いて来た。


“ラダン兄上”が、ご自身の部屋におられるとの事なので、訪れてみる…。


何かしらの本を読んでいらした兄上は、


「お?」

「ラル!!」


僕に気づくなり、〝ニコッ〟となされた。


昨年に魔物討伐を体験されたらしい兄上は、〝明後日にでもダンジョンに潜る〟とのことで、戦術などに関する書を見直しておられたそうだ。


兄上と暫く会話した僕は、お庭へと向かった……。



姉上が鍛錬なさっている。


そうしたところで、“メガネの女性”が、


「リーシア王女。」

「ラルーシファ王子が、お越しです。」


このように伝えた。


僕達のほうを振り返った姉上も、


「ラル君!」


笑顔を見せてくれる。


なお、姉上に僕の事を教えたのは、マリーの母にあたる“メイラ・ラキリアス”だ。


姉上と数分ほど談笑した僕は、別の場所に移る。


マリーだけは残るみたいだけど…。



心地いい春風が吹くなか、


「とぅおッ、りゃ―ッ!!」


勢いよくボールを蹴ったのは“妹のエルーザ”だ。


その気迫とは裏腹に〝ポ―ン〟と山なりに飛んだ球体は、本人の“お世話係たち”のなかでも正面にいた女性に、両手で簡単に〝パシッ〟とキャッチされてしまった。


こうした彼女は、僕が視界に入ったらしく、深々と頭を下げる。


それに、他の“お世話係4名”が続く。


僕を少し観察したエルーザが〝ハッ!〟となり、


「ラルにぃさま♪」


〝ニカァ☆〟と喜んだ。


妹は、どこか少年みたいになっていた。


いや、決して悪い意味ではない。


(むし)ろ、(ほが)らかで、好印象だ。


それはさておき。


ユーンを筆頭にした獣人達と共に、エルーザの“遊びの輪”に加わってあげる僕だった―。


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